第28話 集いし強者達
『蓮!お疲れ様〜!シエルんのことありがとね!てか顔赤いけど大丈夫?』
『…問題無い、夏の熱に襲われただけさ…』
『ふ〜ん、蓮なら夏の熱なんてへっちゃらだと思うんだけどな〜』
ニヤニヤ…
『…明日に疲れを残すわけにはいかないしな、俺は風呂に入って寝るよ後は任せた』
『うむ!任された!』
蓮はレオナに後のことを任せ、自室へ戻った。
『むにゃ…むにゃ…れ…ん』
ピト…
『キャッ!』
レオナが冷えたお茶の入った容器を眠っているシエルの額に当てた。
『シエル〜ん、おねんねはお風呂と歯磨きを済ませてからだぞ〜、それにお顔真っ赤だからお茶飲んで落ち着きな〜』
『う…うんありがと…』
コク…コク…
『ぷはぁ…』
『落ち着いた?』
『う、うん…』
『蓮ってパッと見素っ気なく見えるけど根は良い子なんだよねぇ〜…
顔も良いってのもあるけど良い子で最近気遣いまでできるようになってきたから…
こりゃ倍率高くなるなぁ〜…じっとしてると誰かに先を越されるかも…?なんちゃって!』
『…嫌…それは…嫌』
『シエルんは蓮のこと好き?』
『うん…私…ラギー…いや…蓮のことが好き…、私以外の誰かと結ばれるのを考えるとここが締め付けられそうになる…』
シエルは顔を赤らめ自身の胸に手を当てる。
『よし!よく言った!お姉さん全力でシエルんのこと応援するぞ!』
『う、うん…レオナ、ありがとう…』
『ふぅ〜…さっぱりした…二人とも何を話してるんだ!』
お風呂から上がったアイリスが二人に話しかけた。
『恋バナよ!恋バナ!私もシエルんお風呂に入れてくるからアイリス貴方も交えて恋バナするわよ!』
『あ、あぁよくわからないが分かった』
レオナは急いでシエルを風呂に入れ歯磨きを済ませベッドに戻った。
『んでね!シエルんは蓮のことが好きなわけ!
でもあの鈍ちんがシエルんの気持ちに気付くかどうかなのよね〜』
『なんと…』
『アイリス貴方は何かそういうの無いの?』
『私は別に無いな…』
『今日騒と周ったでしょ?騒はどうなの?』
『年下にしては結構しっかりしてた印象だな…はっちゃけるところでははっちゃけて、そうじゃ無いところではその場にあった行動をしていたな…
彼は元気で一緒に周るのは楽しかったな…いかんせん少し歳が離れてるから元気が良い良くできた弟みたいな印象だったな…』
『ふ〜ん、恋愛対象ってわけじゃなさそうね…
アイリスもそろそろその辺考えたほうがいいんじゃ無い?時は待ってはくれないわよ?』
『……そういう、レオナはどうなんだ?』
『え!?私!』
レオナはアイリスに詰められ驚く。
『なんだ?無いのか?』
『んー!私のことはいいの!シエルんの話に戻りましょ!』
アイリスに見つめられ赤面したレオナは話を逸らした。
(話を逸らしたな…まぁいいか)
レオナ、アイリス、シエルの三人は夜遅くまで話に花を咲かせ就寝した。
夜が明け、目覚め女子グループは男子グループと合流し朝食後、参加者の確認へ向かった。
『さてさてさて!どんな強者が参加してるのかな!』
ザワ…ザワ…
『うわぁ…レオナだ…俺辞退しよ…』
『俺も…恥かくだけだしな…』
レオナの参加を察した、参加者たちが次々と辞退していく。
『あんたらぁ〜奇遇やなぁ〜』
レオナ達に軍服を着た猫目の少女と若い男性が近づいてきた。
『あ!ギルとリンじゃん!君達も出場するのかい!?』
『ウチは出るけどギルは見学するみたいやな』
『あ、リン先輩!ギルベルトさん久しぶり!』
『音村の坊主やんけ〜元気しとったかー?』
『おう!俺はいつでも元気だぜ!』
『あぁ…あの時イズナさんと一緒にいた少年っすね…どうも久しぶり』
レオナと音村がリンとギルベルトと挨拶を交わす。
『ほんでなぁ〜今回もしっかり強豪おるでぇ〜…
Sランク冒険者のカードマスター、フォルス
同じくSランク魔奏のカノン
後…今回の一番の大物…』
『ふぁ〜…ここかぁ…参加者確認表…
旅の資金尽きてきたし…ちょちょいと勝って次の場所行きますかねぇ…』
『アレンさんの金遣いが荒いからですよ!
ほいほい、魔道具やらアーティファクトだの無計画に買うから!』
金色のショートヘアに青い瞳を持ち、白のシャツの上に黒いのコートを羽織った、銀の十字架の首飾りと2本の剣を腰に携えた若い男とベージュ長髪と水色の瞳を持つ青いワンピースに白い金と黒のラインが入った外套を羽織り、自身の身長程の杖を携えた少女が現れた。
『マジか…あいつが参加するのか…』
『終わったわ…』
二人が現れるのを確認した参加者達は次々と絶望し参加を辞退する。
参加者達の絶望具合はレオナの比ではなかった…
『つってもアリスさんよぉ〜…
アーティファクトや魔道具ってもんはその気を逃すと二度と手に入らねぇ一品ものばっかりだぜ?
買わないで後悔するのが一番心にくるんよ〜』
『あぁ!野宿はもう懲り懲りなのできっちり勝ってくださいね!』
『おう!任せとけ腕っ節だけは自信があるからよ!』
『特級魔導士…序列一位…
奇跡の神童アレン=スリード…
今回の筆頭優勝候補や…』
(ふーん…序列十位の女の子に…九位の弟君…と三位のお姉ちゃんか…参加表見る限りではお姉ちゃんしか参加しないみたいだね…
参加人数8人か…一気に絞られたね…まぁ有象無象相手する手間省けて楽なんだけど…
特級1人に…Sランク2人…軍人1人…無名が3人…
微妙だなぁ…)
『なぁ…音村、参加表に書いてあるジロウ=ブケヤシキって剣道部主将の武家屋敷侍浪先輩と同じ名前だよな…
あの侍っぽい和服を着た人だと思うんだが…顔も似てる…』
『あ!言われてみれば!けどあんなに老けてたっけ?20半ば前後に見えるんだけど…顎髭も生えてるし…』
『空間転移の際に時間軸がずれる可能性もあるっぽいしな…
もしかしたらその影響かもしれん…音村話しかけてくれないか?
ご存知の通り俺はコミュ症だからな…コミュ強なお前なら造作もないだろ?』
『あー蓮ったらまた都合のいいこと言っちゃって!貸1使う!俺っち怖くて無理!』
『ちっ…分かったよ』
(あと2つか…)
『は、始めまして…』
『むぅ?』
ブケヤシキは身長約190センチ程あり、筋肉隆々で腰に日本刀を携えており並々ならぬ威圧感を放っていた。
(こぇ〜…)
『自分、元東京都立京東中の如月蓮なんですけど…
元剣道部主将の武家屋敷先輩でお間違いないでしょうかね?人違いだったらすみま…』
『おぉ!なんと!我が故郷の学友がここにいるとは!よく分からぬ光に包まれ見知らぬ地に来て早5年!
同郷の者に会えるとは!これぞ!国を出て大会に出た甲斐があったというもの!』
『こっちの奴も…同中の音村ってやつで…』
『おぉ!其方もか!』
『へへぇ〜、ど、ども〜』
コホンッ…
『やっと同郷の者と会えたとはいえ…戦前…語りたいことは少なくはないが…
今は堪えるが吉!蓮殿!音村殿!其方らとの戦!楽しみにしておるぞ!では!』
ブケヤシキは蓮達と言葉を交わした後、何処かへ去っていった。
『え…何…蓮達あのゴツいのと知り合いだったの?』
一連の話を聞いていたレオナが蓮に尋ねた。
『ま、まぁな…
話は変わるが…まさか序列一位が参加するとはな…』
『確かに…彼は強い…けど私は勝つよ!』
一同は開会式に参加すべく闘技場へと向かった。
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