第22話 再開の約束そして希望の港へ
『……まずは驚いた…まさかリーリャから告白されるとは思いもしなかった…』
(親しくない女子からは何度かあったが…)
『正直俺はそういう風にリーリャを見ていなかったな…優秀で親しみ易いパーティーメンバーだとは思っていたけど…
まずネーヴェリアへの同行に関してだが…俺の一存で認めて良いものか怪しくてな…
この案件は他の特級連中やアリシアが絡んでくる…それに俺も今回の遠征の詳細は聞かされてないし、命の保証もできない…
そして恋人になるかどうかだが…残念ながらそちらも前向きに考えてはないな…
何でかというと俺の生き方や目的にリーリャを巻き込みたくないからだ…
リーリャは勇気を出して俺に思いを伝えてくれたから…俺も…俺のことをリーリャに詳細に伝えようと思う…』
蓮はリーリャに元いた世界での生活や、この世界で蓮がやるべきこと、今まで経験してきたこと等を事細かに伝えた。
『…今の話を聞いても俺と一緒にいたいと思えるか?』
『…蓮は最終的に元いた世界に帰ることが目的なんだね、私はこの世界や皆んなのことが好きだから向こうには行けない…
それに近いうちに帝国が攻めてくるなら、それまでに私も強くならなくちゃね!
蓮が帝国との接触が必須なら相対した時に蓮を護れるくらいの魔導士になる!その時は蓮が向こうの世界に帰りたがらないくらい魅力的な女性になるから!
私はまだ弱い…特級の方々や蓮と並び立つに至ってない…だから"今回"は一緒に行けないかな…』
『そうか…次会える時を楽しみにしてるよ…その時はお互いに成長を見せ合えればいいな…
この世界に留まる云々の答えはだいぶ先になりそうだがな…』
『は〜スッキリした!望む結果が得られないかもしれないけど…
やっぱり思いは伝えるべきだね!蓮!ありがと!
これお礼…』
チュ…
リーリャは家へ戻り、音村と蓮はアリシア邸に帰った。
『お主ら遅いぞ!あまりに遅いから危うくレオナを迎えに行かせるとこじゃったぞ…
む?蓮…お主その指輪…
どこで手に入れた?それがとんでもないものだというのは見ればわかる』
(あの指輪…相当な量の魔力を含んでおるの…最上級アーティファクトをも凌駕する存在感を感じる)
(正直…アドニスのことは話す気が起きないが…下手に記憶を読ませると夜の事を知られかねないしな…)
蓮はアドニスに託された指輪のことを詳細にアリシアに話した。
『アドニス…数年前にギルドマスター補佐に就任した男か…』
(平和を願った一族…恐らくじゃが…
第一次アバシリア侵攻辺りからその指輪の魔力を受け継いできたのか…?)
『お主は元々異世界人…この世界の救世に縛られるのも妙な話よ…
蓮…それを託されてどう生きるかはお主自身で考えよ』
(このタイミングで託してきたってことは…アドニスとかいう奴もそろそろ戦争が近いことを勘づいていたことになるのぉ…
分からぬことは多いが一旦様子を見るほかあるまい…リベル辺りは何か知ってそうではあるが…)
『ともあれ…お主らも以前と比べて見違える程成長したようじゃな…
そろそろお主らには我が家を出て、各々行くべき場所に身を移しても良い頃じゃが…
その前に最後の思い出作りとして港町のアルズポートの観光を計画しておる。
近頃のお主らは賊の対処やら修行やら何やらで色々溜まっておるであろう?精々羽を伸ばしてくるが良い。
同行人の人選は後日伝える…流石に全員で行って此処を空かすわけにもいかんしのぉ…』
『うぉ!?マジで!夏場の港町!興奮が抑えきれねぇぜ!』
『我が家は結構儲かっておるから、予算は多めに出す予定じゃ』
『俺もそろそろゆっくりしたいと思ってた頃だ…良い機会だ精々堪能させて貰うよ』
その後蓮達は就寝し、夜が明けた。
『お主ら!起きたか!
昨日全員に共有したから知っておることじゃが…これよりアルズポート観光へ行く人選を行う!蓮と音村を含めた5人で考えておる!』
『農場の管理のことを考えると私かシエルちゃんは残らないと行けなさそうですねぇ〜…
できればご一緒したかったのですがこの前王都で楽しめたし、シエルちゃんには色々見て周って欲しいので私は今回パスしますねぇ〜』
メルシーはシエルに譲る形で参加を辞退した。
『ウチもパスや理由は大体メルシーと同じやな、それにレオンはここ最近昼夜逆転しとったし。
気分転換に遊びに行った方がええやろ、レオナもおるし姉弟で楽しんで来ぃ〜』
イズナもメルシーに続きレオンに譲る形で参加を辞退した。
『ということで決まりじゃな!アルズポートには蓮、音村、レオン、レオナ、シエルで行くが良い!
明日出発ということで今日のうちに準備を済ませよ!』
観光に行く5人は準備を終え日が明け出発当日となった。
5人は午前5時頃…辺りは少し薄暗い日が上りきっていない時間帯に出発へ向け、動いていた。
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