第58話『アイエを呼べ(厳命』





 第五十八話『アイエを呼べ(厳命』





 異世界生活二十八日目、午前十一時、曇り。


 俺は広大な湿地帯をナイスシャワーで疾走しながら魔物や動物を追い込み中。


 殺しはしない、こいつらはダンジョン湿地フロアの牧場で放牧する予定だからな。


 この湿地帯で生き物が減り生態系が崩れたら、牧場で増えた奴等をこっちに戻せばいい。まぁ自然環境はそんなに簡単なものではないが、対策や保険を用意しておくことは重要だろう。


 そう、重要なのだ……


 俺が本日の追い込み猟そっちのけで編成画面に映る二人のエルフを観察しているのも重要だからである……


 何に対して重要なのかは我のみぞ知るところである……

 エロ司令だ何だと罵倒したくばするがいいのである……


 我がす事は我のみぞ知るのである……ウッ。


 俺を後ろから抱きしめる尺八ママが絶妙なテクニックで手ヌキしてくれる、しかし、俺は彼女のワンピースの中に居るので、ワンピースの裏側が大変な事になってしまった。


 え? それが良い?


 まったく、とんでもねぇ好き者ママだぜ……ウッ。


 クッ、ただでさえエルフの自然派セクシャリティーに勃起を否めないと言うのに、超絶テクでヌキに掛かる尺八ママの手腕よ……ウッ。


 少しは手加減してくれませんか?

 あ、駄目ですか……


 おや? エルフ達がしゃがんで……ッッ!!!!!!


 あ、あぁぁ、あぁぁーーっ!!

 なななっ、何、だとっ……ンほぉぉぉっ!!


 こここっ、これはっ!!

 有り得ない……始めて見た……あそこは桃源郷か?


 び、美女エルフが、小川のほとりで、連れションだなんて……


 ちょっ、右側のカメラっ、彩度低いよ何やってんのっ!!


 左のカメラは明度を下げろっ、白く光って見えねぇだろうがっ!!


 おいっ、機体開発妖精っ、諜報機の動きが悪いぞっ!!


 何だあのブレはっ、脚を付けて固定カメラにしろ馬鹿野郎っ!!


 ……なぁにぃぃ?

 脚は不要? 偉い人には解らんのですぅ?


 チッ、生意気な妖精だ、池田さんにチクってやるかんなっ!!


 え、8k解像度で録画済み?


 お前ら……無茶しやがって……バカ野郎共がっ……


 ったく、そんな奴らは昇進だ、明日からコキ使ってやる、覚悟しておけ。


 まったく、困ったヤツらだぜ、へへっ……


 目に浮かぶ涙を前後左右に暴れ回る狂乳で拭き取り、ペニスの射角を上げてい勢い良く発射。


 頑固なバカ野郎共に祝砲を贈るのだった……ウッ。


 この出来事に関してはそれだけで終わらない……


 俺は思ったね、エルフと仲良くせねば、と。

 特にあの二人とは仲良くすべきだ、と。


 たとえ人類的に魅力の少ない湿地帯とその先の大森林だとしても、何かのタイミングでマンゴル帝国が制圧に乗り出すかもしれない……それは許されざる行為である。


 あの美人姉妹やその同族をっ、マンゴル帝国の奴隷にっ、詳しく言うと性奴隷とか肉便器とか動くオナホとかにさせてなるものかっ!!


 エルフ(女性)は保護せねばなるまい……


 くなる上は迅速に湿地制圧を進め、大森林を囲むように施設を設置すべきであると考える……っ!!


 乙女の連れション完了を見届けつつ、俺は「み、水魔法で洗うのか、エッチだなぁ」と考えながら、魔法を放った彼女らの右手を聖なる右手と呼ぶ決意を固め、ダンジョン一階に居るであろうエルフのアイエを緊急招集する事に決めたのだった。


 ついでにイラったペニスをママの大事な所にぶつけた。ぶつからずにハマった。不思議な現象も有るものだな、ウッ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




【大森林の南側・浅部にて】




 魔王のチカラをしっかりと認識したエルフ三姉妹の長女コイアイエと次女のアマイアイエ。


 二人は魔王の恐ろしさと主君としていただいた場合の頼もしさを緑の民に伝えるべく、いや、説き伏せるべく帰路に就いていた。


 しかし、二人にあせっている様子は無い、だが、その表情には焦りとは別の、やや紅潮し困惑と羞恥が混ざった何とも表現し難いものがあった。


 長女コイアイエはなるべく自然に振る舞いつつ周囲に目をる。次女のアマイアイエも姉と同様、違いは視線を送る場所だけだ。


 二人は視覚の他に聴覚と嗅覚も働かせて『何か』を探す。


 しかし見つからない、絶対に居るはずの『何か』が見つけられない。


 気のせいではない、必ず、絶対に『何か』は居る。


 そう、あの時、姉妹で花を摘んだあの時から、『何か』は居た。


 いや違う、植物の偽装を解いてからだ。

 その時から居る、今も全裸の自分達を『見て』いる……


 コイアイエが妹に念話を送った。



『居ないな……だが居る、今も何か、こう、何と言えば良いのか、ネットリとからみつくような視線を向けられている、そんな感じがする……アマイ、油断するなよ、恐らくコレは……』


『分かってるよ……魔王だ、でもスキルや魔法じゃぁない、コレはそのまま【目】だぜ、自分の目をそこら中に放ってやがる……ちぃっ、バケモンがっ!!』


『そのようだな……しかし、何故か、股間が……ジンジンする、気の所為せいだとは思うが……』


『……気の所為なんかじゃぁないね、アタシもさっきから下腹が何かオカシイ、何か股が濡れて来やがるし……お、お漏らしじゃねぇかんなっ!!』


『お前もか、私もヌルッとした液が膝まで垂れてきている……コレも恐らく魔王の仕業だろう、本当に厄介だ……』



 エルフ姉妹はいまだかつて味わった事の無い感覚に戸惑いを覚えていた。この下腹部に来るうずきはいったい何なのか……二人にはまったく見当が付かない。


 しかし、妹を守ると言う責任感を燃やすコイアイエは真相解明をあきらめず、ずはこの『何かに見られている』と強烈に感じた状況を再現してみようと妹に提案した。


 アマイアイエはそれを承諾、ナイスアイデアだと姉を称える。


 二人は魔法で創った水をガブ飲みしてから森を一時間ほど歩いた。時刻はちょうど正午を回た頃、ついに作戦の時は来た。


 二人は頷き合って打ち合わせ通りその場にしゃがむ。


 そして今回はここで一工夫、二人が居る場所を土魔法で2メートルほど持ち上げた、連れション丘を造ったのだっ!!


 これならば十分な視界を確保出来る。

 姉妹は背中合わせになり、眼光鋭く放尿開始。



“ガサッ”

“ガサガッサ”



 釣れた。


 二人はほくそ笑む。


 しかし、何故だろう、下腹が熱い。

 鼓動が早まり呼吸が荒く乱れる。


 魔王の【目】を捕捉するどころの話ではない……


 二人は気付かぬうちに開脚の幅を広げていた。


 自然と前に突き出る腰、尻や太ももをつたう高粘度の奇妙な液体……



 何かが、エルフ姉妹の何かが壊れ始めた瞬間であった。





 時を同じくして、遠くの湿原で魔王の咆哮が聞こえた。



「すっげ、これ、すっげこれ、丸見えすっげぇぇぇ!!」







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