第34話『コイツやはり頭が……』
第三十四話『コイツやはり頭が……』
異世界生活八日目の夜、二十時。
一週間程度で全階層制覇なら攻略速度的には十分だろう。
第二十階層の最奥に
まぁ分かり易いと言う点ではかなり評価出来る。
間違えようがない、一番デカいからなっ!!
その山の
飛行戦闘車両が有って良かった。
ここも後続の徒歩部隊を待たずに行こう。
「準備は良いか、レイディ」
「ハッ、いつでも」
俺は右手を掲げ、それを前方へ振り下ろした。
アタックバギー全車両のmilfスキー核融合エンジンが音も無く静かに、だが力強く唸る波動を感じる。
四十台まで増えたバギーが山頂目指して前進。
俺の愛機もバギーに劣らぬ咆哮を上げ前衛車両を追走、安全運転で頂上を目指す……
≪ポ……ポ……ポ……≫
耳障りな声が俺の耳に届いた。
陰気な夜だぜ……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
アッーと言う間に山頂へ到着。
山頂にはパルテノン神殿に似た白い建造物。
山の頂上だが地面は綺麗に
神殿に入る前に少しばかり休憩。
俺はケイジィと談笑、あまり面白くなかった。
こんな時にレイディは女性士官達とお話し中……寂しい。
周囲に目を
変態二人組は大した問題も起こさず淡々と仕事を
遊びと狩りを訓練にしているのか、良い心がけだ、
子供達が楽しそうなのでヨシっ!!
「坊ちゃん、ここの攻略を終えたら、この国を出るのかい?」
「いいや、北東に向かう、大きな湿地帯が在るのだろう?」
「あぁ『パイズル湿地』か、あそこは大ガエルが居るだけで何も無ぇぜ? 湿地の北側は山脈と樹海、東は渡る事が困難な大河、異民族も放置している未開な土地だよあっち方面は」
「最高じゃないか、未開で結構、俺に言わせれば資源の宝庫だ、各施設を
「施設を据える? 俺達がまだ見た事無ぇ坊ちゃんの固有スキルか……」
「まぁそんなもんだ、楽しみにしていろ。さて、そろそろ行くぞ。レイディ、子供達を下げろ、前衛部隊は前へ」
「ハッ」
「準備が整い次第前衛は突入、バックアップを怠るな」
ヘルメットを被り直し腰のホルスターからドワルサーを抜く。
威力は最小限に設定、戦闘服のバリアを確認、良し。
いざっ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ンポッ、ンポッ、ンポッ……」
暗い神殿の中に
大きなツバ付きの白い帽子。
ノースリーブの白いワンピース。
長く真っすぐ伸びた黒髪は艶やかだ。
聞いた通りの格好だ、だが……
「ンポッ、ンポッ、ンポッ……」
何か違う……
俺が知ってるヤツと微妙に違う……
「ケイジィ、彼女がボスで間違いないか?」
「あぁ、間違いねぇ、【シャクハッチ様】だ……」
「……え、八尺様?」
「違う違う、シャクハッチ様」
「……え、尺八様?」
「少し発音が変だが、そうだ」
そうか、尺八様か……
「ンポッ、ンポッ、ンポッ……」
尺八……
「司令、少し宜しいでしょうか?」
「何だ?」
レイディが神妙な顔付きで俺の
「彼女……魔物ではありません、オートマタです」
「オートマタ……ロボットか?」
「先ほどから彼女と会話を続けておりますが、どうやらダンジョンマスターに創造された護衛だったようです……」
「会話って……だから何もして来ないのか、それは分かったが、その護衛がボス部屋で何をしてんだ?」
「墓守だそうです、今は亡きマスターの墓を守っていると言っています」
「え、じゃぁ階層ボスは?」
「湧く
え、どゆこと?
「と言う事は何だ、ボスは居ないのか? ハンター達は彼女を何度も討伐してるんじゃないのか? 何故彼女は生きてる?」
「いやいや坊ちゃん、討伐なんてしねぇよ、シャクハッチ様もアホなハンター以外は『抜いて』見逃してくれるし」
「……抜いて見逃す? 何だそれは?」
「しゃーねーなー、そこで見てな坊ちゃんっ!!」
何故かウキウキした様子のケイジィが尺八様の許へスキップで向かった。
尺八様の前で止まるケイジィ、何故かズボンを下ろす。
黒く長いミニケイジィがピーンとそそり
そんな勃起状態ケイジィの両肩を尺八様が両手でガッチリ掴み、ヒョイと持ち上げる。そしてケイジィを半回転、逆さまにした。
しかし、その半回転終了時に事件は起こる……
遠心力を得たミニケイジィが尺八様の頬を叩く。ウソやろ……
頬を打たれた尺八様はミニケイジィをジロリと
「ンポッ、ンポッ、ンポッ」
「おっほー、イッぐぅぅぅぅ……」
ケイジィの小汚い
俺は何を見ているのだろうか……
右手に持った銃をホルスターに戻す。
「作戦終了、レイディは尺八様から事情聴取を」
「ハッ。……司令、ケイジィ少尉は
「……池田さんのアイスクリーム、二週間抜きの刑、だ」
ケイジィよ……情報の漏れや不足は見逃せん。
「ンッホーーーッ!! それしゅごいぃぃぃっ……」
「……刑を一ヵ月に延長だ」
「畏まりました」
まったく、陰気な夜だぜ……
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