第13話『この秘密は墓まで持って行く……っ!!』





 第十三話『この秘密は墓まで持って行く……っ!!』





 投石を続けること二時間、第三階層に降りるとちょくちょくハンターを見かける場面があったが、どやら十代後半の駆け出しハンターだったようで、こちらを気にする事無く索敵に必死だった。


 俺達はそんな階層を特にアクシデントも無く進んでいるわけだが……


 う~ん、俺が魔物を殺しても基地レベルは上がらんな……まぁ当然と言えば当然か。


 しかし、編成画面に表示されているプレイヤーレベルも上がらんのはどういう事だ?


 ゲームでは敵対勢力との戦闘でレベルが上がる設定だったような……いや待てよ、その敵対勢力は宇宙艦隊だ、殺す数も尋常じゃない。


 大型制圧艦を落とせば何千何万の敵兵が死ぬ、序盤は一戦でレベルが上がっていたが、中盤になると上がらなくなる。


 つまり、ゴキブリンやゴロツキハンターを虐殺した程度じゃレベルは上がらない?


 ウソやろ、キツいわそれ……


 ぶっ壊れチートを手に入れた代わりに膨大な経験値が必要なのか?


 いや~無理やろ~、宇宙艦隊並みの経験値は無理ですわぁ……


 あのゲームだって、中盤からはレベルを上げる為に恐ろしい難易度の『超大型資源惑星争奪戦』に参加する必要が有った、俺はそこまで強くなかったから参加した事は無かったが……この惑星ではそこまで到達出来んな、レベルの伸び悩み以前の問題だ。


 伸び悩む前に上がらないっ!!


 参ったなぁ、レベルが上がると艦隊の陣形とか新しい内政技術とかバンバン手に入るのに……クソう。



『司令、午後十二時を回りました、そろそろ休憩にしてはどうでしょう』



 おっ、もう昼か、早いな。

 昼の野戦食は何だ? また唐揚げか?



『本日の昼食は池田さんが作った【司令カレー・愛と言う名の福神漬けを添えて】だそうです』



 愛と言う名の福神漬けが興味をそそるな……楽しみだ。

 あ、司令カレーと言う名称には興味を抱けないかな。


 では昼食の休憩に入ろう。



「ケイジィ、昼飯だ、どこか広い場所はないか?」


「おっと、もうそんな時間か。じゃぁ四階層に降りる階段付近が良いかな」


「あぁ、一階と二階にも在った踊り場か……」



 階段の踊り場、四階層へ行く前の踊り場ねぇ……



「アホがたむろしてそうだな」


「う~ん、もう少し下の階なら居るんだが、居たとしても駆け出しだ、絡んで来る事は無ぇよ坊ちゃん」



 人はそれをフラグと呼ぶのだ鼻のケイジィよ。



『階段付近には少し前に遭遇した四名のハンターが居ます、動きは有りませんが……これは待ち伏せでしょうか、敵対信号が出ています』



 フラグ回収お疲れ様です。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「お、アンタ紋無しのケイジィだろ? 今日は子守が仕事かよ、無能は楽で良いなぁ~」


「ちょっとぉ~、よしなさいよぉ~、無能に話し掛けるとミッチーの格が下がっちゃうよぉ~? それにぃ、あの子達何か臭いしぃ~……」


「どれどれクンクン、クッサ!! 何だコイツら、臭ぇ……」

「ホントだ、犬のクソみてぇなニオイしやがる……」



 何だコイツら……

 喧嘩を売る為に話し掛けたようにしか見えん。殴りたい。


 しかも、女はさり気なく子供達を物色、男三人は剣の柄を持ったまま。


 マジで何だコイツら、子供をさらうつもりか?

 それとも斬り殺すつもりか?



『そのようですね、慣れた様子ですので貧民を殺害するのはこれが初めてではないのでしょう』



 へぇ、そりゃ良い、遠慮なく殺せる。


 はぁ~、しかし、そんなに臭いのかこの子ら?

 バリア張ったままだから分からんわ……


 戻ったら大型テント張って風呂に入れよう。



「坊ちゃんすまねぇ、予想が外れちまった」

「構わんよ、アホの存在は確認していた、気にするな」

「悪ぃ、今後は俺も斥候をやるわ、ハァ~……」



 気落ちするケイジィの右肩をポンと叩き、アホの処遇を考える……


 フと足元に目をると、耳を真っ赤にしてうつむくネイが居た。あぁ、体臭をイジられたのが恥ずかしいのか。


 視線を後方に向ける、年長組の女の子達がネイと同じ状況だ。カーリは幼すぎて気にしていない模様。


 ふぅ、やれやれ、これは捨て置けん、捨て置けんぞレイディ。



『大ニッポンヌ帝国臣民への侮辱は万死に値します、女性の体臭を揶揄からかうなど言語道断、即刻銃殺が妥当です』



 うむっ、帝国臣民?への侮辱は万死に値するなっ(困惑

 宜しい、秘書官の案で行こう(キリッ


 どうせ俺も殴り殺す気だったしな。ネイの頭を撫でる。

 銃殺か撲殺かの違いだ。ネイを抱っこする。



「アザン、臣民侮辱罪で銃殺刑に処せ」


「ハッ!!」



 前に進みながら腰のネオナンブを抜くアザン。

 彼を睨み付けながら立ち塞がるアホA。



「んだテメェッ、変な仮面付けやがピャァ……」



 アザンにレーザーで頭を撃ち抜かれて前のめりに倒れるアホA。最初にケイジィを馬鹿にした奴だな。


 一瞬の出来事で呆ける残りのアホBCD。


 紅一点のアホBが倒れたAに近寄り頭部の穴と流れる血を確認。



「し、死んでる……っ、な、何でョエア」

「臣民侮辱罪である」



 Bの頭を撃ち抜いてから罪状を告げるアザン、シブい。



「ちょ待てィョァ」

「おい能無しっ、コイツを止めリョェ」



 CとDも容赦無く頭を撃ち抜かれ倒れた。

 レイディが事務的に死体を回収する。

 アザンが俺の前に来て敬礼。



「閣下、処刑を完了しました」

「ご苦労、下がれ」

「ハッ!!」


「ヒュ~、スゲェ手際だな坊ちゃん」

「フンッ、華の香りが分からん奴を消しただけだ(キリッ」


「クッ、イカスぜぇ」

「お父さんは……臭くないの?」


「……娘の匂いを不快に感じる親など、居ない(キリッ」

「お父さんっ!!」



 言えない……っ!!


 バリアが有るから体臭を嗅いだ事無いなんて……っ!!

 絶対に言えない……っ!!


 バリアの解除は入浴後で堪忍して下さい……っ!!












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