第31話 侍VS最強
『武装展開!』
武家屋敷が詠唱すると体が光り赤い甲冑と兜が身につけられた。
(換装系の魔法か?…もう少し様子を見るか…)
『出でよ!我が
武家屋敷が声を上げると30体程の武装した真っ白で顔のパーツが無い兵が地面から出現した魔法陣から召喚された。
(換装と…人形の生成か?それだけじゃ拍子抜けだぜお侍さんよ…)
『城壁!塹壕!櫓展開!』
武家屋敷の声と共に城跡と塹壕と櫓が生成された。
『やるじゃん…お侍さん!』
『各人配置に付けぃ!』
武家屋敷の号令と共に召喚された兵は配置に付いた。銃や弓を持った兵は城壁の裏と塹壕、櫓、前衛部隊の後方へそれぞれ別れ、前衛隊の薙刀や刀を持った兵は前に出た。
武家屋敷は指揮のためか櫓で見下ろしている。
『前衛隊!行けい!後衛隊は隙を見て攻撃せよ!』
武家屋敷の号令と共に前衛隊の兵がアレンに襲いかかる。
(こいつ…好き勝手やってんな…多属性所持術師(マルチ)か?
面白れぇもの見れたのはいいが…がっかりさせんなよ!)
『ユニゾンバースト!』
中腰になったアレンは両腕を勢いよく広げたと同時に凄まじい爆音と共に爆風が吹き荒れ前衛部隊の兵が破壊された。
(これは光、熱、運動エネルギーを融合させた
爆発だぜ…
やっぱ…雑兵はこの程度でくたばるな)
『ふん…やはり強者…アレン=スリードよ…では…これはどうする?』
バンッ!
パシュッ!
後衛部隊がアレンの隙に漬け込み弓と銃での攻撃に加え、
ピタッ…
『なっ!?』
アレンに向けられた飛び道具はアレンを中心とした半径5メートル程の位置で制止した。
ボンッ!
パラパラ…
鉄砲は空中で爆発し、銃と弓はアレンに届かず地に落ちる。
『まぁ…この程度の運動エネルギーなら固定するのはわけないね…』
(後衛隊がどうせ攻撃してくると思って予め無詠唱で範囲魔法を組んでたのさ…)
『ハハハッ!やりおる!
されど!侍の魂は不滅也!
死した兵どもよ!怨みを糧とし一つとなりて復活せよ!』
武家屋敷が告げると前衛部隊の残骸が一つに纏まり黒いオーラを纏った般若の顔をし甲冑を身に付けた5メートルほどの大きな武士が顕現した。
『おいおい…まじかよ…』
『行けい!黄泉武者よ!此奴をお主と同じ場所に連れて行ってやれい!』
『グギャァアァァ!』
黄泉武者は咆哮を上げ2本の刀を振り回しながらアレンに襲いかかる。
『くっ…』
(あの化け物の攻撃が分からねぇ以上は接近は禁物…地雷を撒きながら距離を離すしかねぇ……
停止結界も解けねぇな…嫌らしい遠距離攻撃も控えてるし…困ったものだねぇ…)
ボンッ!
『グギャァアァァ!』
黄泉武者の足元から高威力の爆発が起きた。
(ユニゾンゲイザー…さっきの魔法の地雷バージョン…足はもげたかな…?)
カチャカチャカチャ…
黄泉武者の損傷した左足が即座に再生する。
『……』
(こんな化け物が何のリスクも無しに容易く再生するわけがねぇ…
術師が膨大な魔力を使うか…身体機能を代償にするとかが挙げられるが…見た感じあのお侍さんピンピンしてやがる…さてどうしたものかね…)
暫くアレンと兵達の攻防が続いた。
『ハァ…ハァ…』
(あの化け物侍…不死身か…?
でも…心なしか飛び道具の勢いが弱まった…
ん!もしかして…)
アレンは辺りを見渡した。
(やっぱな…15体程いた後衛隊の数が5体…内3体は俺がぶっ飛ばしたが…7体いねぇ…
十中八九、化け物侍の再生に使われたな…
とりま後衛隊のストックがなくなるではこのままで良い…後衛隊が居なくなりゃあの化け物に集中できる…化け物を倒すのは良いとして…術師がどう出るか…だな)
攻防は続き、後衛部隊の姿が見えなくたった。
(後衛隊は壊滅したか…?さて!この化け物をぶっ壊してやるぜ!)
『居合!賽の目切り!』
黄泉武者の影から勢い良く武家屋敷が飛び出してきた。
『全魔力解放!ユニゾンバースト!』
ボォンッ!
闘技場は土煙に包まれる。
『おぉ!土煙が晴れたぞ!両者どうなってるのかァア!?』
『ハァ…ハァ…』
アレンは全身に斬り傷と出血が見られ、二本の剣を抜刀していた。
『ぐぬぬ…』
黄泉武者は完全に大破し、武家屋敷は大火傷を負い膝をついていた。
『ハァ…ハァ…お侍さん…こりゃどう言うことだい?あんたは櫓で指揮を取ってたはずだ…何で化け物の影にいた…?』
(なんか仕掛けてくると思って、全解放の魔力防壁と即出しできる魔法を準備していたが…まさか櫓にいたはずの本体が突っ込んでくるとはな…遺物で人体改造してる俺じゃなきゃくたばってたな…
抜剣もギリギリで何とか本体と化け物の攻撃の被害を抑えれたけど…ぶっちゃけ大打撃…魔力もあんまし残ってねぇし…)
『よくぞ!聞いてくれた!これぞ二重影武者!我は隙を見て黄泉武者の影に潜み、櫓の影武者と視覚と発声器官を繋げ指揮を取っておったのだ!されど!魔力消費は甚大也!
我が魔力は風前の灯!さぁ!アレン殿最後まで試合おうぞ!互いの刃で!』
『あぁ!良いぜ!ジロウ!最高に面白いぜあんた!』
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