第14話『やったー、家族が増えたよ(強制』





 第十四話『やったー、家族が増えたよ(強制』





 昼食を終えて第四階層に進む。テクテクテク。


 この階層からルーキー時代を卒業したハンターが出るようだ。


 魔物は強化されたゴキブリンと狼型の獣が集団で出る。この狼の毛皮が物によっては良い稼ぎになるので、駆け出しを脱した奴らによく狙われるらしい。


 とは言うものの、狼は集団行動の上に動きが早く、ルーキー上がりじゃぁ返り討ちに遭う事もしばしば、と言う事だった。


 ですので、しょっぱい経験値を必要としない俺とケイジィ、そしてアンドロイドの四人で狼集団の脚部に投石、奴ら移動力を奪い子供達に狩らせる。



 この狼は生きたまま基地に回収出来なかった、と言っても、レイディ的には要らない子だったようだ。


 狼は資源や換金用としてのみ扱う事にした。ペットや軍用としても不要とのこと。ゴキブリンは言わずもがな。




 投石中はヒマなのでケイジィに色々と話を聞く。

 周囲の警戒はレイディが居るから安心だ。



「ところでケイジィ、この国にダンジョンは幾つ在る?」


「ここを含めて三か所しか残ってない、他は異民族に譲渡した」


「フンッ、短い平和を買ったか」


「そう言う事だ。ダンジョンは資源の宝庫だ、この国は終わる」


「皮肉なもんだな、平和を買ったがそれを享受する期間は短くなったか」


「ああ。逆に、脅しだけでダンジョンを複数手に入れた異民族は肥え太る。この国の南と西は領主が国を見限ってゴッソリ寝返ったしな」


「良い選択だ」

「俺もそう思うね」



 そんなボロボロの状況で異世界人を召喚しても焼け石に水だろうに。



『せめて司令を厚遇するべきでしたね』



 まぁそうねぇ……小型戦艦一隻の建造で全部終わりそう。



『小型と言っても全長が十四km有りますし、主砲や中小の迎撃砲の数は合計二万八千有りますから……大型戦闘機や爆撃機を一機開発するだけで済むかと』



 は? 全長十四km?

 小型艦デカすぎワロタ。恐ろしいな不思議科学。



「そう言やぁ坊ちゃん」

「何だ?」


「いや、まぁ、最初に断っておいて何だが、今となっては聞いておくべきだと思ってよ、名前を……坊ちゃんの名前を聞いても良いかい?」


「あぁ、名前か……」



 早漏なんだよね、俺の名前。


 もうソー・ロウで良いや、どうせ日本語での意味は通じん。



「ソー・ロウ、だ」


「え、マジで? あちゃ~」

「どうした?」


「坊ちゃん、この国でソーローってのは『早く果てる男』って意味なんだ、性的な意味で」


「ッッ!!!!」



 ば、馬鹿なっ!!

 また同音同義だと言うのかっ!!

 異世界言語が仕事しなさすぎて僕困惑……っ!!



「だからさ、別名を名乗った方が……良いと思うぜ?」


「いや待て、今のはこの国に入る時に付けた仮名だ、本名ではない」


「そ、そうか、良かった……」

「本当の名前はソウ、ソウだ」


「家名は無いのかい?」


「俺は万世一系の血脈を継ぐ皇族、皇室は一つだけ、故にっ、姓を必要としない」


「こ、皇族だったのかよ……ゴクリ。坊ちゃん呼びはマズかったな」


「フンッ、坊ちゃんで結構。むしろ名を呼ぶのは無礼だ。まぁ他の呼び方も有るには有る……個人の識別として皇族各々が住まう宮殿の名を宮号として姓の代わりにしている。私は皇太子が住むと定められた東の宮に住んでいる、だから東宮とうぐう様と呼ばれる。下々からは宮様と呼ばれているな」


「マジか……しかも皇太子って……」

「フッ、昔の話だ」



 ついでに言えば作り話だ。


 ん? 隣に居るネイがズボンを俺の引っ張る。

 何だ、やめなさい、伸びるじゃないか。



「ねぇお父さん、じゃぁ私はお姫様?」

「……そうだな、ネイ内親王殿下、だな」

「ッッ!!!! ハァハァ、私ちょっと狼ブッ殺してくりゅっ!!」



『登録完了。ネイ内親王殿下の宮号をお決めください』



 え、ちょっと待って、何言ってんの?



「おとうしゃん、あちしは~?」

「……カーリ内親王、だ」

「おひめさま?」

「ア、ハイそうです」



『登録完了。カーリ内親王殿下の宮号をお決めください、護衛の数も増やすよう願います』



 ……次の休憩でキャラガチャを回す、護衛は君が選別しなさい。



『畏まりました……司令、子供達が聞き耳を立てておりますが』



 えぇぇ……多いよ……

 ネイとカーリ以外は『鼻宮はなのみや家』で登録しなさい……


 ついでに御庭番皇族として登録しなさい……

 ケイジィを御庭番皇族の初代で登録しなさい……

 レイディは彼らの上で俺の下と言う位置で登録しなさい……



『私までそのような……有り難う御座います』



 まったく……関りは浅くする予定だったんだがなぁ。


 まぁ良いか、コレも何かの縁だ、最初に仲良くなったコイツらを少しばかり優遇するのも面白い。



『……少しばかり?』



 あぁ少しだねっ、俺の所有資源惑星の内から一つあげる程度の優遇措置だ、惑星一個分の優遇だ、大宇宙の規模からすれば少しだねっ!!



『なるほど、さすが司令、超巨大資源惑星を入手する前提での話と理解しました、さすがです』



 お、おう……


 いや、超巨大資源惑星攻略はちょっと……


 さ、さぁさぁ、換金も進んだしガチャでも回そうぜっ?




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




『女性は小さな皇族方のお世話を、男性は皆様の護衛を、宜しいですか?』


““ハッ!!””



 合計四十名の進化済み完凸星2アンドロイド達が一斉に敬礼し、それぞれ任命された持ち場に就く。



『メーデルは侍女の統括を、テツロオは護衛の統括を任せます』


「畏まりました」

「お任せをっ!!」



 今回のガチャで完凸した星3キャラの二人、女性のメーデルは腰まで伸びた金髪が特徴の美女アンドロイド、身長は172cmでスタイルは抜群、何故か目を閉じている。星2キャラとは違ってロボみが少ない。


 テツロオは男のアンドロイド、こちらも星3完凸、星2のアザンを超える大男、身長は222cmだそうだ。茶髪だが瞳の色は分からない、こいつは不透明な黒いゴーグルが両眼の周囲に埋め込まれている。メーデルよりロボい。


 二人の装備は星2キャラとは少し違う、タイトな戦闘服と言う点では同じだが、所々に銀縁が施されていたり、階級章的な徽章きしょうが星2キャラより豪華で目立つ。


 彼ら星3キャラは初めから大尉となる。

 武器も一段上の使用らしい。


 星3はSRだしな、特別仕様感があってナンボか。



 さて、臨時の増強は済んだ、攻略を続けよう。


 ……レベリング?

 知らない子ですね……








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る