映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を語る『感想編』
今回も前回に引き続き、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を語り尽くします。前回は起承転結から読む、狂気染みた『分析編』をお届けしました。そして今回もまた、考察を入れつつ、ネタバレありの『感想編』として語ります。
目が血走ってるのでは?と自身に突っ込みを入れたいほどに興奮しならが語ったスペースもあります。
●文遠ぶんさん(https://kakuyomu.jp/users/fumitobun)と企画した「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を語り尽くしたスペース(ネタバレあり)
https://x.com/fumitobun/status/1738183135349948654?s=20
ですが、一つの記録としてここにも掲載します。なぜこの作品が好きなのか、などは前回の記事をお読みいただければ嬉しいです。私自身、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を見てどう感じたのか、色々な知識と考察を挟みながら語ります。この感想には、フィルムアート社「SAVE THE CATの法則」の本も参考にしています。今回も個人で勝手に考察、感想を述べているだけですので、公式とは違う可能性ももちろんあります。そこはご了承ください。
●あらすじ
昭和31年、帝国血液銀行に勤めるサラリーマンの水木が、取引のある製薬会社『龍賀製薬』の長の訃報を耳にし、血液製剤『M』の秘密を探る会社の密約を背負いながら、出世のために一族がおさめる村へ向かう
※『M』とは
私が調べ上げた結果、恐らくですが、合成麻薬メタンフェタミン(MDMA)から来ているのではと。水木しげる先生の頭文字でもありますので、そこと掛けている場合もありそうです。
※血液銀行とは
昭和の日本に実在した銀行です。1950年から1960年後半までは、手術に使う必要な血液は患者個人が買うもので、個人が血液を売り、輸血用血液として民間の血液銀行が保存し、供給をしていました。ですので、この作品はより真実に基づいた作品なのです。今では考えられない血液の売買ですが、それで生活をしていた人達も実際に存在し、その倫理の観点から反対の意見が上がり、禁止とされました。
●ざっくりな「起」展開
山田記者、鬼太郎など主要人物が一気に登場。場面が切り替わり、水木は会社のために、出世欲を持ちつつ村に出張へ。道中、沙代と時弥と出会う。そこから時貞の葬式へ参加し、遺言状が読まれ問題勃発。その内容は、水木と親交を深めていた社長、克典ではなく、龍賀家の長男、時麿が指示される。思惑が外れ、そこから悩む。そして最初の殺人事件がおこる。時麿が誰かによって殺されていた。ここで鬼太郎父(ゲゲ郎)登場。犯人に間違われ、打ち首にされそうなところを水木が助け、面倒を見ることに。
1.オープニングイメージ
現代日本。山田記者登場。鬼太郎の謎を追っている。ここで鬼太郎、目玉の親父、ねこ娘が登場し、鬼太郎が「引き返してください」と忠告。山田は無視し、廃村を進み、色んな恐ろしいことが降りかかる。
※鬼太郎とねこ娘について
6期の鬼太郎とねこ娘がいきなり登場!歓喜!あおりの角度がすごく印象的で恐ろしくてカッコイイ。鬼太郎の声優である沢城さんは、少女から少年の声、セクシーお姉さんまでされる役どころの広い声優さんで、声質がクールな6期鬼太郎にぴったりで素敵です。
※山田記者について
いつもの水木作品のモブ顔だし、ぜったいにモブキャラだと思っていたら、ラストで裏切られ。めちゃくちゃ誠意のある記者でした。山田さん、酷いこと思ってごめんなさい。山田記者が出くわす日本人形は、随所で出て来るものです。持ち主だった少女の過酷な人生を物語っていますね……。
2.テーマ
水木が貞時の訃報を聞き、社長室へ。そこで血液製剤の密約を背負い、村に出張へ行くことに。村へ向かう途中の汽車の中で、戦争の思い出をちらつかせながら、出世欲を語る。ここでゲゲ郎が一瞬登場し、冒頭の鬼太郎のように今後の恐ろしさを語るように、水木に「死相が出ておる」と忠告する。
※水木が社長室へ向かうかor向かわないかで変わる世界線
舞台挨拶で公式が言っていた情報ですが、水木が時貞の訃報を聞き付け、社長室へ行くか行かないかで世界線が二つに別れるとのことでした。
・社長室へ行かない場合→原作「墓場鬼太郎」の世界線へ。
・社長室へ行った場合→テレビアニメ6期「ゲゲゲの鬼太郎」の世界線へ。
このことから、それぞれのストーリーが展開されていることが分かります。なので、今作ラストの鬼太郎誕生の後は、水木が恩人である未来が描かれるはずです。原作「墓場鬼太郎」の水木は……。ここでの発言は避けておきます。
※電車の中でも、とにかく喫煙者だらけ。
昭和を感じさせる雰囲気がすごい。少女が咳き込む中、水木も同じように喫煙しようとするが、ゲゲ郎登場により、喫煙せずに終わる。水木の喫煙をやめさせるようなゲゲ郎登場に、ゲゲ郎の優しさや労わりの心が垣間見える気がして、はい、惚れる。
※ここで登場する咳き込む少女
はい、出てきました、日本人形の持ち主。後に日本人形はラストの残酷な場面で再登場します。この時代は結核が流行っていたので、もしかするとこの少女は療養するために、なぐら村へ向かっていたのかもしれません。
3.セットアップ
入村した水木は、道中に沙代と時弥と出会う。ここで鼻緒が切れ(不吉な予感象徴)、沙代を助けることに。彼女が水木に憧れを抱くきっかけが生まれる。
※写真について
この辺りで昔撮られた龍雅一族の写真が映し出されます。赤子を抱いた定時が映っています。皆、時弥だと思いがちですが、ちょっと待って。この写真には長田がいないのです。庚子はまだ結婚していない時期だとすれば、あの赤子は一体誰……? 後に明かされる近親相姦により、血が濃くなりすぎた龍賀一族の中で、弱質な体質になっているとしたら。あの赤ん坊はこの世にはもういないのかも……。実際に時麿と時弥は病気がちな体質でしたよね。沙代や時弥が果たしてそれぞれの夫婦の子供なのかもかなり怪しく、ぶんさんがスペースの時に着目したほくろの位置で、実の夫婦の子供ではない線が大きいです。恐ろしき龍賀一族。
※入村した水木に、スマートに助けてもらった沙代。
そりゃ惚れる。ただでさえ、膝の上に足を乗せてください、とか水木に言われたら……。しかもあの沙代ですよ? あんな仕打ちをさせられている女の子ですよ? 村の外から来た人間にただでさえ揺らぎがちだと思うのに、あんなに初見から優しくされて足から水木の暖かな体温を感じたら、もう惚れたわ!!ってなるでしょ? 初見から密着ですよ。あの水木と。水木は出世のためにも沙代に気に入られようとしていましたが、まさかあのような気に入られ方をされるとは思ってもみなかったでしょう……。
※時弥あああああ!!!
私の一番の心残りは時弥ですね……。この無邪気な登場シーンを思い浮かべると、どうして彼も死ぬ必要があった? と何度も思ってしまいます。直接的な殺人シーンがなかったのは彼にとって(私にとっても)唯一の救いだったかもですね……。
4.きっかけ
水木は時貞の葬式へ参加する。龍賀家、全員登場。そこで遺言状が読まれるが、相続内容に問題勃発。一同騒然。
※水木が場の空気を察知して、さっと座布団から抜け出すのがすごい好き。空気を読む能力の高さと、切れ者なんだなと伝わってきますね。この辺はやはり兵隊上がりだった由縁なのでしょうか。
※時麿の一人漫才
相続争いで騒然となっている龍雅家を鎮めるために、足でドンっ!!辺りは静まり返り、龍賀家も水木も私達視聴者も、ついに何か言うぞ!と身構えたら!!
「ととさま~!!」
この辺りもやはり血が濃すぎる由縁なのでしょうか……。
※克典は自身が当主になると思い込んでいた
克典は長女、乙米の婿養子であるにも関わらず、製薬会社の社長に就くことも出来、その線からも当主になると完全に思い込んでいたようですね。後に水木に娘をと、ほのめかしたのも、ゲゲ郎が斬首されそうになったシーンでも一人だけ後ろを向いていますし、この村が倫理的に外れた行いをしている事をあまり見たくなかった様子が伺えます。斬首をやめろと言った水木に協力したのも彼でした。作中の様子からも龍雅一族の内情もすべて知らされていなかったのではと思います。血筋を徹底的に大事にしていた龍賀一族ならではの徹底ぶりなのかもしれません。実際克典は、村と外を繋げる橋渡しとして村にはほとんどおらず、時貞に丸めこられる形で利用されていただけなのかもしれません。村が崩壊している時に孝三と車での衝突事故を起こし、そのまま二人一緒にお亡くなりになりました。この二人に関しては、沙代に殺されるような二人ではなかったと思うので、この亡くなり方が彼らにとっては救いだったのかもしれません……。そこまで害がなかった二人でしたが、水木がラストで言った「ツケは払わなきゃなぁ!」のように、龍賀家の因果を背負わされてしまったのか……。
5.悩みのとき
龍賀家は、現社長の克典が引き継ぐと思っていた水木の思惑が外れ、戦時中の出来事と戦いながら自身の出世のことなどを含め、悩む。
※夢の中でも戦う水木
思惑が外れたことで不安になったのか、兵隊時代の酷い思い出が夢となって水木を襲うシーン。もしかするとこのトラウマ的要素から一刻もはやく抜け出したい一心でここへ来たのかもしれません。それを思うと水木の野心も少し見え方が変わりますね……。
6.第1ターニングポイント
最初の殺人事件がおこる。時麿が殺される。ここで鬼太郎父(ゲゲ郎)登場。犯人に間違われ、打ち首にされそうなところを水木が助け、面倒を見ることに。
※時麿さんよ……
ぶんさんがスペースで言われていた通り、「ととさま~!!(鼻水)」で役目は終わっていたのですね……。しかし、嫁をとることも許されず、引きこもりの人生だったかと思うと、うううっとなってしまう……。まろおおおお!!!
※カランコロンなおなじみの音でやっと鬼太郎父の登場!
ねずみ男が「ゲゲっ!?」と言っていたので、二人には面識があったのかもしれません。ちなみに「ゲゲ」は水木先生の子供時代のあだ名だったとのことです。ねずみ男があれだけ驚いていたということは、もしかすると、ゲゲ郎がまだ岩子と出会う前の荒くれ者として出会ったのかもしれませんね。荒くれていたのかは謎ですが。
しかし、あの細身の背格好で着崩れた着物。白髪に片目しか見えない顔。余裕ある態度。あれで食いつかない女子がいますか? どこをとってもパーフェクト。きりっとしたイケメンではありあせんが、あの緩い雰囲気がすごく可愛いし、最高ですね。やはりそこは幽霊族。きっと何百年も生きて、あのかっこよさと可愛さを修得したのですね……。
※ねずみ男の存在感
この映画ではねずみ男がかなりの癒し枠になっているのにはびっくり。子供の姿ということもあり、安心感もあり、張り詰めているこの映画の空気感をいい感じに和ませてくれる唯一の存在かもしれません。死ぬはずがない、と始めから分かる点もいいですよね。
●ざっくりな「承」展開
ゲゲ郎がなぜここへやってきたのか水木は騙して尋ねる。朝、ゲゲ郎が牢を抜け出し、勝手に風呂に入ったりしている。水木は沙代から禁域の小島へ行ってしまったため、気が狂ってしまった沙代の叔父(孝三)のことを聞く。その禁域の小島へ出向いているゲゲ郎を発見。慌てて追いかける水木。島にいた妖怪に殺されそうになる。大ピンチ。いいところでゲゲ郎登場。初めての戦闘。そこで二人は井戸のような穴蔵の秘密を知る。二人はどうにか小島から帰還。水木はゲゲ郎が幽霊族だと知る。その後、二人目の殺人事件が起こる。次女、丙江がまた誰かによって殺された。ゲゲ郎と手を組む。沙代に協力してもらいながら、我を失っている孝三と初めて出会う。ゲゲ郎の妻の手掛かりをここで見つける。そこで裏鬼道使い、長田達との戦闘。妖怪、狂骨登場。ゲゲ郎、負ける。長田達に捕まる。
7.サブプロット
水木が騙し、ゲゲ郎の身の上話を聞き出す。騙されたと知ったゲゲ郎は、人外の雰囲気を醸し出し、ここで人外好きを引き付ける。水木は平気で人を信じるゲゲ郎を滑稽に思う。水木のお着換えシーンやゲゲ郎のお風呂のシーンもあり。
※水木の着替えシーン
私が記憶として覚えている限り、彼には2度の着替えシーンがあったはずです。そのうちの1度はここで。あんなに見せつけるような浴衣の着替え方あります? あれが昭和では普通だったの? しかも背中からのアングルって、余計想像力高まりますが? 監督天才だろ……。あ、言葉使いは若干素になっていますが、興奮すると致し方ありません。
※牢獄内の水木
朝、起きたら牢獄の中。ゲゲ郎をだました仕返しですね。かわいい悪戯。ゲゲ郎は水木を起こさないように、ふとんをずりずりしながら引きずっていったのかな。想像するだけで癒し……。
※ゲゲ郎の入浴シーン
こ、これは完全にサービスシーンではないかあああ!! と当時は大興奮して見てはいたのですが、後々よく考えると、目玉のおやじってめちゃめちゃお風呂好きやん、と気が付き。だからこのシーンは必須だったのです。サービスではないのです。ゲゲ郎時代でも、お風呂が大好きだったのよ、と視聴者に伝えたかったのです。……なわけねぇだろおおお!!?? ざばーん! ゲゲ郎が立ったーー!! ハイジ並みに喜んだ私。水木、分かってるよ。そんな平気な顔しちゃって。平然に装うのも大変だったよね。とても分かるよ。
8.お楽しみ
水木が禁域の小島で大ピンチな窮地を救うべく、ゲゲ郎が最高にカッコ良く登場。「お静まりくだされ!」と妖怪達へ丁寧に言いつつ、フルボッコ展開。凄まじくカッコ良い戦闘が繰り広げられる。
※ゲゲ郎の言葉遣いに惚れる
ゲゲ郎は「~じゃ」とか「わし」とか、明らかに老人言葉じゃないですか。けれど、あの出で立ちでしょ? そのギャップがたまらないのです。見た目と中身がちぐはぐなんですよね。あそこまで戦闘が出来るというのも全く思わなかったですし、「お静まりくだされ!」と丁寧にお願いしつつ、やるときはやる!このような時には躊躇しがちだと思うのですが、判断がめちゃくちゃ早いというか、潔いのです。そしてこの戦闘で、おなじみの鬼太郎の技が出てくるのですが、このゲゲ郎に関しては、鬼太郎のように「リモコン下駄!」とか叫ばないんですよね。やはりそれだけ、巧の技を修得しているということなのかと。さすが鬼太郎父! ですので、その戦闘もめちゃくちゃスタイリッシュで余計にかっこよく見えるのです。
※水木の行動
水木はふらふらになり、鼻血を出しながらも小島の散策を辞めませんでした。その固執は、ゲゲ郎の安否の心配からか、出世欲なのか、小島の秘密を探る為なのか、それとも他の何かなのか。兵隊上がりのせいで、このような場所や境遇に慣れているという理由もありそうですが、ラストの水木も含め、精神力に関しては、人の域を超えているような気がしてなりません。
※怪しい魔法陣
ここは「悪魔くん」のオマージュだと言われています。悪魔くんと言えば魔法陣ですからね!
9.ミッドポイント
水木に幽霊族だと伝えた後に、二人目の殺人事件が起こる。水木とゲゲ郎はタッグを組む。沙代に協力してもらいつつ村の秘密へ迫る。ゲゲ郎と長田の対決。五分五分で戦っていたが、妖怪狂骨の登場で一気に負け試合に。ゲゲ郎は敗北し、捕らわれてしまう。
※ゲゲ郎が泣き上戸
た、たまらん……男の涙、なんてそそられるんだ……。と当時は思っていましたが、よく考えると目玉の親父が泣き虫なんですよね、それを表現しているだけだと思うのですが、思うのですがああ!! 泣きながら奥さんへの愛を語る、こんな素晴らしいシーンあります? このようなシーンでは、私の感性的に、惚れたゲゲ郎にやきもちを焼くことが多いのですが、なぜかそれが全くなかったんですよね。彼のかわいらしい性格や生い立ちなど、様々なことが関係しているのかもしれません。ゲゲ郎にただただ奥さんと幸せになってほしい……。
※沙代はどこまで計算していたのか、それともしていなかったのか
沙代に関しては非常に無垢で可憐でありながら、最初からかなり頭のいい子に見えました。ですので、水木にやっていた仕草や表情は、どこまでが真実でどこまでが演技だったのか、という疑問が最後まで残りました。水木に対して「ちょっとはしたないですね」といった言葉が出るということは、それがはしたないと分かっていてやっているわけであり、本気で彼に惚れていたのか、それともこの村を出たい一心だったのか。ですが、ラストの彼女を見る限り、水木に関しては何かしらの感情を抱いていたのは確かでした。その壮絶な人生から、来世ではめちゃくちゃ幸せになってほしい……と願わずにはいられません。
※ゲゲ郎、妻の情報を掴んだ瞬間、大ピンチに
二人で村を散策したり、沙代に協力してもらいながら、孝三と会ったところで、長田と対決。「糸目の石田彰」がトレンド入りするほどに盛り上がった長田。じゃなくて戦闘。ここでついに糸目開眼です。
※長田の体格について
和服を着ているから分かりにくいですが、彼、めちゃくちゃガタイよくないですか? パッと見、ゲゲ郎と似たような体系かな、とは思っていたのですが、よくよく見ると、肩幅も結構広いし、全体的に肉厚で、めっちゃバッキバキじゃない?みたいな。ゲゲ郎に関しては幽霊族だし、あの細身であの強靭な力は納得出来るのですが、長田に関しては人間ですし、あのような戦闘を可能にするためにも細身では無理だよな、と。長田のサービス的シーンはなかったですが、個人的に一番色んな想像が膨らむメンズでしたね。乙米と。
●ざっくりな「転」展開
水木はここで龍賀一族の秘密と、沙代の真実を知り、驚愕し疲弊する。三人目となる殺人事件も起き、三女、庚子も誰かによって殺される。水木は沙代から託された時麿の日記から龍賀一族の闇と恐ろしさを知り、沙代の願いを叶えるためにも東京へ帰ろうとする。シーンが切り替わり、ベッドで寝かされている人間達。ゲゲ郎もピンチ。身体を切り落とされる直前に、銃を持った水木登場。暴かれる沙代の正体。沙代が怒り狂い、龍賀家はほぼ全員お亡くなりに。水木も沙代に絞殺で殺されかけるが、辛うじて生きていた長田に沙代は殺される。ここからゲゲ郎妻を二人で助けに行く。死んだはずの定時登場。ゲゲ郎の戦闘。狂骨が強すぎて負けそうになる。大ピンチ。死んでいたような水木登場。出世させてやるという貞時に「つまんねぇなぁ!」と言いながら、斧で狂骨を操っていた壺を破壊。先祖の想いが集結し、霊毛ちゃんちゃんこ完成。妖怪、狂骨退治。
10.迫り来る悪いもの
ゲゲ郎は捕まり、水木は乙女から龍賀家の真実を聞く。三人目の殺人事件も起き、水木は時麿の日記により龍賀家と村の全ての真実を知る。その残酷さと、沙代の願いも相まって、東京へ戻ろうとする。ゲゲ郎も培養にされている人間達と一緒にベッドに縛られ、最大のピンチが訪れる。
※龍賀一族の闇過ぎる闇
どこまでこの一族は闇を持っているんだ……。まさかの真実に、あの可憐な沙代までもがその犠牲になっているとは……。この視聴者の想いを水木がしっかりと言葉通りに吐き出してくれ、ここに水木がいてくれたことに非常に安心感を覚えました。なんというか、彼、不器用ながらも凄く頼りになる男ですよね。龍賀家の女は皆、あの時貞に……と考えると、やはり、沙代も時弥も誰の子なのか分かりませんよね。
※孝三だけ、名前に「時」がついていない
龍賀家の男児には「時」という名前が付いています。ですが、孝三だけ付いていないのです。ということはですよ、孝三は龍賀家の女が生んでいない可能性があります。つまり外から来た嫁。時貞の本妻は今回の映画では出て来ていませんが、その二人の子供だった可能性が濃厚だと言われています。
※乙米が語る龍賀家の大儀とは
乙米が語った日本の未来のこと、龍賀家のこと、それが正義だと生まれた時から言われ続けていれば乙米のようになるのは納得いきます。ですが、長田ああああ!!君がいるってことは!!
龍賀家の女の務め!!とか言いながら、政略結婚でお互い好きでもない人と結婚しちゃったけれども、ダブル不倫で愛を育んじゃっていたんだなーー!!ちょいちょい抱きついてるところは見逃さないよ。あのようなことを水木に言いながら、実際は愛した人がちゃんといて、龍賀家一色に染まっているわけではないのですから。そう考えると、あの二人の最期は、儚くも悲しいラストでしたね……。今ふと思ったのですが、あの二人はプラトニックな愛を築き上げていた可能性もなくはないよなと。若干距離が近すぎたので、可能性は低そうですが、乙米がもし長田の子を身ごもったりすれば、それこそあの村では死罪になりそうですし。嗚呼、来世ではあの二人がもっと幸せになれますように……。来世に期待ばっかしかないなこの映画。
11.すべてを失って
水木の登場。おかげでゲゲ郎は助かるも沙代の悲しい真実が明るみになり、妖怪の力で龍賀家はほとんどお亡くなりに。水木も沙代の手によって殺されかけそうになるが、乙米を愛していた長田により、殺される。そのまま長田も死亡。
※水木がゲゲ郎を救うターン!
最初はゲゲ郎が水木を救うターンでしたが、はい、お待ちかね、水木ターンやってきました! ここでの水木は、スペースで花さんが言われていた通り、その銃でも誰も殺していなのですよね。やはりここは「戦争の悲惨さ」がテーマになっているだけあり、兵隊上がりの水木に、これ以上誰かを手にかけることは避けて作られているものだと思われます。
※水木を絞首で殺そうとする沙代
乙米の「お父様のお気に入り」発言、酷すぎでしょう……。みんなの前で、しかも水木の前でそんなこと言うなよおおお!! そりゃスプラッタになっても文句言えないよ。他のみんなもスプラッタ状態だったのに、水木にだけは自らの手で殺そうとしていましたね。殺人が出て来る物語に触れていると、愛する者に対しては絞首して殺害をする場合が多く、その点からも見ると、沙代の気持ちは想像以上に大きかったのかもしれません。沙代の人生を想うと、こんなことしちゃうのも仕方ないよね……と思ってしまう自分もいます。それ程までに追い詰められ、水木もあのような態度だったし、どこにも逃げ場がなく、どうしようもなかったのではと思います。龍賀家の掟みたいなものと一緒に小さな頃から育てられているはずだとは思うのですが、それでも完全に染まることなかったという。それでこのラストだったわけですが、やっぱり悲しいいいい!!!!
12.第2ターニングポイント
岩子を助けに行った場所で、まさかの貞時登場。時弥を犠牲にして復活していた。ゲゲ郎の戦闘。狂骨が強すぎて負けそうになる。大ピンチを迎えるが、死んでいたような水木がここで登場。出世させてやるという貞時に「つまんねぇ男だなぁ!」と言いながら、斧で狂骨を操っていた壺を破壊。自由になった狂骨に負けそうになるが、鬼太郎の泣き声から先祖の想いが集結し、霊毛ちゃんちゃんこが完成。妖怪、狂骨退治。
※貞時がめちゃくちゃ気持ち悪い
時弥の身体で、顔だけ定時という異様さがめちゃくちゃ気味が悪いし、気持ちが悪いのが印象的でした。え、ウソ、時弥も、え、ウソ……。というぐるぐるな落胆さと、あの近親……、その言葉を書くのもおぞましいほどに、こいつが、あの沙代ちゃんを……!! 水木の「最悪だ……!」という言葉が脳裏を過ぎります。あああ早く倒してくれえええ!!
※水木の成長
出世欲のためにこの村へやってきた水木が、その出世を捨て「つまんねぇなぁ!」とまで言い、斧を振り下ろすという荒業に。先程まで白目向いてもしや死んでる?状態だったのに……!号泣。彼は戦争中、弱いものはとことん弱い立場でしかないことを味わい、そこから成り上がる為に、出世への野望を抱いていたわけですが、その弱い立場の者達を利用し、血液製剤『M』を作り、「日本の未来は明るいわい!」など笑いながら言っている定時に心底嫌気が差したのでしょうね。
●ざっくりな「結」展開
ゲゲ郎は妻を水木に託し、生まれて来る赤子のためにも、これからも人間の世界を見たいと狂骨の依り代となる。現代に映り、時弥は鬼太郎が成仏させる。水木は霊毛ちゃんちゃんこのおかげで、孝三のように心は失わなかったが、記憶は失い、白髪となってしまう。「どうしてこんなに悲しいんだ」からのエンドロール後に、墓場から鬼太郎誕生。題名表示。
13.フィナーレ
ゲゲ郎は妻を水木に託し、生まれて来る赤子のためにも、これからも人間の世界を見たいと狂骨の依り代となる。現代に映り、時弥は鬼太郎が成仏させる。水木は霊毛ちゃんちゃんこのおかげで、孝三のように心は失わなかったが、記憶は失い、白髪となってしまう。「どうしてこんなに悲しいんだ」と言い残すように終わり、エンドロール。
※ゲゲ郎は水木に霊毛ちゃんちゃんこを着せる
水木は途中からそれを岩子へ着せていましたね。狂骨の強すぎる瘴気のせいで、孝三のようにならないようにゲゲ郎が託した優しさですね……。ここで考察ですが、水木が記憶を無くしていたのは、かなり弱っていた岩子へちゃんちゃんこを着せてしまったからではないかと。そこで岩子はそれ以上危害がなく外へ脱出できましたが、水木に関しては白髪になり、記憶まで失ってしまったと。心まで失っていなかったのは途中まで霊毛ちゃんちゃんこを着ていたおかげかもしれません。
※時弥、70年後に成仏する
前回の記事でも少しお伝えしましたが、時弥と鬼太郎のこのシーンはかなり印象的でした。沙代がお迎えに来たとき、彼が言った「忘れないで」と言った言葉も。この「忘れないで」は、色んな意味を含むのかもしれません。時弥自身のことを「忘れないで」、そしてこの酷い出来事、戦争の悲惨さ、この映画のテーマだった全てがこの「忘れないで」に乗っていたとすると、一番の被害者だった時弥が述べるべき言葉だよなと。そこで、お迎えが来たのが母、庚子ではなく、沙代だったことを考えると、時弥と沙代に関しては、この酷い出来事での被害者としてこの映画は表現したかったのかな、とも思いました。
そしてもう一つ。この映画の出来事に関して、未だに覚えているのは目玉の親父しかおらず、時弥がそれを知った上で「忘れないで」と直接伝えた。もしかすると時弥は、この70年間の日本を全て知っているのかな、とも思い、今の日本へ忠告し、託すように、記憶を失っていない目玉の親父にその言葉を伝えた。考えすぎでしょうか……。もしそれが真実なら、目玉の親父はこの先も鬼太郎と一緒に、この日本の未来のために戦い抜くのでしょう。あ、泣けてくる……。はよ七期いいい!!
※この映画は名台詞が多すぎる
「友よ、お主が生きる未来をこの目で見とうなった」「どうしてこんなに悲しいんだ」など、他にも多くの印象的なセリフがあるのがこの映画の特徴かなと。ここまで記憶に残り、名台詞がある映画はなかなかないと思うのです。言葉が響くということは、それ相応の盛り上がりと視聴者がのめり込む展開が必要だと思うのです。ここまで印象的な言葉があり、馴染んでいるのは、この映画の一つの魅力なんだろうなと思います。
ちなみに私が一番印象に残っている言葉は「どうしてこんなに悲しいんだ」です。この水木の一言に、この映画の全てが集約している感じがしてなりません。この「悲しい」には水木の色んな感情が伝わってきてたまりませんでした。その「悲しい」には、ゲゲ郎が一人、あの場に残ったことも、岩子のことも幽霊族のことも、沙代のことも時弥のこと。他にも様々なことを記憶が無くとも「悲しい」と感じていると同時に、水木がゲゲ郎と出会い、今まで二人で懸命に行ってきたこと全てがあり、それは決して忘れたくない大事なものだったはずなのに、忘れてしまった。その事実に対しても、「悲しい」と言っているようにも聞こえて。ああ、思い出しただけで泣きそう……。この時点ではまだ「悲しい」ことしかありません。視聴者の気持ちを代弁してくれたような水木に、本当に涙しかありませんでした。
14.ファイナルイメージ
エンドロール中に水木のその後が描かれ、鬼太郎が墓場から誕生。水木が何かを思い出すシーンも描かれ、これからの未来が明るいものになる予感めいたラストで終わりを迎える。題名がガツンと表示され、ゲゲゲの謎が全て明かされた。
※原作『墓場鬼太郎』のシーンが描かれる
エンドロールからは『墓場鬼太郎』の水木が描かれます。原作と違うのは生まれた鬼太郎を蹴らずに、そのまま抱き合げ、何かを思い出すようなシーンに変更されています。その様子は原作と違い、とても暖かな様子でした。前回の記事でもお伝えした通り、この話は原作『墓場鬼太郎』とは違う世界線です。パラレルワールドと言えばいいのかな。どちらがパラレルかは分かりませんが、ここからまた新しい『墓場鬼太郎』が始まるわけです。この世界は6期のアニメを見る限り、水木自身、ハッピーエンドという締めくくりをするはず。ということは、原作『墓場鬼太郎』は……? YouTubeで1話のみ無料公開されていますので、気になる方は是非ご視聴ください。衝撃を受けますよ……。別世界線の話なので、そこはしっかりと頭に入れてご覧くださいね。
※エンドロール後に鬼太郎を抱き上げエンド反則すぎ
劇場、明るくなるの早すぎだろ!! こっちは涙だばだばなんだ!! 号泣中に突然明るくなる劇場に、心の中で叫んだ方も多いはず。まぁ仕方ない。明るくなったし、特典でも開けてみるか……。開封の儀。結果、大号泣。いや待て。まだ立てない、立てないんだ……!! これ考えた人ほんとに天才すぎだろ……。その後ダッシュでトイレに駆け込み、個室で落ち着きを取り戻す。とまぁ、慌ただしい2時間でした。
●全体的な感想
驚愕の素晴らしさで、分析で7400文字、感想で12700文字も書いた。
以上で起承転結の私の勝手な感想は終わりです。しかし、まだ書き忘れとかありそうなので、思い出したらまた追記していきます。ここまで長らくお付き合いいただき本当にありがとうございます。大満足な記事となりました。私が。本当に楽しく書きました。読んでいただき本当にありがとうございます。
このように、このエッセイでは、好きなモノをとことん語っていきますので、興味ありそうなモノがあれば、そこだけでも読んで、その世界を少しでも知ってもらえたらめちゃくちゃ嬉しいです。皆様にこの好きなモノの良さを少しでも知ってもらうためにこのエッセイを書いていますので。そしてあわよくば一緒にウハウハしたい。
今後、決まっている予定としましては、海外ドラマ「ゲームオブスローンズ」を語ることと、監督「庵野秀明」さんを語る予定です。以前近況ノートにも同じ内容を書いていましたが、編集、追記をして載せます。興味あればまたぜひ!好きなことは永遠に語っていられますね。
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