第26話 ビーチバレーと大魔道大祭
『ん〜…レオンと音村の奴はまだ寝てるようだな…5時くらいか…少し早く起きてしまったようだな…折角だし浜辺に行って日の出でも見に行くか…』
蓮は海からの日の出を見るべく浜辺へと向かった。
『ん…あれは』
『あ、蓮君おはよう…』
『これは奇遇だな…アイリスさんおはよう』
まだ薄暗い早朝の浜辺にアイリスの姿があった。
『蓮君も日の出を見に来たのかい?』
『まぁ…そんなところだな』
『昨日はすまなかったね…私の一存で君の人生をどうにかしようとして…』
『そのことはもう気にしてないよ、俺は俺の事情で帝国と接触するし、その為にはこの国の安定は必須だしな…
平和とか大それたことは正直考えてなかったが俺は俺なりにこの国にプラスになるように動くつもりさ』
『差し支えなければ君のこと色々教えてもらってもいいか?』
『あぁ…いいよ』
蓮は元いた世界の話から現在に至るまでに起きたことや自身の異世界で何を成すべくとし動いているのかを詳細にアイリスに伝えた。
『そうか…蓮は異世界人だったのか…
異世界に未練を残していて、異世界に戻るべく帝国の者との接触を図っているという訳か…
帝国を敵視してる私が言うのは何だが蓮君達をこの世界に連れてきた奴に接触し元の世界に戻ることが目的なら帝国側についた方が楽だと思うが…そこら辺のことを聞いてもいいかい?』
『無理やりこっちに連れてきて、俺たちを養分にしようとしてきた奴の所属する国に付く気は流石にない、何されるか分からないしな…』
『ごもっともな意見だな、それを聞いて安心したよ…蓮君見たまえ日が登ってきたぞ!
綺麗だな!』
『あぁ…こういうのもいいものだな…』
早朝の潮風を浴びながら、水平線から登る朝日を二人は共有した。
『お!皆んな7時の朝食のバイキングには間に合ったみたいだね!』
レオナは6名全員が朝食会場に来たことを確認した。
『音村が中々起きてくれなくて…少し手間取ったけどね…』
『レオン君悪りぃ〜な…つってもよ〜蓮の奴凍った手で触って無理やり起こしたんだぜ?少しはもうちょっと…手心もんをよぉ…』
『手心加えても起きなかったお前が悪い、俺としてはいい感じに魔法を有効利用できたと思うがな』
『ハハッ!んじゃ行こうか!』
その後一同は朝食を食べ終え今日1日の行動を決めるべく話し合う為ロビーへ向かった。
『なんか皆んないい案ある〜?』
『海水浴場に行って遊びたい!昼飯時は海の家とかで過ごしてぇな〜』
音村はレオナの案募集に一番に発言し、海水浴場提案した。
『俺は日陰でゆっくり釣りでもしてのんびり過ごしたいな』
『……私は色んなお店行って海の幸巡りしたい』
『私も色んな店行って買い物をしたいな、ここにしか売ってない物も色々あるだろうし』
『僕は灯台や博物館とかの観光名所に行ってみたいな』
その後に蓮、シエル、アイリス、レオンが続いた。
『ん〜釣りは早朝の方が釣れるから明日にしよう!午前は海水浴で遊んで海の家で昼食済ませた後、街を周ろう!組分けは行きたい場所各々で相談して各自で決めてくれ!』
各人相談し、組み分けを終えた。
『食べ物チームの騒とシエルん、買い物チームのアイリスと私…観光名所チームの蓮とレオンだね!んじゃ海!行こう!』
6人は午後の組み分けを行った後、海水浴場へと向かった。
『うおぉおっ!すっげっー!賑やかだな!』
『人多すぎだろ…』
『にしても熱いね…』
音村は海パンに上裸の姿をし、蓮とレオンは海パンを履き、上に開いた半袖のシャツを着ていた。
『おっ待たせー!』
『…お待たせ』
『やっと辿り着けたな…』
着替え終わった女子グループが男子グループと合流した。
レオナは黒のビキニに膝まで伸びたスカート付きの水着を着用し、シエルはフリル付きの白黒ワンピースの水着を見に纏い、アイリスは青色のフリル付きのビキニを着ていた。
『うおっ!皆んなすっげー似合ってる!いいね!』
『うん、僕も似合ってると思うよ』
『さて…全員揃ったことだし、何をするか決めるか…』
音村とレオンが女子グループの水着の感想を述べた後蓮が話を進めようとした。
『蓮はどう思う?』
話を進めようとた蓮にレオナが問いかけた。
『ん?どう思うって何が?』
『決まってるでしょ!私達の水着の感想よ!』
『あぁ、いいと思うぞ、2人が先に感想言ったから別に俺まで言わなくてもいいと思ってな』
『あちゃ〜、蓮は乙女心が分かってねぇなぁ〜
俺ら男は水着に割と無頓着だけど女の子はその辺結構こだわってんだぜ?感想あるのとないとじゃ大違いってわけよ
今まで彼女出来たことないでしょ?』
蓮の発言に音村が反応する。
『まぁな』
『こりゃ、いけねぇな…
明日蓮は女の子と周って色々勉強した方がいいかもね…』
『それじゃ!私が明日蓮に色々叩き込んでやろう!』
『お手柔らかに頼むよ…』
蓮との同行にレオナが名乗りを挙げた。
『まぁ、飾らない感じが蓮らしいさって気もするけどね』
『…確かに、それに反応薄い人の方が良い反応の引き出しが甲斐がある
変に無理せず、私はラギーはラギーのままでいいと思う』
レオンとシエルが一連のやり取りに反応した。
(なるほど…らしさか…確かに変に着飾って的を広げるよりも、狭く深く関係持った方がいいかも…
私が蓮に指導する体で行動しても受け身になるし、蓮も不自然な反応を取るかもしれない…
とはいえ、蓮は女性経験が少ないのも事実…ギルドでの活動を騒から聞いた限りでは蓮は面倒見が良い一面もある…
まずは年下相手で慣らした方がいいかもしれないね…年上相手だと変に気を使いそうだし…それに今の話を聞いた感じシエルんとはうまく行きそうだしね!)
ニヤ…
(これは、姉さんが何か企んでる顔だ…)
『ん〜今の話聞いて気が変わった!明日蓮との同行シエルんに任せた!』
『…ん?分かった、いいよ』
『俺も構わないが…』
(相変わらず、凄いマイペースだな…)
『さて!そろそろ何やるか決めますか!
私はマジックビーチバレーを希望する!』
『正気かレオナ!?こんな人集りでやるつもりか!?死人が出るぞ!』
レオナの発言にアイリスが驚く。
『あー、ちと待っててね』
レオナは何処かへ駆けていき、10分程経過した後戻ってきた。
『おっ待たせー!簡潔に言うとここの管理人さん買収してここら一帯の砂浜、貸切れることになった!
既に貸し切るエリアも枠線で囲ってある!』
『は!?』
『…あちゃ〜』
『……』
レオナの強行に驚く者、呆れる者、言葉を失う者三者三様の反応を示した。
『あ、こちら砂浜の管理人のマイケル氏!』
『どうもここの管理人です、儲け話に乗っからせて頂きましたぞい…』
管理人の小太りな男性が現れた。
『儲け話…一体何を!?』
アイリスは驚いた様子で問いかけた。
『ねぇ、騒。今から私大声出すけどその声より大きく遠くに広げることできるかな?』
『お、おうやってみるぜ…』
『よしッ!』
ひょい
レオナは軽々しく音村を右肩に乗せた。
『へ?』
その後レオナは風魔法で飛翔した。
スーッ…
『遊泳中の諸君!この砂浜の一部を特級魔導士レオナ=クラークが貸し切らせて貰った!
これより貸し切ったエリアにてマジックビーチバレーを行う!
本バレーには私を含め3人の特級魔導士とS級魔導士、私が見込んだ弟子2名が参加する!見たい奴は管理人さんに1000ゼニ払って見にきてくれ!
そしたら枠線の中に入れる!それにこの枠線は私のアーティファクトで張っていて結界を兼ねている!枠線に入ったら命の保証はない!
それでも見たいバカは入ってきなさーーい!』
音村を拡声器にしたレオナは天空から人々を見下ろし声高らかに語った。
『な!?特級魔導士3人がやるマジックビーチバレーだと!?』
『祭りじゃ!祭りじゃ!』
『やっぱあの人ぶっ飛んでんな…
まぁ、見に行くんですけどね』
レオナの演説に感化された人々が次々と結界内に入ってくる。
『うひょー!丸儲けですぞい!』
『第二結界の中には入らないでね、流石に死ぬからー!
よし!チーム分けはこうだ!
私、蓮、アイリス!
レオン、シエルん、騒!
バランスは取れてる!多分!
サーブ権はそっちにあげるわ!
さぁ来なさい!』
『レオン君、シエルちゃんこのサーブ俺に任せちゃくれねぇか…?
この夏と会場の熱気で俺史上最高に暖ったまってるからよぉ…』
『…だそうだよ、シエル』
『…ムーラの本気私に見せて?』
『いっくぜー!』
音村は風の魔力を用い高く跳躍した。
『音と風の勢い全乗せでな!』
音村は自身の右手に圧縮した音と風の二つの魔力を頑丈な競技用のボールに解き放つ…
『メテオスマッシュ!』
スパンッ!
高出力の魔力によって打ち出されたボールは空気との摩擦により火を纏った、さながらそれは流星の如く。
『
(
バリン!
蓮の時の鈍足化が付与された氷壁が破られる。
(くっ、こうもあっさり…)
『後は頼んだ!』
(ほう…彼も魔眼を…ならば私も!)
『
そして…
アイリスの瞳が紫紺の光を発しボールの動きが止まった。
その後ボールの近くに黒い渦が発生し、ボールが纏った炎と音村の魔力を呑み込んだ。
『長くは持たない!レオナ決めてくれ!』
『二人ともよく持ち堪えた!
後は私に任せなさーい!』
(それにしても!アイリスは別枠と闇属性のデュアルマジシャンで魔眼持ちか!すごいね!)
バァン!
レオナは足裏に火と風の魔力を融合して発した爆発により加速し、高く跳躍した。
『はぁあぁ!』
レオナは両手に高出力の魔力を込め、組み合わせ頭の後ろまで振りかぶり、空中で海老反りになった。
『焦土の鉄槌!』
ドォンッ!
レオナの組まれた両手によって放たれた一撃はアイリスの停止眼の効力が切れ、向かってくるボールの勢いを爆音と共に打ち消した。
ボールは灼熱の高濃度の魔力を纏い向かいのコートへ向かった。
(まずい!これをそのままにしたら結界が破られて死者が出る…!)
『二人とも今出せる最大の魔法を僕と合わせて放ってくれ!』
『お、おう!爆風波!』
『…サンダーバレット』
『ライジングフォール!』
音村は強力な衝撃波、シエルは磁力と電力を集約した二本の指の間から圧縮された高速高威力の電磁砲を放ちレオンは地面から多量の水を最大出力で放った。
バァン!バリバリバリ!
三人の魔法によってレオナの魔力が相殺され、ダメージに耐えられなくなったボールが弾け、その爆風によって第二結界が割れかけた。
観客は一連の攻防に圧倒され言葉を失っていた。
『あちゃー…やりすぎちゃったかなぁ…』
『なぁ…やめにしないか…?』
『私も蓮君に賛成だ…』
レオナも自身がやり過ぎたことを自覚し、チームメイトの二人は中止を促した。
『いや〜けど楽しかったな!またやりたいくらいだぜ!合体技もやれたしな!』
『僕はもう二度とごめんだけどね!』
『…動いて魔力使ったらお腹すいた…暑いし涼みながら何か食べたい…』
『よし!それじゃこの辺にして海の家でご飯にしよう!
はいはい〜みんな解散〜見に来てくれてありがとねー!』
レオナは観客に終了の宣言をした。
『ヤバかったな…』
『それ…普通に死ぬかと思ったわ』
『肝冷えきったし…今晩試すことはねぇよな…』
観客たちは恐る恐る結界から次々と出ていった。その後一行は海の家へと向かった。
『あ゛〜にしてもあ゛ぢぃ゛〜』
『人口密度も高いし、息が詰まるな…』
『確かにね…まぁこればっかりは仕方ないかな…』
蓮の向かいの席に座っている音村、レオナ、アイリスがあまりの暑さに思わず声を漏らす。
『…そう?こっち涼しいけど…』
『あぁ〜涼しい〜』
対照的に蓮側に座っているシエルとレオナは涼しさを感じている。
『おいおい、蓮なんかしてるだろー?』
『俺の周りに冷気を宿した微風を少しな』
『涼しさの正体は蓮だったんだね〜』
ピト…
『あぁ〜、涼しさの発生源は更にひんやりしてて気持ち〜』
『おいこら、暑いだろ離れろ』
『私も…』
ぎゅ…
『おいおい、シエルもか…』
レオナが蓮の後ろに周り背後から抱きしめ、シエルは蓮の右腕を抱きしめた。
『おい!蓮、裏山…けしからんぞ!』
『んなこと言われても、無理に解く訳にもいかないだろ』
『なぁ蓮君可能なら冷風の範囲を広げてはくれないか?』
暑さで溶けそうになっているアイリスが蓮に懇願する。
『あぁ、分かった』
一行は涼みながら食を楽しんだ。
『いや〜蓮がいたら夏を越えるのは苦じゃないねぇ〜』
『まさしく一家に一台って感じだね!』
蓮の冷気を浴びたレオナと音村は満足げに語っている。
『はぁ…俺はエアコンじゃないんだがな…』
『ふふ、んじゃ予定通り分かれて周りますか!』
6人は2人1組になり、分かれて行動した。
『…博物館も美術館もなかなか良かったな、この地の文化や歴史を色々と知ることができたしな。
色々補足や紹介とかしてくれて助かったよ』
『どういたしまして、僕もこういうの結構好きだし一人で周るより楽しかったよ』
蓮とレオンの組みはさまざまな名所を周っていた。
『そうか、それは良かった。俺は明日早朝釣りしたいし、釣具を買いに釣具屋に寄るけどいいか?』
『うん、構わないよ』
『へいへいそこのお兄ちゃん達、一枚どうだい?』
蓮とレオンが歩いていると、一人の壮年男性がチラシを渡してきた。
『大魔道大祭?なんだこれは?明後日開催のようだが…』
『あぁ、これは有名な魔法で競う大会だね。トーナメント形式で好成績を残した人には賞金やアーティファクト、高価な武器といった景品も貰えるよ。
まぁ…姉さんは参加しそうではあるね』
『レオナとは戦いたくはないな…』
『僕も気が進まないかな…』
『ただまぁ観戦はしたいな、この国の魔導士の闘いっぷりを見るのは知見が広がって良さそうだな』
『それに関しては僕も同意見だね』
蓮達は釣具屋に寄った後ホテルに戻った。
その後、他の組と共に夕食を囲んでいた。
『アイリスとのお出かけ楽しかった〜!
アイリス可愛いし〜癒されたよ〜』
『そ、そうか私も楽しかったよ』
『俺も色々グルメを堪能できて最高だったぜ!んでよ!
シエルちゃんの食いっぷりが最高だったわけ!いっぱい食べた後寝ちゃうもんだから俺っちがおぶったんだけどね〜』
『…美味しかった、ムーラありがとう』
『ところで、大魔道大祭とか言う祭り事があるみたいだが、みんなは参加するのか?』
『私は勿論参加するよ!』
『俺っちも参加するぜ!』
(まぁ、この辺が参加するのは予想通りだな…)
蓮の問いかけに音村とレオナが答えた。
『…私はいいや、もっとご飯巡りしたいし』
『私も遠慮しておくよ、私の魔法は何というか…祭り向けじゃないしな』
『僕も、いいかな目立つのはあまり好きじゃないしね』
続いて、シエル、アイリス、レオンが答えた。
『なるほどな、俺も今回は見るに徹して参加はしないつもりだ』
『え〜、折角だから蓮も参加したらいいのに〜』
『そうだぞ〜、騒が今回の大会で経験を積んだら実力に差ができるぞー』
音村とレオナが蓮の大会参加を促す。
『それは嫌だな…仕方ない、参加するか』
『よしっ!それじゃ3人でエントリーシートを提出するよ!』
一同は食事を終え、レオナは3人分のエントリーシートを提出した。その後入浴を済ませた後就寝した。
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