第1章 春と誓い
「話長くて疲れたね」
私は隣を歩く彼女に向けて、生徒がよくするセリフを口にした。私達は今、1時間目の始業式と2時間目の学年集会が終わり、教室へと向かう途中だった。
「ほんとそれ。1時間目に2つとも終わらせればいいのに」
「分かる、なんなら10分くらいずつでいいよ」
「それは随分と短縮されたな。話聞きすぎてなんの話されたか、ほとんど忘れた。話せばいいってもんじゃないでしょ」
「3時間目からも教室で先生の話、あると思うけどね」
一ノ
高校生活最後の1年間を迎えるには、今日は曇っていて、気分が滅入るようだった。しかし、今日は4時間目までなので、部活の時間を長く取れる。その事は、楽しみだった。
「今日の部活、何するんだろ」
隣を歩いている親友、
私達は小さい時から仲が良かった。私は保育園で澪夏は幼稚園だったのだが、近所に住んでいるために、休みの日に公園で会えば遊ぶこともあり、そこから仲良くなったのだった。
中学校の時は必ず部活動に入らなくてはならなかったため、2人でソフトテニスを始めた。高校では必ず部活動に入らなくてもよかったのだったが、そのままソフトテニスを続けることに。
高校は2人で合せたとかではなく、2人ともたまたま志望校が同じで、高校も一緒に通えることになり今に至るというわけだ。
高校でも部活動を続けることになった結果、中学校の時はペアがそれぞれ別だったのだが、高校ではペアを組めることになった。その上、今では澪夏が部のキャプテンだった。
「お、2人ともみーっけ」
後ろから声が聞こえたと思ったら、彼は澪夏の肩に腕を回し、澪夏の隣を歩き始めた。彼は、澪夏の恋人の
高校に入って私達は彼と知り合ったのだが、2人は高校1年生の秋からずっと付き合っている。澪夏に彼氏ができた時は、澪夏を取られてしまったみたいでもやもやしてしまったのだったが、幸せそうな彼女を見ていたら、その思いはすぐに消えていった。
2人が些細なことで喧嘩した時はもちろん澪夏の味方だが、早く仲直りをしてほしくて無理矢理2人きりにさせたり、少しでも早く仲直りできるように協力したりもしている。
今では2人を見ていると、実際より長く付き合っているかのような、安心感さえあるのだった。
澪夏の恋ももちろん応援するし、逆に私の恋も応援してもらっている。それ以外のことも、どんな小さなことでもお互いに話す。私達は、唯一無二の親友だ。
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