第13話

そんなある日のこと。

いつものように挨拶を無視された俺はいらついていた。

鞄のポーチからハサミを取り出す。

これは別に誰かを傷つけようとしていたわけではない。たまたま道具として持っていたものだった。

いつものようにナナミが近寄ってくる。

俺は何を思ったか、それをナナミの首元に近づけて叫んだ。


「こいつを殺されたくなかったら、俺を無視するな。いいなわかったな」

そう叫ぶと、クラスメイトたちは何事かと俺を見た。

ざまあみろと思った。思ったのにナナミの泣き顔を見た時、嬉しいだとかそう言う感情は生まれてこなかった。

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