第1章 春と誓い

そして楽しみにしていた誕生日パーティーまでは、感覚的に時間が過ぎるのが早く、あっという間に当日となった。

ゴールデンウィークは両親が仕事でどこにも行けなかったが、澪夏と部活帰りにお昼を食べたり、買い物したりと、2人で出かけた日はあったのだった。

私はその時に買ったワンピースを着て、髪は内巻きに巻き、軽くメイクを済ませる。

澪夏と買い物に行った時、私が手に取っていたワンピースは、見る分には可愛らしかったのだが、着たら派手すぎるのではと思ってしまい、どうするか悩んでいた。そしたら、「それ、彩葉に似合うと思うけどな」と澪夏が言って後押ししてくれて、それもあり、このワンピースに決めたのだった。

誕生日パーティーは、澪夏の家で午後からやることになっていた。利斗君は、秀君が合流して一緒に来てくれることになっている。

私は先に澪夏の家へと向かった。

誕生日パーティーの買い出しは、昨日の午後、澪夏と秀君が行ってくれた。私も手伝うと言ったのだけれど、断られてしまった。部活動が終わった後に、2人は合流するそうだったので、私は部活動が終わった後、利斗君のお茶も頼み、澪夏と分かれ、帰路についたのだった。

澪夏の家に着いた私はインターホンを押し、ドアが開くのを待つ。

「彩葉、誕生日おめでとう!入って!」

「ありがとう!お邪魔します」

澪夏は日付が変わったタイミングで、スマートフォンにお祝いのメッセージをくれた。私も澪夏の誕生日には、1番にメッセージを送りたいので、日付が変わったタイミングで送っている。

澪夏の家へ入ると、澪夏の家族もお祝いの言葉をくれた。私は挨拶やお礼をし、手土産に持ってきたお菓子を渡す。

私達は澪夏の部屋と入り、2人の到着を待った。

「澪夏が来る5分前くらいに秀から連絡きたんだけど、2人ももうすぐ来ると思うよ」

「…うん」

「彩葉、緊張してる?」

「緊張…、してる。でも、休みの日に利斗君に会えるなんて、にやけちゃいそう」

私は腕をテーブルに置き、その上におでこをのせる。私がそう言うと、澪夏は笑っていた。

「……ねぇ、彩葉」

澪夏が笑うのをやめ、優しい口調で私の名前を呼んでいた。私は顔を上げて、澪夏を見た。

「私、彩葉が後悔しないためならなんでもするから。たとえ、彩葉にやめてって言われても」

「どうしたの?いきなり」

「今日は彩葉の誕生日だけど、私の決意!…最後の告白の結果はどうなるか分からないけど、彩葉に後悔だけはして欲しくない。利斗君への想いを、後悔で終わらせてあげたくない」

「澪夏…。ありがとう。澪夏がいてくれて本当によかった」

「それはお互い様。これからも、何でも話しなよ」

私達は顔を見合わせ、笑い合ったのだった。

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