第30話『なるほど、な(困惑』





 第三十話『なるほど、な(困惑』





「あぁ、間違い無ぇ、ギルド長と副ギルド長だ」

「そうか……」



 大宇宙戦争で使用するスペースファンタジー仕様の拘束具に体をガッチガチに固定された捕虜二人、尋問室に居るそいつらをケイジィに見せてみたら複雑な表情で身元の確認をしてくれた。


 何か変だな?

 ケイジィは憐れむ様子を見せている……



「お前はコイツらを憎んでないのか?」

「ん? いや、そんな感情な無いな、一応恩人だよ、二人は」


「恩人?……この全裸男と半裸女が、恩人?」


「あぁ、ギルマスは俺を差別しなかったし、剣術の基礎を教えてくれた。それに副ギルマス……マルデビッチの姐さんは、その、下の世話を毎日してくれてな……勿論、差別なんてされなかった」


「ふぅ~ん……」



 ケイジィの話を聞いていた捕虜の二人がしきりに頷く。

 言った通りでしょうって感じですかね。


 少し二人から話が聞きたいな……



「レイディ、口の拘束具を解除してくれ、二人ともだ」

「畏まりました」



 レイディが遠隔操作で拘束具を解除、捕虜の二人が大きく息を吸う。息苦しかったのかソレ、スマンな。


 俺は椅子を持って二人の前に進み腰掛けた。俺の両脇にアザンとテツロオが立つ。優秀な護衛だな。


 さて、お話ししようか。



「そう言えば自己紹介を忘れていたな、俺は……『ソー』だ、お前らが戦った軍の司令長官だな。では、そっちの全裸から聞こうか、名前は?」


「……俺はショタニアス、下級平民なので姓は無い。異名は『肛門破壊者』、基本的に全裸で過ごしている」


「へぇ、平民にも階級が有るのか……それにしてもスゲェ異名だな……次、そっちの半裸」


「私はマルデビッチと申します、ギルド長と同じく姓は御座いません。異名は『千の竿兄弟を持つ女』……お恥ずかしい限りで御座います。ポッ」


「そうか……」



 異名は名乗るのが普通なのかな?

 ケイジィも鼻のケイジィだって言ってたし……


 まぁどうでも良いが、この半裸女はエロいな……


 ノーブラは理解出来る、少なくともこの国にブラジャーは無いらしいからな。乳を強調する意味の解らない構造のブラウスもまぁ理解出来る。


 だが超ミニスカにノーパンはどうなんだろうか、拘束がM字開脚なので凄い事になっている……お蔭でケイジィの股間も凄い事になっている。


 異名は伊達じゃないって事か……(勃っ



『司令、スカートの中を見過ぎです。お話の続きを』

『スマンな、僕も男の子なんだ……』



 レイディから軽いお叱りの通信が入った。失敬失敬。



「ふぅ、それで、何故ギルドを追われた、その隷属スキルは何故掛けられた? 先ず男から答えろ。レイディ、女の耳を塞げ」


「畏まりました……どうぞ」



 拘束具がマルデビッチの頭を丸ごと包んだ、スゲェな。

 それを確認して全裸ハゲにアゴで答えを促す。



「凄い技術だな、さすが異世界から来た魔王だ……」

「そりゃどうも、早く答えろ」


「あぁスマン。そうだな、何から話せばいいか……簡単に言えば、俺とコイツは若い男勇者達とセクロスしようとしたんだ」


「??……で?」


「そしたら勇者達から取り押さえられた。俺はただ彼らにケツを掘らせてくれと頼んだだけだ、マルデビッチは聖女の男に股間を見せて誘惑したのが不味かった」


「……レイディ、マルデビッチとハゲを交代だ」

「畏まりました……どうぞ」



 頭のオカシイ全裸ハゲの耳を塞ぎ、マルデビッチの拘束を解く。


 ハゲと同じように尋問開始。



「では答えてくれ」


「はい、私は勇者の一人を誘惑しました、ただスカートを上げてオマ……股の中をお見せしただけですのに……それを激怒した聖女が私の捕縛を命じて……そのまま、はい。ギルド長は股間を膨張させながら男の子達を追い掛け回していたら取り押さえられていました」


「……分かった」



 いや分かんない、ズッコケて良いかな?


 こいつらがアホだと言う事以外は理解出来ない……

 しかも二人の狙いが男勇者限定、ハゲの業が深すぎる……


 ま、まぁ良いだろう、次の質問だ。


 ……その前に休憩を入れよう。


 こいつらの拘束も要らんな、レーダーに敵として映っていない。


 隷属後に下された命令はおとりになれって事だけだったようだ。


 レイディさーん、オヤツにしようぜ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 場所をテント内のリビングに移してお話再開。


 俺が座るソファーの両隣にレイディとケイジィが座る。

 背後にはアザンとテツロオ。


 テーブルを挟んで捕虜の二人。


 おやつタイムはお気に召したようで、二人は基地妖精達が作ったクッキーと炭酸水を綺麗に平らげた。物凄く感謝された。


 まぁそれは良いが、そんな事より、楽しそうに笑うマルデビッチの主張強めなビーチクが気になって仕方が無い。つついてしまいそうになるな、あれは。


 ケイジィを見てみると、必死に自分の右手を左手で抑え込んでいる……いやお前、それはもう病気だ。つつけよもう……



『司令』

『あ、ハイ』



 迂闊うかつ、司令長官の身でありながら捕虜の乳首に目を奪われるとは……


 レイディの胸を見て精神を落ち着かせる……ペニスが元気になった、よし、もう大丈夫だ。



「オヤツも食ったところで、次の質問だ」


「何でも聞いてくれ」

「何でも答えますっ」


「ハハッ、そうか。まぁ俺が気になるのは勇者絡みの話じゃないんだ」


「勇者の話じゃない……」

「私は独身ですっ」


「聞きたい事は二つ、先ず一つ目、お前らは言ったな、初めから俺に敵対する気は無かった、と、何故だ?」


「そんなもの、決まっているじゃぁないか、なぁ?」

「えぇ、えぇ、そうですとも」


「??」


「異世界勇者は美男子が多い……理由はこれだけで十分だ」


「ですね。ダンジョン入り口で魔王陛下の兵士をお見かけした時は『当たった』と確信いたしました」


「その通りっ、俺も思った、美男美女だらけの魔王軍、魔王本人も期待出来ると股間をたぎらせたもんさ」



 つまり、こいつらは極端な面食いって事か……?



「しかも魔王に会ってみれば大人になる前の美男子ときた、フッ、ペニスに悪いぜまったく」


「そうですね、魔王陛下に於かれましては完璧と断言出来ます」



 な、なるほど?



「……要はツラが良いガキが好きって事?」


「馬鹿を言うな魔王よ、十八歳前後が一番だ、ガキではない」


「私は十二歳から十八歳でしょうか、ちなみに陛下はお幾つで?」


「いや、俺はオッサンだが……そ、そうか」



 二人ともアウトやないか……

 ハゲは十八歳前後ってボヤかしてるがアウト。

 マルデビッチの方は弁護の余地が無い……

 しかも軽く股を開いて見せて来やがる……


 こいつらはこの世界から見ても異端なのかな?

 異端がギルド長や副ギルド長を任されるとは思えんが……


 取り敢えず、勇者連中から袋にされた理由もギルドを追われた理由も分かった気がする。ハッスルする場所と相手を間違えたってトコだろ。



 はぁ、本題は次の質問なのに頭が痛ぇな……








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