第60話『で、あるならば……っ!!』
第六十話『で、あるならば……っ!!』
異世界生活三十一日目、朝、第二基地本部ビル最上階。
司令長官室の寝室、その窓際に全裸で立ち、ワイングラスに少し
旭日に照らされた湿地帯の何と見事なものか……
ベッドで寝ている緑の民、アイエが昨夜教えてくれたエルフ文化並みに美しい。いや、僅差で朝の湿地帯が負け、だな。
日が昇り大地を照らす光景は何度も見た、この湿地帯でも同じだ、美しい、が……そこには愛が欠けている(ドヤァ!!
だがしかしっ!!
昨夜学んだエルフ文化は違うっ!!
昨夜のアイエが見せてくれた『アイエの湿地帯』には愛が有った……
頻繁にお花を摘むアイエ、私は異文化を知る為に彼女のお花摘みを観察し続けた。正確にはアイエの股間に有る湿地帯の状況を確認していた。
彼女は湿地帯を覗き込まれても、少し頬を染め不思議そうに首を
そのハニカんだ仕草が私を狂わせる。
尊いエルフ文化とは
私は彼女の正面に寝転がり、その神秘的な湿地帯と大地を潤す聖なる噴水を目に焼き付けるべく視線を上げた……
……これぞまさしく仰げば
ろくに絶景を楽しむ事も出来ぬまま私は果てた、だが、そこには確かに愛で包まれた文化の交流が有ったのだ……
約二分間の賢者生活を終え、私はアイエを夜食に誘った、大自然で夜空を見上げながら食べる池田さんのサンドイッチはさぞ美味かろう、私は自信を持って彼女の手を引いた。
大森林の南、外縁に在る小さな泉、泉の
貸倉庫に入っている池田さん特製の夜食ボックスを二つ取り出し、大きい方をアイエに渡す。彼女は今夜のゲストだ、タップリ飲み食いして頂こうと言う私の気遣いだった。本当だ。本当なんだ。
こうして、深夜の異文化交流が始まった。
私は取り敢えず服を全解除する。異文化を学ぶ為には先ず相手の文化・慣習を自ら実践する事が肝要だと私は考えているからだ。
大森林の里に居た時の、緑の民としての君が見たい、そう言ってアイエにも全裸を勧めた、私は異文化を
彼女は私の熱意と文化リスペクトを察したのだろう、少し照れながら緑のチュニックワンピースを脱いだ……岩の頂上に黄金の稲穂が揺れる湿地帯が出来た瞬間だ。
その絶景に
彼女がゴクリと唾を呑む音が耳に入ったが、ついでに私の鼻先は稲穂を
ネットリ濡れた鼻を引っこ抜きつつ『いやぁこれはスマン』と後頭部を左手で搔きながらアイエに謝罪。
アイエも驚いていたのだろう、息を乱し『い、いえ……』と頬を染めて私の股間を見ていた。上下に揺れる私のペニス謝罪に気付いてくれてよかった。
その謝罪に対する返礼だろうか、アイエは少し股を広げ、湿度の上がった黄金の稲穂が生る湿地帯を良く見えるようにしてくれた。
緑の民の返礼はなかなか情熱的だと感心した。私は遠慮無くその絶景を見つめた。何度も立ち眩みで顔面ダイブしたのは御愛嬌だ。
私達は互いに謝りながらクスクスと笑い合い、池田さんが作ってくれた夜食を美味しく頂いた。
優しい池田さんは新人のアイエに気を使って、『利尿作用のある美味しいお茶』と、『お通じが良くなるサンドイッチ』を用意してくれていた。さすがだ。
夜食を食べ始めて五分経過、アイエがモジモジし始めた。
池田さんの夜食が即行性有り過ぎて大草原。
私はアイエを心配して聞いた。
「大かな、小かな?」
「あ、えっと、両方、です……」
頬を染めて顔を背けるアイエ。
彼女は岩の上で座り方を変え――
私の記憶はここで途切れた。本当なんだ信じてくれ。
気付けば寝室のベッドの上、隣にはアイエ……
そしてシーツには
……ふぅ。
異文化交流は奥が深い。
私は空になったワイングラスをテーブルに置き、アイエが眠るベッドに
「うにゅぅ、眠いですぅ……」
掛け布団の中でそんな事を言いながら、ケツをこちらに突き出す緑の民アイエ。好き。
私は緑の民を大ニッポンヌ帝国の特別保護対象に認定し、国を挙げて護り通すべしと心に誓った。
「アンッ……入りましたぁ、ムニャムニャ……えへへ」
『レイディィィッ、緑の民は無防備だっ、危険だっ、彼らの貞操に不安を覚えて八時間しか眠れないっ、大森林外縁の要塞化を早めろっ、大至急だっ!!』
『は、はっ、畏まりましたっ!!』
まったく、何て無防備なんだ、まったく、まったくこのっ、好き。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おかしいですわ」
侍女達が用意したキャンプセットの椅子に座り、湿地での追い込み猟を眺める俺の隣でブツブツ言ってるお嬢様。
午前の作業が始まってからずっとこの調子だ。
いったい何がおかしいのだろうか?
君の頭か? それは知っているが……
「ちょっとアナタ、アイエさん、殿下の膝の上はアテクシの場所でしてよ?」
「え、そうなんですかぁ? でもでも、
「入れてる? 何をですの?」
「皇太子殿下の『文化交流棒』ですけど……?」
「文化交流棒って何ですの?」
「えっと、見ます?」
「?? 見られるのであれば」
「じゃぁ、はい……」
そう言って、性に寛容な文化を持つ緑の民アイエは、チュニックワンピースをチョンと摘まみ上げ、お嬢様に中身を見せた。
目玉をひん剥くお嬢様。
セバスニャンは数秒前から目を閉じている。さすがだ。
侍女のエーコとビィナは素早く場所を移動して視界を確保、ガン見である。こいつら本能に正直で好き。
さて、お嬢様をどう黙らせようかな。
放って置いても良いが……
俺の勘が『それは悪手』だと告げている……
ふむ、ならば――
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