第56話『考えるな、感じるンほぉぉぉ!!』
第五十六話『考えるな、感じるンほぉぉぉ!!』
異世界生活二十七日目、午前十時、パイズル湿地帯は晴れ。
今日は北東の鉱山地帯に制圧隊を送る。
レイディは兵士一人でもゲームシステム上の『制圧』は可能だと言っているが、結局はその兵士が一人で歩き回って制圧範囲を広げなければならない。
だったら、初めから規模に合わせた適当な兵員を送り出すべきだろう。
今回の制圧作戦には五個大隊三千二百八十一名を投入する。
つまり連隊だ。連隊長は【ロリエSG】大佐。
ロリエは星三完凸から進化して星四になった女性のアンドロイド。
身長179cm、緑髪翡翠眼、能力値は万能型で指揮官向き。
ついでに五人の男性アンドロイドを大隊長に就けた。
彼らは星二完凸から星三に進化した強者だ。
ロリエ万歳マン達なので、サポートは万全だろう。
まだ何も無い第二基地の本部前、そこにズラリと並ぶロリエ連隊。
出発の準備を済ませ、敬礼しながら司令長官の言葉を待つ彼らの前に、さっきまで尺八様とイケナイ事をしていた司令長官がマントを風に
連隊の代表として彼らの三歩前に立つロリエSG大佐。
少しサディスティックな雰囲気を有する彼女の前で立ち止まる俺。
俺は少しだけ顔を彼女の方へ向け、眼光鋭く何かカッコイイ感じの視線を送った。
ロリエは一瞬だけ目を合わせると、冷ややかなその視線を下げていく。
視線を下げつつ、彼女が鼻をスンスン鳴らして俺の股間を
え、どゆこと?
サイズを嘲笑した的なアレですか?
それとも作戦前の性行為を非難する感じのアレですか?
少しキョドっていると、ロリエがその妖艶で挑発的な美貌を僕の横顔に近付け、彼女の唇が触れた僕の左耳に吐息を吹き掛けつつ
「私なら……全部搾り取って差し上げますが?」
「ッッ!!……そうか、機会が有れば、頼む(確定」
「ウフッ、畏まりました。チュッ、では」
「う、うむ、気を付けて行って来い(勃っ」
さり気なく俺の頬に口紅べったりのキスをして勃起を誘発させた彼女は、両足の
いや真っ赤は無いやろ……
目立ちすぎて
って言うか、あのバギーはわざわざ特注で塗装したのだろうか、不可視化機能が落ちてない事を願うばかりである。
一糸乱れぬ見事な隊列で北東へ向かった連隊を見送り、キレ気味のレイディに左頬をハンカチでゴシゴシ拭かれながら、本部ビルに入った。
レイディ、もう結構だ、有り難う……
?? レイディ、口紅は拭き取れただろ、有りが……
レイディ!? ちょ、ちょっと拭きすぎじゃないかな?
レイディィィ、熱い、拭きすぎて摩擦熱がスゴイ……
バリアが仕事しないのは攻撃判定じゃないから?
そんなレイディに都合の良いバリアが有って良いのだろうか?
私は
男性兵士達が用も無いのに受付カウンターに群がる。
素晴らしい練度だ、昇給を期待していろ貴様ら。
“サーセン、ちょっと良いスか?”
「ッッ!! ア、ア、ハいっ、ご用件はンァ、何でっぁ、イッ……」
“ちょっ、大丈夫スかお姉さん、顔赤いし汗が……”
「だっ、だっ、大丈、ぶ、ンはぁぁ……もっと、あ、違っ……」
うむっ、レイディの機嫌も良くなったようだな、いつもより濡れが激しいココがそう言っている。
ヨシッ、ダム決壊後に撤収っ!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
フゥ……
ダム決壊どころの話じゃなかったな。
決壊の前にダムを越えて溢れちゃいました的なアレだった。
ダムとしての能力に疑問が残るTバックは私が没収しておいた、まったく、幹部として危機感が足りんなアイツは、クンカクンカ……
最上階に在る司令長官室で窓際に立ち、危険な布の香りを味わいながら地上に広がる湿地を眺める、スゥーハァー、スゥーハァー……
この湿地帯も制圧すれば食料加工施設に一割程度のバフが掛かる、バフが掛かった上に現地調達の食材も増えるわけだから、生産量もタンクに貯まる量も更に上がる。
一つのエリア制圧で得られるバフの増加率は少ない、しかし、あのゲームはバフ上限を設けていない、100%を超えてもガンガン上がり続ける。
しかも、増加率は基地ごとの計算ではなく、各基地で掛けたバフの合計を本部で一纏めにしているので、ダンジョンの鉱山で上がった数%のバフに北東鉱山から得た数%を足した分が各所に在るメタル製錬施設の生産量となる。
よって、ダンジョン鉱山で得たバフが仮に現在5%の効果だったとして、北東の鉱山地帯を制圧後にまた5%を得た場合、ダンジョンと鉱山地帯どちらのメタル製錬施設にも10%の生産力向上バフが掛かる事になる。酷いチートねっ!!
まぁ簡単に言えば、一ヵ所を強化すると全体が強化されると言う事だな。一つの強化は小さいものだが、しかし割合の増加となると話が別、割合が全体に影響するので馬鹿に出来ない。
バフが掛かる制圧地の数が多ければ多いほど良い、割合での増加は本当にエグいのです。
ですので、この広大な湿地帯も手っ取り早く制圧しましょう。
スゥーハァー、クンカクンカ……ウッ、な、何ぃっ!!
「ンポッ?」
「ママ、いつの間に……ンほぉぉぉっ!!」
参ったなぁ、湿地制圧の前にママから性圧されてしまう。
そんな僕は100%のバブが掛かってしまうのだ……
ば、ばぶぅ、んママぁぁぁーーっ!!
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