第33話『あ、それ知ってるかも……』





 第三十三話『あ、それ知ってるかも……』





 異世界生活七日目、本日は第十七階層攻略。

 予定では十八階の下り階段まで行く事になっている。


 本日のログインボーナスは星1の『超振動警棒』、キャラの攻撃力と防御力が十二上がる、上昇値はショボいが実は序盤に限り優秀なアイテム。


 あのゲームはキャラクターの能力設定がガバガバで、完凸星5キャラの各能力値も最大値が二百前後と低い、そんな設定にもかかわらず、序盤に入手した星1キャラの攻撃と防御が十二も上がるわけだ。


 そんな『レベル1で鋼のつるぎ買っちゃった』的な警棒を装備させたキャラを戦艦に乗せて出撃させると、序盤の雑魚敵を一掃してくれるのである。


 なので、星1アイテムだが私はこの警棒が好きだ。

 ちょっと持って振ってみる……ふむふむ。


 つかに有るスイッチを押す……

 ヴィーンてなった……

 ヴィーンて……


 その時私はひらめいた、これはエロスに使えるっ!!


 朝のご奉仕真っ最中のレイディを見る……ちょっと方向転換してもらう。


 首を傾げながら承諾するレイディ。好き。

 69の体勢、ズボンを下ろす彼女、さすがだ。


 眼前に広がる桃源郷、その峡谷きょうこくに食い込むヒモ、私はおもむろに警棒を掲げ、その先端を峡谷にる一粒の栗に当てた。



「ンッ、ンンンンーーーッ!!!!」



 プシャー……


 私は生まれて初めて朝ションを浴びた。


 悪くない、日課にしよう。

 そしてケイジィに自慢しよう。

 オッス、お前朝ションしてる?的な感じで。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 少し怒ったレイディに無防備な素肌の肩をポコポコ叩かれつつ、「いやぁスマンスマン」と骨折した肩の骨を回復剤で治しながら謝罪。


 今度は許可を得てからやろうと反省。そして常時バリアを張れるアイテムを入手しようと心に誓う。肩が痛い。


 今日のレディオ体操は子供達の中に全裸と半裸の変態二人が混ざっていた。警備兵何やってんの警備がヌルいよっ!!


 体操は何事も無く終わったが、いちじるしく顔を紅潮させて目がガンギマリの二人は怪しさ満点だった。


 二人の監視を強めつつ、子供達の指導を任せて攻略開始。しかし、バギーでの移動時に子供達との同乗は認めない。精神汚染の懸念が残るからです。


 俺は今日も愛機ナイスシャワーでソロ攻略。


 それでは出発しましょう。



「レイディ」

「ハッ、出発っ!!」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 ふぅ、今日も一日頑張った。

 予定通り十八階の下り階段まで到達。

 侍女達がテントを広げて野営の準備。


 キッズの入浴が済むまで士官は指令室にて作戦会議。

 俺は鼻ホジしながらレイディのケツを揉む係。


 会議を終えると、今度は大人が風呂に入る。

 その間キッズはテント内を走り回って汗を掻く、アホめ。


 入浴後は基地妖精池田さんの美味しい晩御飯。

 今日は『お母さんのブリ大根・ママと言ってよ司令』だ。


 美味しかった。

 気付かぬうちに「ママーッ!!」と叫んでいた。


 ケイジィも泣きながら「お袋ーっ!!」と叫んだ。

 池田さんに「うるせぇよ」と念話で怒られていた。


 ションボリしたケイジィに池田さんからミニハンバーグが送られた。


 その優しさに勃起をきたすケイジィを気色悪いと思った。


 晩飯の後は休憩と小会議、食後のデザートは恒例の池田さん特製アイス、ウメェぜ。


 キッズも大好き池田印のバニラアイス、たくさん食べたまえ。



 そして就寝。

 大人達は今からラストスパート。


 僕は警棒片手に魔王レイディに勝負を挑んだ。



 勝ちました。

 五戦全勝でした。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 翌朝、異世界生活八日目。


 いつもの様にログインボーナスを確認。回復キットゲット。

 続いて無料ガチャ、オレンジ色の演出、星2確定。


 むむむ、コレは……っ!!



「わ~い、星2の【安眠枕】だぁ~」



 ゲットしたのは【安眠枕】、ゲームでは十日間スタミナの回復速度が上がる消費アイテムだった、現実世界では……え、待って、スゲェ有能。


 気力回復効果が有るテントと同時に使えば効果大ですな。

 近接系の武官にでもプレゼンツしよう。


 って言うか、レイディの自動ガチャでかなりの数が出ていそうだが……倉庫を確認……今のを含めて七十七個か、出が悪いなぁ、運営はやっぱアホやったんやなぁ……


 そもそもアイテムの種類が多すぎるんだ、思い付いたヤツを片っ端から追加しました感があったもんなぁ。


 まぁいいや、どうせレイディの自動ガチャでアホほど貯まるだろうし、そのうち類似品も開発出来るだろ。


 よし、そろそろベッドから降りようか。

 レディオ体操に行かねば、ウッ……

 レイディさん、早くイクよっ!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 今日は一気に最奥まで行く予定。

 第二十階層にはダンジョンボスが居るそうだ。


 ケイジィが言うにはデカい女のバケモノらしいが……

 その容姿を聞くと、何か聞き覚えが有るんだよなぁ……


 ツバ広の白い帽子、薄手の白いワンピース……

 体長が約250cm……


 そして、発する言葉が『ポ、ポ、ポ』だと言う。


 何か、日本人として不気味なものを感じるのです……



「司令、顔色が優れませんが……大丈夫ですか?」

「問題無い、大丈夫だ」



 愛機にまたがり険しい表情を見せる俺に、レイディが心配そうに近寄る。


 俺は彼女を安心させる為にケツを揉んだ。

 たちまちエネルギッシュになる俺の股間。


 レイディは安堵して俺の隣に居たケイジィにビンタした。

 意味不すぎて草、ヒド過ぎワロタ。


 呆然とするケイジィにチョコレートを恵んでやり、俺は出発を命じるのだった。


 待っていろバケモノめ、僕が退治しに行くかんなーっ!!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る