第16話『あ、これシャブ漬k(規制』





 第十六話『あ、これシャブ漬k(規制』





「待って坊ちゃん、え、妊娠すんの? ファ~、え、ゴーレムじゃなくてアンドロイドって言う種族……? え、冗談じゃなくて?」


「冗談でこんな事は言わん、お前はしっかり責任を取れよケイジィ」


「ファ、ファァァ~……(白目」



 現在十八時三十分、テント内の食堂で晩餐を楽しんでいる。

個別に分かれたテーブルと長椅子は日本のファミリーレストランを思わせる造りだ。


 俺の左右にはネイとカーリが座り、向かいにケイジィとハッチャクが座って居る。


 料理が並ぶまで前菜を摘まみつつ、少し大きな声でアンドロイドについて皆に説明していた。


 説明が終わったところでケイジィが白目を剥いた状況が今です。


 ケイジィは白目を剥いたが、ハッチャクはホッとしたご様子。良かったなハッチャク、貴様の暴れ息子ハッチャクは健全だ。


 そんなハッチャクがとあるアンドロイド侍女をチラ見している。ふむふむ、そうか、お前のお目当ては彼女か、デカいもんな、おっぱい。


 ハッチャクが股間をイジっている間に美味そうな料理が並ぶ。


 本日は侍女達と池田さんが編成画面の基地内で素晴らしい晩飯を作ってくれた。なので、テント内に在る『やりすぎ科学』で作られたキッチンはあまり使わなかった。


 欠食児童達がヨダレを垂らし始めたので食べるとしよう。



「いただきマンモス」


““?? いただきマンモス””



 食に対する感謝がほとんど感じられない食前の祈りを皆で池田さん達に捧げ、【お子様ディナー・司令カスタム・タイプA】の一口ハンバーグにフォークを差し込む。


 肉汁が溢れて光り輝くそれを優雅に口へ運んだ……

 モグモグ、モグリンコ……ゴックン。


 ……ふぅ、レイディ、池田さんを総料理長とする、軍級は上級大将、だ。料理を手伝った侍女達には特別報酬を、厚めにな。



『畏まりました』



「ぼぼぼぼ坊ちゃんっ、何だこのソースの掛かった肉団子……美味い、美味すぎるぜ……っ!!」


「フッ、そうだろう? それは池田ハンバーグ、我が軍以外では食べられぬ至高の肉料理、だっ」


「兄貴ぃ、美味ぇ、美味ぇよぉ~……」

「美味しい、お父さんコレ美味しい……」

「おとうしゃん、あ~ん、あげりゅ」


「うむ、あーん、モグモグ、ウマし……では私の【特盛エビフライ司令カスタムスペシャル・愛、覚えていますが?】を半分やろう、ほれ」


「あ~ん……ッッ!!!! お、お、お、おいちぃ……っ!!!!」



 クックック、カーリが美味しさの余り痙攣している……

 ……大丈夫? これ変なもの入ってない?



『milfスキー粒子漬けにしたスライモを粉末状にし、それを謎肉に混ぜ込んでおります』



 それ牛丼チェーンのシャブ〇け商法……


 クッ、聞き捨てならん箇所が有るような無いような感じだが美味しいのでおはしがススム君状態っ、悔しいが、完敗だ……っ!!



「坊ちゃん、この白いツブツブは……食いモンか?」


「フッ、アホめ、それは米、濃い味のオカズと一緒に食べると……飛ぶぜ?」


「ッッ!! ヒュ~、言うじゃないの……じゃぁ最初にタレを多めに付けた肉を口に入れて、次に米を……モグ、モ……ッッ!!」


「逝った、か」


「ッッ!!」

「ッッ!!」

「ッッ!!」


『子供達も三人同時に昇天したようです』


「フッ、コイツらが丼物を食う時が楽しみだな」



 よしっ、次はフンワリ柔らかオムレツを……パクリンコ。


 モグモグ、モグモグ、モグ、モ……お母さ~~ん!!



 しまった、オムレツに含まれた母性が俺に日本の母が作ったニラ入り卵焼きを想起させ、ついつい若かりし日の母を呼んでしまったようだ。


 ふぅ、レイディ……池田さんに【秀一】の称号を贈ってくれ。

 妖精一秀でた存在にはピッタリの称号だろう。



『畏まりました、秀一池田上級大将ですね、素敵です』



 だろう?


 あ、こらカーリ、ニンジンも食べるのです。

 アホ、ハンバーグにブッ刺すな、危険な絵面だ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 ふひぃ~、食った食ったぁ。

 とても素晴らしい晩餐で御座いました。


 スライモ粉末の効果も有るだろうが、メディカルポッドとテントの回復効果も乗って体調は万全、子供達は二度目の完全回復をしたと言って良い。


 体力と気力が有り余る子供達は遊技場へ向かった。

 俺や一部の士官達は、食後一時間ほどマッタリして会議だ。


 会議と言っても大した話は無い。


 星2アンドロイドが増えたので、先任であるベルデとアザンを他の星2達より一つ上の階級にするとか、二人を星3のメーデルとテツロオの下へ男女別に就かせて副官にするとか、簡単な話だ。


 あとは明日の予定を少し話しただけ。

 夜の見張りは既にレイディがローテを組んでいた。


 俺の仕事はほぼレイディに丸投げなので、会議中は承認だけに済ませ、会話に参加せずバニラ味のソフトクリームを食べていました。


 獣人の子達がアイスの甘い匂いに気付いたのか、何も知らない他の子達の手を引いて俺の後ろに並んだ。


 池田さんに子供達のアイスを用意してもらう。ケイジィが血涙を流しそうだったので追加で一つ注文、いやしんぼめっ!!


 アイスを貰った皆は、それはもう大切そうにスプーンの先に少しだけアイスを乗せてチョピチョピ口に入れ、じっくり味わって食べていた。とても幸せそうだった……いや、恍惚としていた。


 また粒子が混ぜ込んであるのだろうか?


 とは言え、体に悪影響は無いし幸せならヨシッ!!


 甘いデザートを十分に堪能した子供達は就寝の時間だ。

 侍女達には歯磨きを徹底させるよう指示した。


 たとえ回復剤で虫歯が治るとしても、それはそれ、病気の予防は対策の常習を身に付けさせる事が肝要であるっ!!


 まぁ、エチケットとかマナーの問題も有るね。


 じゃぁな、お休み~。












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