第十四話 命
Side
あの木の下へと強く足を踏み込み駆ける。
あの星降る夜に双子に会ってから、三日程経った。
相も変わらず人間は調和を乱してばかりだが、今日だけはそういうものも居なくなるだろう。
なにせ、今日は星没の日なのだから。
一年を経た星が沈み、新しい星が生まれる日。それが星没の日だ。
人間達もそれを祝うために一日中町の中で騒ぐ。
毎年この日だけは人がこの辺りに出てくることがなくなるので、ある意味では私の唯一の休日とも言えるのだ。
そんな日に何をするかといえば、敵情視察である。
例の双子に加えて数名と意思疎通を行った際に視界を共有することのできるように細工をしている。
私は狼藉者は追い出したりせずにしっかりと殺すのだが、そいつらが次の日には何食わぬ顔で縄張りを荒らして回っている。
しかも、顔をよくよく見ていると同じ顔の奴がちらほらいるのだ。
全く以て意味が分からない。
最近来た奴等ばかりそうなっているようなので、あの灰色の壁の向こう側に何か秘密があるのだろうと考えた。
そこで今回の視界共有を細工した。
秘密を探ると同時に、対策を考える。
対策のしようがないなら、この地から群れごと離れることも検討しなければ。
成体が減っていくのもまずいが、これ以上減らされると生まれたばかりの幼体にまで奴等の手が伸びてしまう。
それだけは止めなければならない、私の命を懸けてでも。
私は群れの長なのだから。
「何が見えるか楽しみなものだ。人間の知恵というものは時に想像を超える何かを作り出すものだからなぁ」
いつの間にかしゃべれるようになっていた。
何故か人間の言葉でだ。
人間とより深い繋がりを持ったことが原因だろうか?
原因は良く分からないが、あった方が便利な事だから気にしなくてもいいだろう。
取り留めのない思考に無駄な酸素を送りながら、残った物を四肢に送り走る。
それを12分程続けると、あの木に辿り着いた。
相も変わらず誰もいない木の下で、横たわって身を労わる。
今日はもう何も無いだろうし、動きがあるまでひと眠りさせていただくとしよう。
出来れば、いい夢が見れるといいのだがなぁ……。
ここにいる。
母の意思はいつもここに。
私の意思はここにある。
本当にそれが意思なのか?
私はここにいる。
母はここに居ない。
私は何に頼っていた?
私は母に頼っていた。
私は星に頼っていた。
母とは星である。
……ふぅむ、ろくでもない夢を見ていた気がする。
人間達の騒ぐ声で起きた私は、妙な夢を見たとき特有の後味の悪さに気分が下がった。
せっかくの睡眠だったというのに……全く。
今は昼時、生命が最も輝きだす時間帯。
但し、星が輝きだすのは日が沈んでからだ。
随分早い時間から騒ぎ出すものだ思いながら、私は魔力をあの双子へと繋げた。
……ふむ?見ること自体は問題ないのだが、何故一人分の魔力でどちらも見れるのだろうか?
まぁいい、少しばかりお邪魔させてもらうとしようか。
そうして覗いた人間の世界で。
私は地獄を見た。
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朝起きたら鼻血で枕が真っ赤になってるわ、そこから約40分鼻血が止まらずに病院に走るわで全く書けませんでした!
というかこの文も貧血状態で書いてるようなものなので短いね。
でも考える時間はあったから大体の構成も出来上がったから書くのが楽しみだぜ!
症状は上気道炎でした。糖尿病じゃなくて良かった……。
医者によると、寝る時に横向きじゃなかったらワンチャン窒息死だったそうです。
コワイ!
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