第23話『オマセさんだな……』





 第二十三話『オマセさんだな……』





 え、サラが覗き魔を撃ち殺した?

 そっかー、殺しちゃったかー。



『捕縛してスキルや魔法を使わせるべきでした、申し訳御座いません』



 いや別に構わんよ、むしろ偵察や監視は発見次第射殺してヨシ!!


 情報を持ち帰られるよりマシだ。サラは良くやった。



『そう伝えておきます。一応死体は回収しましたが、特に重要な物は持っておりませんでしたので換金します、宜しいでしょうか?』



 頭吹き飛ばしてたら情報も抜き取れんか、即換金でヨシ!!。

 以降は君の判断で換金してヨシ!!


 俺達は第十三階層で金を稼ぐ、君はガチャを回しまくって部隊編成に務めたまえ。迎撃部隊は厚く、兵站は万全に、いいね?



『承知致しました。鉱山フロアの掌握後は偵察機や陸上戦闘車両の開発を進めても宜しいでしょうか?』



 うむ、存分にやりたまえ。


 鉱山が手に入ったらダンジョンの周囲をメタル製錬施設で囲むのもアリだなっ!! 


 いや、ダンジョンの中に造った方が生産力向上効果を得られ易いか? 食料も燃料の素もタップリ有るから、燃料精製と食材加工の両施設もイケるな……



『狭い通路や壁で空間が分割、またはさえぎられていないフロアなら可能です』



 ジャングルとか今の湿地フロアみたいな所な、なるほど。

 よし、そんな感じのフワッとした予定で行こう。


 では、午後の攻略も頑張るぞ~!!



『ご武運を』




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 勇者焼きで小腹を満たしつつのらりくらりと進むこと六時間、ようやく下り階段の場所まで辿り着いた、ふぅ~。


 俺はレイディからの戦況報告を聞きながら歩いていたので若干気疲れしたが、子供達は元気一杯、ケイジィも元気に侍女達を口説いている。


 十三階は十二階より一回りデカかった、本来なら支柱も無いこんな地下空間などいつ崩落してもおかしくないが、ダンジョンは不思議空間なので問題無いらしい。


 現在の時刻は十九時少し前、予定より二時間遅い到着。

 子供達も腹ペコ、侍女達が大急ぎでテントを展開させる。


 だがしかし、俺専用の大型テントはダンジョン入り口に設置したので今は無い。今回は一般的な高級士官用の大型テントで我慢してくれと言われた。


 高級士官用なら十分ですが?

 え、設備が少し武骨?

 そんな事言われても……


 僕は特に気にしないので、申し訳なさそうにする侍女のケツ右手でをソフトタッチしつつ『構わんよ、ありがとう』と言ってテントに入る。


 僕も立派な男の子だ、若返りした肉体が勝手に女体を求めてしまうのは仕方が無いのです。まぁこの悪い右手はあとで上下運動と言う名の重労働をさせておく。


 ケツをセクシャルされ頬を染めた侍女がネイから『泥棒キャッツ……っ!!』と呼ばれていた、大丈夫だ、お父さんは誰にも盗まれない。


 さぁ子供達、大人の社交にワチャワチャするのはやめて風呂に入るのです。池田さんの料理が冷えても良いのか?


 子供達が大急ぎで風呂に向かう。ケイジィはベルデと一緒にどこかへ消えた、お掃除してもらうんですね分かります。



『司令、敵が後退して野営するようです。本日使用された魔法とスキルの分析は終了、報告は食後で宜しいでしょうか?』



 いや、今で良いよ。しかしもう戦闘終了か、一方的だったな。



『武器や手足を使った物理的な攻撃スキルはバリアが弾きました、物質の影響を受ける炎や氷等を纏ったスキルや魔法も同様です』



 まぁその辺りは予想通りか。



『勇者のスキルと思われる精神攻撃はバリアを貫通しましたが、我々アンドロイドには有効ではありませんでした。スキルを受けた際に体内のmilfスキー粒子がそのスキルのエネルギーを分解したのちに吸収しております』



 スゲェもん作ったなぁミルフスキー博士……

 って事は、俺やケイジィ達のような強化人間にも効かんのか?



『恐らく、少なくとも精神攻撃スキルは。体表に受けた攻撃を分解吸収出来るかはまだ分かっておりません』



 そっか……

 まぁ即死や時空間スキルも有るしな……


 取り敢えず、今後も慎重に相手の攻撃を分析していこう、ご苦労さん。


 迎撃隊には勇者焼きを腹一杯食わせてあげて下さい。


 キャラガチャ回して部隊の入れ替えもお願い、ゆっくり休ませて。



『承知致しました』



 よっしゃー! 僕もお風呂に入るのですっ!!

 やい護衛諸君、一緒に入ろうぜ、背中洗いっこしようぜ!!



『司令、股間のほとばしるパトスは?』



 それは自分で何とかします……



『残念です、非常に残念です』




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 その日の深夜、寝相の悪いカーリに蹴りを喰らいつつ寝ていた俺をレイディが優しく起こした。



『申し訳御座いません司令、急ぎお伝えしたい事が』



 むにゃむにゃ、何スか、何スかマジ……ふぁぁ~。



『敵軍の野営地から地球人勇者が八名ほど離れました』



……ん? それは、何、遊軍的な行動として陣地を離れてテントを横から急襲とか、そんな感じの為の離脱?



『いいえ、サラ30からの報告では周囲の味方を警戒しつつ隠れて野営地を出たのち、八名はそのまま東へ走り去ったようです。現在も偵察隊が追跡していますが、盗聴の内容からすると八名は国境を目指しているようだと……』



 ふむふむ、そいつらのツラ分かるか?



『編成画面に画像を出します』



 ……あぁ、こんな奴ら居たなぁ。

 って巨大ハンマーっ子も居るじゃん。

 他は……目も合わせてねぇな、知らんわ。


 ただ、俺を指差して笑っていた奴らは居ない。

 尋問で聞いた予知エルフも居ないっぽいな……


 これはどう言う事かな……?



『恐らく国を見限っての出奔しゅっぽんではないかと』



出奔……あぁ、それは賢いね、良い判断だ。



『彼らを捕らえますか?』



 いいや、放っとけ。

 一応、国境超えを見届けてから追跡隊は撤収。


 俺と戦う選択をしなかったスマートな連中だ、下手ヘタなマネはせんだろ、俺から関り続ける必要も無い。


 ツラは覚えたんだ、今後縄張りに近付いたら警戒する程度で十分だ。



『承知致しました。追跡隊は国境越えを見届けてから撤退させます。夜遅く起こして申し訳ございませんでした、では、お休みなさいませ』



 はいよ~、お休みマンモス。


 まったく、責任者は疲れるぜっ!!

 さぁ寝よ寝よ。


 痛っ、ちょ、カーリ痛い、その蹴り痛い。

 何でそこを重点的に蹴るの?

 弟か妹出来なくなっちゃうよ?


 まったく、危険な子だ、逆を向いて寝……


 横になって目をガンギマリさせたネイが俺の股間を見ている。


 え、何、怖っ……



「……ハァハァ、お父さん、ハァハァ、ちょっとだけ、先っちょ見るだけだから、これは淑女?たる者の『たしなみ』だからっ……」



 何やら危険を感じた僕は迅速に一芝居打った。



「ふ、ふぁぁ~、何だか寝苦しいなぁ……(チラッ」

「ッッ!! む、むにゃむにゃ、お父さん好き……(チラッ」


「ん~、寝言かぁ、可愛い寝言だなぁ、カーリと並べたら可愛さ二倍だなぁ~、カーリを真ん中にして寝ようねぇ、よっこいしょ、うん、可愛いねぇ、お休み……(チラッ」


「……チッ」



 舌打ちされた……

 ……レイディ、ネイに性知識を教えたアホが誰か分かるか?



『かつて貧民窟に居た女性と、複数名の侍女ですね……侍女に関しては内親王殿下のご下問に対して必ず答える義務がありますので……』



 クッ、犯人はネイ自身かっ、是非も無し……っ!!

 今後はもっとオブラートに包んだ性教育を心掛けなさい。

 貧民窟で仕入れた知識は……どうにもならんか、無念。









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