大文字伝子の休日27改

クライングフリーマン

『男子会』

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 斉藤理事官・・・EITO創設者で、司令官。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・愛宕の妻。普段は丸髷署に勤務。伝子に感化され、EITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 物部一朗太・・・伝子の大学翻訳部同輩。当時、副部長。

 物部(逢坂)栞・・・一朗太の妻。伝子と同輩。

 依田俊介・・・伝子の翻訳部後輩。元は宅配便配達員だったが、今はホテル支配人になっている。

 依田(小田)慶子・・・依田の妻。ホテルコンシェルジュ。

 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。

 南原文子・・・南原龍之介の妻。

 山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。

 南原蘭・・・南原龍之介の妹。山城の婚約者。

 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。

 服部コウ・・・服部源一郎の妻。

 藤井康子・・・伝子マンションの隣に住む。料理教室経営者。

 久保田警部補・・・元丸髷署刑事。渡辺あつこと結婚。

 増田はるか2等海尉・・・海自からのEITO出向。行動隊長代理。

 金森和子1等空曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵美子1等陸曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ1等陸曹・・・陸自からのEITO出向。

 馬越友理奈2等空曹・・・空自からのEITO出向。

 安藤詩3等海曹・・・海自からのEITO出向。

 浜田なお3等空曹・・・空自からのEITO出向。

 日向さやか1等陸佐・・・陸自からのEITO出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 稲森花純1等海曹・・・海自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からのEITO出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からのEITO出向。


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 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =


 午後1時。伝子のマンション。

 久しぶりに『男子会』が開かれていた。

 皆、EITO東京本部の惨状を、DVDの画像で観ていた。

「短いけど、筒井さんが、そっと撮ってくれた映像は以上です。」と、高遠は厳かに言った。

「酷いな。」口火を切ったのは、物部だった。

「みんな、よく生き延びられたなあ。高遠のお陰だな。」と、依田が言った。

「いや、すぐに対応してくれた理事官の決断力だよ、ヨーダ。」と高遠は応えた。

「色んな面で行動力のある組織なんだね、EITOって。」と福本が言った。

「伝子も、仕事が厳しい分、毎日のように要望を出しているらしい。以前、メモっているレポート用紙見て、びっくりしたよ。翻訳のメモでもあんなに書かないと思う。」

 高遠の言葉に、「それで、高遠さんは、緊急シミュレーションを推敲した、という訳ですか。」と、愛宕は感心した。

「船の上でEITO壊滅って聞いてびっくりしました。それで、巡洋艦の艦長も海将の許可を貰って予定変更して、寄港して僕を降ろしてくれました。あ、服部さんも大変でしたね。」

 山城の言葉に、「僕は大丈夫だけど、コウがね。傷は少しずつ治っているけど、明日から暫く実家に戻ります。」と、服部は言い、続けて、「そうだ、依田さん、色々便宜を図って頂いて感謝しています。」と依田に言った。

「いや、遠慮しないで下さい。仲間じゃないですか。」と、依田は返事をした。

「遠慮と言えば、高遠さん。何かお手伝い出来ることがあれば、何でも言って下さいね。妻も母も心配しています。先輩を支える高遠さんが倒れてしまっては大変だと言っています。」と、南原は言った。

「僕は大丈夫。みんなに元気貰ったし。」と、高遠は笑った。

「高遠さん、緊急オペレーションのプログラムって、誰が作ったんですか?草薙さん?」と、山城が尋ねた。

「いい質問ですねえ。草薙さんと仲間達って言うべきなのかな。ハッカー仲間ですよ。」と言う高遠に、「高遠。危なくないのか?」と物部が尋ねた。

「裏切りですか?僕もそう思って聞いてみたことがあるんです。実は、斉藤理事官が面談して決めたそうです。彼らは、本来の仕事を持っているから、直接参加出来ないんです。それで、非公認で協力料を払って臨時の場合に参加して貰っているんです。勿論、悪意がなくても不具合が生じることがあるから、大蔵さんが精査しているそうです。大蔵さんって、副部長、覚えてませんか?秘密基地にいた部長さんです。」

「ああ、覚えてる。あの人、そんなことまでやってるのか?凄いなあ。」

「あ。それから、プロファイラーの枝山事務官のことも以前お話ししたと思うんですけど、枝山さんも精査に加わっています。」

「ふうん。完璧なんだな。火元はベースワンだけじゃ無かったんだろう?」「ベースゼロに運び込まれた、煎餅の箱からも時限装置の欠片が見つかったようですね。今、急ピッチで修復中ですが、もう一般から訓練生取らないそうです。記者会見の会場も、別に設定するそうです。」高遠は物部の疑問に答えた。

「高遠。シェルターの食料とかは大丈夫なのか?」と依田が尋ねると、「1ヶ月分くらいは大丈夫。敵の目があるから、当面は待避したままだね。伝子達は、秘密基地に出入りして、活動するけど、ベースワンのシェルターには行けない。」

「今日は、ウーマン銭湯なんだろ?高遠。」と、福本が話題を反らした。

「ああ。スケートリンク行ってからのー。ウーマン銭湯。」

「遅くなるね。ピザ、取っとく?」と、依田が言い出した。

「ああ。注文しといて。コーヒー、入れ直すね。」

 午後4時。高遠のスマホに、ひかるからLinenのメッセージが入った。

 午後5時半。皆で雑談をしていると、『女子部』が帰って来た。

 その時、ピザの配達員がやって来た。高遠が財布を出しながら、「何人前って聞いてる?」と配達員に尋ねた。配達員は一瞬黙った。

 高遠は、すかさず長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、EITOが開発した、犬笛のような笛で、緊急信号を特殊な電波で発信することが出来る。

 なぎさが、配達員の手を捻った。

 あつこが、出前の箱を確認した。時計の音を感知した、あつこは、「時限爆弾?」と言い、既に台所で待機していた、伝子に箱を渡した。

 あっと言う間に、伝子は空に消えた。

 10分後。近くの池で水柱が立ち上った。伝子は、ロープに捕まって見ていたが、合図を送り、オスプレイは再び動き出した。

 午後6時半。藤井が持って来た米でご飯を炊き、皆でおにぎりを作って食べた。

 EITOのPCが起動し、理事官が画面に出た。

「何か変わったことは?」と尋ねる理事官に、伝子は、「別にありません。」と応えた。

 外の廊下。ピザを持って来た男は、渡り廊下の手すりに縛られていた。

 中では、ワイワイガヤガヤと宴会をしている様子。

「腹減ったあ。」と、男は呟いた。

 ―完―

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