ヤバイラーメン屋さん(豚骨ラーメン・北富士三ケ原店経由)

@k0905f0905

第1話

「へい、らっしゃーい」

カウンター越しに頭の禿げあがった

太り気味のオッサンがドスの効いた

声を四畳半程の狭い店内に轟かせた。

オッサンは銀色に光り輝く出刃包丁をギラつかせていた。

ここは富士三台が原二丁目にある、とある

豚骨ラーメン専門店である。

店主の名前は出刃豚骨。冗談みたいな

本当の名前らしい。

 ネットの口コミサイトで評判だったので

ボクは出かけることになったわけだった。

「何か、用」

オッサンがギロリとボクを睨んで

出刃包丁をボクの顔に向けた。

「いっ、イヤ、ラーメンを」

「何ラーメン」

「何ラーメンって、ここ、豚骨ラーメンしか置いてないんじゃ」

「豚骨ラーメンにも上・中・下があるんだよ」

「へーっ」

ボクは知らなかったので、自分の浅はかさを反省した。

「じゃあ、無難なところで中もらおうかな」

「中にも松竹梅があるんだけど」

ボクは知らなかったので、自分の浅はかさを反省した。

「じゃあ、中の松」

「中の松は高いよ」

「どれくらい」

「眼玉が飛び出るくらい高い」

ボクは知らなかったので、自分の浅はかさを反省した。

「じゃあ、やめるわ」

「それじゃあ、なんにする

「オムライス、ある?」

「上・中・下とあるけどどうする」

「あるんだ」

ボクはしばし感心。


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