第六話  流星群の中に二人

 side 玲

 

 (始まりの町アイオロスに到着しました)

 (初めての冒険を完遂したため、ボーナスポイント1が付与されます)

 (称号:生還者サバイバーを獲得しました)

 (生還者の特典により、スキル:第六感だいろっかんを獲得しました)

 「やっと帰って来れた……」

 レダさんに助けてもらった後、僕達は極力きょくりょく戦闘を避けるようにして町まで帰ってきました。

 攻撃用の矢もないので、また狼さんと遭遇してしまったら楽器で殴りにいかないといけなくなるところでした。

 えーと、とりあえず帰って来れましたけど何をどうするんでしたっけ?

 色々ありすぎて意味が分からなくなってきました……

 「澪、これから何するか覚えてない?」

 「素材の換金と矢の補充なのです!」

 あぁ、そうだった。

 換金できる場所といえば……どこだろう?

 前に本で見たマーケット的なものでもあるのかな?

 そもそもこの町の事すらも知らないということに僕達は気づきました。

 よし、素材が売れるところを探すついでにこの町……アイオロスでしたかね?を探検してみましょうか。




Area 『アイオロス・マーケットプレイス』


 side 澪

 

 草原行きの門から北東に進むと、丁度お目当てのマーケットエリアにたどり着いたのです。

 「スライムの粘液100g60ユルドで買い取るよー!」

 「良質木材500ユルドー!大特価だよー!」

 「素材採取の護衛依頼残り1名募集でーす!」

 ふむぅ、ここでなら狼さんの素材を買い取ってくれるお店もありそうなのです。

 それにしても人が多いのです。

 広場よりは空いていますが、少しでも油断したら人の波に流されてしまいそうなのです。

 でも、これだけたくさんの人を前にしても、あんまり怖いとは思わないのです。

 「どこかに買い取ってくれそうなお店はー……」

 うーん、取り敢えず一番近いお店に買い取ってもらえるか聞いてみるのです。

 「すみませーん」

 「はーい、何の御用で?」

 なんか着物を着ていてかっこいい人が出てきたのです。

 「この狼さんの素材を買い取ってほしいのです」

 「ほう……これは黒狼の素材かい?」

 「狼さんの毛は黒かったので多分そうなのです」

 そう言うと和風の人はそろばんを出して計算し始めたのです。

 「売る予定の素材の種類と等級と量を教えてくれ」

 「はいなのです。えーっとまず――――――」

 インベントリに入っていた素材の量を伝えると、和風の人は驚いた後にそろばんを

こちらに見せてきました。

 そろばんの表面にステータスを見る時の板とよく似た板が出てきていて、そこには『12,000ユルド』と書いてありました。

 「これでどうだ?」

 「……?よくわからないのですが、これは高いのです?」

 物に対する相場自体がわからないので、判断材料が無いのです。

 「あー、もしかして相場を知らない感じか?」

 「はいなのです、ここが初めてのお店なのでよく分かっていないのです」

 「なるほどなぁ、まぁこの金額は高い方だとは思うぞ?」

 和風の人が言うには、黒狼の素材自体があんまり市場に出てきていないので自分自身も適正価格が良く分からない、でも自分の生産職が皮細工かわざいくなので自分の思う高めに金額を設定した、とのことなのです。

 ……うん、先生と同じなのです。

 信用できるようなのです。

 「じゃあそれでいいのです。買い取りよろしくなのです」

 「お!そうか、そりゃあ良かった」

 素材を店のカウンターの上に載せて、それと引き換えにかなり大きな袋に入ったユルドを受け取るのです。

 「あぁそうだ、相場とか町の情報を知りたかったら図書館に行ってみるといいぞ」

 「図書館……本がいっぱいある所なのです?」

 「おう、すげーいっぱいあるぞ!」

 そう言って笑いかける和風の人。

 その笑顔は、なぜだかこっちまでつい笑顔になるくらいほがらかな笑顔なのでした……。




 そして私達は、図書館で相棒あいぼうを見つけることになるのです。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

タイトルはそれぞれの話のモチーフだったりそうじゃなかったり……。


 第六感……10%の確率で認識外の敵性行動を感知することが出来る。


      私は生きるために全てを賭けた。

      すると、体の中で何かが目覚めた感覚がした。

      私は、意識外の事柄にすら反応できるようになっていた。

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