かおるのお話

第4話 かおる、お出かけします!

 転校生のミライくんがやってきて、1ヶ月くらいたった、5月になって初めての日曜日のこと。

「いいお天気だなぁ〜」

 わたし――花坂はなざかかおるは、カーテンを開けて朝の日差しを浴びた。

 こんなにいい天気だと、お散歩したくなっちゃうよね。

「そうだっ! お出かけしよっ」

 思い立ったらすぐ行動! パパッとお着替えして、髪も整えて……よし、オッケー!

「お母さーん」

 部屋から、かけ足でリビングに向かう。

 お母さんは、ダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいた。

 わたしの足音に気がついて、こちらに目を向けた。

「そんなに足音を立てたら、下の人から苦情が来るわよ」

「はあい。ごめんなさい」

 アパートだからね。気をつけなきゃ。あんまり騒がしくしたら、怒られちゃう。

 ――わたし、3月に引っ越してきたの。

 お引っ越しした先で、「よろしくお願いします」っていう意味で、お菓子とかを渡すんだ。

 そのとき、わたしはお母さんについていった。よろしくお願いしますって言わなきゃいけないのは、お母さんだけじゃないからね。

 でも、下の階に住んでいる人、ちょっと怖かったな。いかつくて、ヤクザにいそうな男の人なの。意外と優しかったり、しないかなあ……。

 じゃなくって、そんなことよりも。

「お母さん。わたし、今日お出かけしようと思うの」

 お母さんは、わかりやすく驚いた。

「あら! 珍しいわね」

「そう?」

 わたし、そんなにお家にいたっけ?

「毎日リビングでゴロゴロしてるでしょ?」

 うっ。そ、それは……だってぇ……。でも、今日はお外に出るからいいのっ!

「はいはい。お昼ごはんは、食べてから行く?」

「せっかくだし、朝から行こうかな」

「それなら、お弁当作るわね」

 お母さんは、あたたかいほほ笑みを浮かべる。

「やったあ! お母さん、ありがとう!」

「何食べたい?」

「んっとねー、サンドイッチがいい!」

「はい。わかったわ」

 今日は、楽しい日曜日になりそう! そうしたら、明日はいい気分で学校に行けそう。

 いつもは、学校に行くのはちょっと嫌だけど。

 とにかく、今日は楽しむぞぉ〜!

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