第1章 春と誓い

4月の中旬も終わる頃、その日の部活動を終え、私達は部室で話をしていた。

私達3年生にとっては、今年が最後の大会。中学校の時、ただ面白そうと思って澪夏と始めたソフトテニスだったけれど、始めてみるとやりがいを感じて、真剣に打ち込むようになった。

大会で優勝したとか、ベストいくつまで残ったとか、いい結果をだしたことはないけれど、それでも悔いのないよう、自分の全てを出し切って終わりたい。

「お疲れ様でした」

「お疲れ様、気をつけて帰ってね」

「2人ともお先に。お疲れ」

「お疲れ様、また明日」

後輩や同級生達が次々と部室を出ていく中、私達は話しをしながらゆっくりと帰る準備をしていく。こんなにも長い時間一緒にいても、話が止まらずにずっと話せるのは、私と澪夏が親友の証だ。どんなに些細なことでも話して、笑い合って、そしていつも一緒にいるのが当たり前の存在。澪夏の隣は、本当に居心地がいい。

「そういえば今年の彩葉の誕生日、日曜日みたいだし、家で誕生日パーティーでもする?」

「え!?むしろしてくれるの?」

「当たり前じゃん。日曜日だから部活も休みだし、4人でしようよ」

「4人って、もしかして…」

「秀と利斗君も誘おう」

澪夏のその提案に、驚きを隠せなかった。しかし、現実を考えると利斗君は来てはくれないのではないかと、そう思ってしまう。そのことを澪夏に伝えると、澪夏は私の肩に左手を置いてこう言った。

「誘ってみなきゃ分からないでしょ。高校最後の1年間、悔いなくいこうよ」

澪夏は力強く、そう言ってくれた。

私の誕生日は、世間がゴールデンウィークで賑わった後の数日後。

ゴールデンウィークは、小学校の頃までは家族で泊まりがけでどこかに行くことはあったが、中学校に入ってからは部活動もあったために、出かけることになっても、近場に行くくらいだった。

私の1個上に姉がいるのだが、私も姉も大きくなったために、元々土日と祝日が休みではない仕事をしている父と母は、同僚に休みを譲り、ゴールデンウィークも仕事にでるようになっていた。たまたま休みが重なり、全員予定が空いていた時、近場だが出かけるといったような形だった。

今年はどうなるか分からないが、どこにも行かない可能性だってある。だからなのか、誕生日パーティーをしてくれるのはとても嬉しい提案だった。

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