元気になる魔法
山本もぐら
元気になる魔法
ぼくを好きになる人はいない。
ぼくは一生ロンリーだってわかっている。
友達も、
恋人も、
いたことがない。
家族にも嫌われている。
だから、ぼくは恋愛について語る人を憎んでいるし、
そういう人が、
悲惨な末路を迎えると、
喜びが込み上げる。
みんな死んじまえ!うわー!うわー!
何かの生き物だ。
きっと表面を臭い緑色の粘液で覆われた、
気持ち悪い生き物。
おぞましい声で叫ぶ。
おまじないだよ。元気になる魔法なんだ。
そんなものないから、俺はそんなことを言うガキの股を思い切り蹴り上げた。
あー!痛い!痛いよお!あー!あー!
地面に倒れ、股間を押さえながら、涙を流して、そいつは叫んでいた。
今から春が来るよ。
本当に花が咲いたし、暖かい風が、吹いてきた。
俺はガキの髪の毛を鷲掴みにして、顔面に唾を吐きかけた。
うわーん!やだよー!うわーん!
泣き叫ぶガキを見て、
俺は少しだけ元気になった気がしたんだ。
元気になる魔法 山本もぐら @yamamotomogura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます