元気になる魔法

山本もぐら

元気になる魔法

ぼくを好きになる人はいない。

ぼくは一生ロンリーだってわかっている。


友達も、

恋人も、

いたことがない。


家族にも嫌われている。


だから、ぼくは恋愛について語る人を憎んでいるし、


そういう人が、

悲惨な末路を迎えると、


喜びが込み上げる。


みんな死んじまえ!うわー!うわー!


何かの生き物だ。

きっと表面を臭い緑色の粘液で覆われた、

気持ち悪い生き物。


おぞましい声で叫ぶ。


おまじないだよ。元気になる魔法なんだ。


そんなものないから、俺はそんなことを言うガキの股を思い切り蹴り上げた。


あー!痛い!痛いよお!あー!あー!


地面に倒れ、股間を押さえながら、涙を流して、そいつは叫んでいた。


今から春が来るよ。


本当に花が咲いたし、暖かい風が、吹いてきた。


俺はガキの髪の毛を鷲掴みにして、顔面に唾を吐きかけた。


うわーん!やだよー!うわーん!


泣き叫ぶガキを見て、


俺は少しだけ元気になった気がしたんだ。

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元気になる魔法 山本もぐら @yamamotomogura

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