第59話『文化の衝突(物理』





 第五十九話『文化の衝突(物理』





 異世界生活三十日目、午前九時、晴れ。

 第二基地本部ビル最上階、司令長官室。


 今、耳に入れた新情報に、驚きの余り声が出ない……

 驚愕で鼓動が速まる、ノドかわきを覚える……


 そんな馬鹿な……

 有り得ない……




 右頬に冷や汗を垂らし、俺は机の上に両肘を突いて両手の指を交差させ、その両手で口元が隠れる程度に首を下げつつ俯き加減に相手を見つめる……


 そう、机の向かいに立つ金髪碧眼の美女、二日前にダンジョン街から呼び出した残念エルフの『アイエ・キ』嬢だ。


 現在、この司令長官室には俺とアイエしか居ない。

 レイディも尺八ママも同席は遠慮してもらった……


 何故かお嬢様が当然のように同席しようとしていたのが怖かった。摘まみ出したら『キョトン』とした顔で本当にワケが分からない様子だった。怖い。


 今日の会談は俺と言う一人の男とアイエとの、いや、エルフ女性全体との真剣勝負、ノイズは必要無い。


 この世界に転生してひと月、俺がこれほどまで冷静かつ情熱的に誰かと意見を交わすのは初めてだ。


 俺は大ニッポンヌ帝国の皇太子として、この宇宙軍を率いる司令長官として、今後の何かアレな感じの重要な何かを秘めた的な北の大森林に住む『緑の民』について詳しく知る必要が有った。


 そこで『緑の民』であるアイエに来てもらい、取り敢えず『エルフの女性は森を裸で歩くのか』と言う知っておかねば文化摩擦が生じるかもしれない危険な疑問をアイエに聞いてみた。


 すると――



「家に居る時は基本全裸ですね」



 ――と言う驚くべき答えが返ってきた、俺のペニスが驚くのも無理はないだろう。


 しかし、驚き勃起ばかりしいていては建設的な意見交換など出来ない。俺は全裸に関する事をもっと踏み込んで聞いてみた、いや、意見を交換するのだ。



「俺としては大自然の恵みを全身で感じ取れる全裸に賛成だ、その考えを肯定する。しかし、例えば余所よそ者である俺が、君の家で全裸になった場合……コレは問題が有るのではないかね?」


「?? いいえ、特には……」


「ッッ!! 特に問題ではない、と、つまり何かな、エルフ、緑の民は余所者の性器を、この場合は異性としようか、異性の性器を見ても気にしない……極端な話、性的に見ない、そう言う事かね?」


「性的には……そうですね、元々エルフは所謂いわゆる『性欲』が薄くて……その、夫婦間でも数年に一度有るか無いかのタンパクなセクロスで有名です。恋人同士ではまずセクロスはしません」


「性欲が、薄い……?? き、君もか?」


「……私はっ、わ、分かりません、殿下にお会いする前は、そうだったと思います、でも……」


「……でも?」



 何だろう、頬を染めてモジモジし始めた……


 もと別嬪べっぴんだと性格が残念でも凄い破壊力だ……(勃っ



「殿下にお会いしてからは、その……ココが少し、うずく? わ、分かんないけど……」



 下腹から股間辺りを右手でさするアイエ……


 緑の民の民族衣装だろうか、彼女が着ているのは細かい金糸の意匠が施された緑色で長めのチュニック。


 見た感じボトムやスカートは履いていない、チュニックのみだ……


 付け加えるならば、上も下も下着を着けていない……


 胸の先端が次第に、こう、アレな感じになってきたのが分かるし、先ほど股間を手で擦った縦スジにチュニックが挟まり、そこが次第に何か濡れてるって言うか、その、液体によって染みが出来てますよ的な?……感じになって……ふぅ。


 これはもう文化摩擦が始まる兆候では?

 現に俺のペニスは今まさに摩擦で果てた。


 それはつまり……


 俺達の文化に合わせたアイエも苦しんでいるのでは?


 そう思った俺は居ても立っても居られず、椅子から立ち上がり衣服を全解除、机の上にシュタッと飛び乗り、机の端へ華麗に腰掛け足を組んだ。


 驚くアイエ、その青い瞳は俺の股間を捉えて放さない。



「あの、ハァハァ……あの、殿下、あの、私っ……」


「俺は……緑の民であるアイエ、君と腹を割って話がしたい」


「ッッ!!」

「脱ごうぜ」


「……はい(濡っ」

「いい子だ(勃っ」



 胸のボタンを外し、チュニックをストンと床に落とすアイエ。


 その大理石で彫像された女神像のような体に俺はフルボッキ。


 お互いに勃起した部分をさらけ出し、見せつけ合いながら、俺達は次の意見交換へ進んだ。


 いや、ここからは異文化交流の時間だっ!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 司令長官室の大きなソファーに並んで座り、肩を寄せ合って異文化交流を図りつつ、俺はアイエに疑問をぶつけた。時々ペニスの先っちょも彼女の太ももにぶつけた。



「例えば、例えばの話だが、野外で尿意を覚えた場合、野ションするしか解決策が無い場合、何かルールのようなモノは有るかね? すれ違いや勘違いによる文化摩擦を避けたいんだ(流し目」


「やだ、何コレ、凄く硬い……え、おトイレですか? お外で? それは……その辺でパパっと済ませるだけですね、タブーやルールは特に……キャッ、何か先端から透明なヌルッとした液が……あ、私のお股にも……」


「なるほど、な。あ、それを握って上下に動かしてくれたまえ、そう、良いね、おぅふ……」


「ハァハァ……殿下、私何だか、変ですぅ」



 心配するな、俺はもっと変だ。

 あぁぁ、上手だなアイエ、ンほぉぉぉ……我慢っ!!



「ゴホン、え~っと、つまり、仮に、仮にだが、例えば今から俺と君が外出したとして、その外出先にトイレが無かったと仮定すると、その場合は、何かな、俺と君とはその場で用を足す、と、たとえ互いが見える至近距離であったとしても……そう言う事かね? これは文化摩擦研究に必要な情報だ、噓偽り無く教えてくれたまウッ……ふぅ」


「キャッ、何か出たぁっ、え、何、コレ……何か、エッチなニオイ、ゴクリ。え、何ですか、お外でおトイレ? ええ、そうですね、私が御付きなら殿下のお隣でシャーっとしちゃいますね。ペロり……変な味……ハァハァ」


「なるほど、な。一緒に、か、そうか。俺は君が言った様な主君との密接な関係を否定しない、むしろ歓迎する。そこに文化摩擦など無い、宜しい、今夜にでも二人で大森林の外縁へ散歩に行こう……あ、ちょっとそれを咥えて頭を上下に振ってくれないか?」


「殿下と、ふ、二人で、夜のお散歩ですかっ!? は、はい、お供致します……ポッ。あ、これを、こうでひゅか? ひょっぱいでふ……ンポ、ンポッ」


「おぅふ、では異文化交流と言う事で、俺も君の勃起した二つの、いや、三つの突起を……先ずは下の突起から頂こうかな、体をこう、逆に、そうそう、では頂きペロス」


「ひゃっ!! アッ……」



 うむ、午前中の意見交換と異文化交流は十分な収穫があった。


 今夜も互いの文化尊重の為に頑張ろうと思う。


 先ずは互いの余った部分と足りない部分を補う事が肝要だ。日本神話にも書いてあった、男女の交流に僕は詳しいんだ。


 そうだな、今夜は俺の余った部分をアイエの足りない部分に挿入してみよう、この実験からどの様な結果が得られるのか分からない、しかし、ヤッてみるべきだろう。


 文化の交わりを恐れてはいけない……ウッ。








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