第8話『貴様、女……っ!?』





 第八話『貴様、女……っ!?』





 転生初日、数時間で濃い体験をした。今日はもう情報収集を切り上げて現状改善について考える。


 なんせ僕には寝泊まりする場所が無い、この穴ポコに住む気はしない、あの王や宰相が好きに住めと言ったスラムの『家』なんて無い、吹けば飛びそうな半壊した小屋っぽい何かしか無い、ウケル。


 俺は城の奴らに一杯食わされた感じになるのかな?


 態々わざわざ『ざまぁ』の燃料投下に協力してくれるのは有り難い事です。


 取り敢えず今日だけはこの穴ポコで寝ても良いが……レイディ、何かないか?



『司令長官専用の大型テントが貸倉庫に入っています』



 あぁ~、あの【気力回復テント】の事?



『そうです、ここでは狭くてテントを展開出来ませんので、浴室やトイレ等の性能は屋外でお試し下さい。高級将校のテントは基本的に十数名の部下が待機出来る広い造りとなっており、居住性は申し分ないかと』



 へぇー、あのゲームは基本的に待ちゲーだったし、やる事やって一日置けば気力が全快するから気力回復テント使った事なかったけど、こりゃぁまた大化けしたなぁ、異世界序盤での大活躍確定じゃぁん。


 鋼材資源使えば造れるのかな?



『鋼材と燃料資源を消費します。他の材料は必要有りません』



 さすが不思議科学、じゃぁ木材が使われていても無視するね。


 さぁて、これで飯と寝床は用意出来た、衣服は有る……が、子供達のがなぁ、ボロ雑巾で作りましたって感じの服着てるからなぁ……さすがにこの格好は見るに堪えん。


 でもお金が――あ、あぁぁぁっ!!!!



『どうかしましたか?』



 わ、忘れていた、異世界事情調査に集中しすぎて大切な事を忘れていたっ!!


 待ちゲーの基本『やるだけやって放置』する事を忘れていた……っ!!


 いや違う、編成画面内の基地周辺に施設を建てるより外に建てる方を選んだからだっ!!


 クッ、費用対効果を意識しすぎた愚か者です私はっ!!


 レレレレイディっ!! 質問ですっ!!



『何でしょう?』



 編成画面内の基地周辺に建てた施設を後から外に出す事は出来ますか?



『可能です。施設レベルは維持しますが、無論、その規模とレベルに見合った資源は消費します』



 よっしゃ、それを聞きたかった。

 あ、資源は自然回復する仕様だよな?



『そうなっております。しかし司令、入手した資源惑星からの輸送が出来ない現状では自然回復量の最低値しか増えませんので、本惑星での迅速な資源確保を推奨致します』



 あ~、そうだなぁ、資源確保なぁ……ゲーム序盤のセオリー通りなら最初に考えるべき事だな。


 だが待て、まだ資源確保は置いておけ。

 ところで資源の自然回復量もゲームと同じ仕様か?



『同じです、初期回復量は十分間で最低値の三です』



 ふむふむ、編成画面上の数値では千からピクリとも動かんが、減ってないから仕方ない。しかしこれは嬉しい発見だ。


 あ、そうそう、資源量数値の単位は何だ?



『単位はmtです』



 は? エムティ……mt?

 メガトン? 破壊力かな?



『ですので、現在の回復量は十分間で三万トン、最低値です』



 クッ、mtがメガトンの略なのか万トンの略なのか分からないっ!!


 まぁいい、そんな事より十分間で三万トンはエグい、しかも最低値で、だ……宇宙規模の軍事ゲームだから当然か? むしろ少ない?


 でも一つの惑星規模だとかなりエグい数値だぞコレ……



『基地の拡張や第二第三の基地建設も有りますから、将来的にはもっと大きな数値になると思います』



 あぁぁ~、そうだなぁ、あったな基地の拡張と増加、なるほど、三万トンで驚いてる場合じゃないな。


 取り敢えず自然回復量と単位は分かった。


 次の質問だレイディ、まずメタル製錬・燃料精製・食材加工の基本三施設を一つずつ建てて、セオリー通りタンクを増設した後、残った資源で他の施設は全部建てられるか?



『残念ですが無理です。貿易センターと星間移民機構・防疫所は省きますが、士官を集める人事部は必須として、防衛大学、訓練所、兵器開発所、科学研究所、警戒管制レーダー、大中小の戦艦を造る造船所、格納庫、母星と本拠地確定後の大本営タワー……現在の資源では到底足りません』



 多いなっ!! そんなに多かったか……?

 いや、有ったな、管制レーダーとか作った事無いわ。


 あぁ~思い出して来た、本来なら基本三施設とタンクの後は造船所三種と格納庫か……


 しかし現状では要らんな。造船所も戦艦も資源食いまくるし、そうなると格納庫も要らん。


 う~ん、人事部と訓練所、あと科学研究所以外は……後回しでいい、かな?


 この三つなら資源足りる?



『人事部と訓練所を合わせた建築消費資源と科学研究所の消費資源がほぼ同じです、二つか一つ、どちらかなら足ります』



 そっか、じゃぁ人事部と訓練所を明日に回すかな。


 今は士官の募集よりも科研に色々作ってもらいたい。主に衣類の素となる丈夫な繊維とか、吸収率抜群のオムツとか。


 人事部が必須だってのに悪ぃな。



『お気になさらず、施設の設置は私がやりましょうか?』



 お、やってくれるの? じゃぁお願い。



『畏まりました……メタル製錬所が出来ました』



 早っ!!

 まぁ四秒建築はゲームの仕様だが、現実となると恐ろしいな。


 おぅ、資源がガリガリ削られていく……が、レイディがやってるから設置時間に選択ロスが無くて地味に凄い。って言うか俺、何もしなくて良い、もう放置ゲーになるじゃんこれ。


 とってもヒマになりました、でも子供達は寝てるしケイジィは居ない。


 粒子の摂取で病気になる事は無いと知ったケイジィは、いずれハッチャクを連れて夜の華(貧民窟製)を買いに行きたいと言ったので、その時は俺が子守をするから行って来いと言ったら即行で買いに行ったんです。


 今行けとは言ってなかったんですが……


 あぁ~そっか、ケイジィも病気が怖くてヤれなかったのか。金も無さそうだし街では差別されてるらしいから、普通の場所じゃ清潔で綺麗な華を買えなかったんだろうな。


 さっきはハンターギルドに明日ダンジョンに入る許可を取りに行ったらしいが、そこでもやっぱり扱いはアレなのかね……


 差別の度合いを視認したいところだが、ケイジィがダンジョンへ入る手続きを済ませてくれたので、俺がギルドへ行く必要は無い。


 俺は荷物持ちって扱いで登録出来たそうだ。

 何とも杜撰ずさんな管理だな。


 しかしそれにしても差別か……


 明日、ダンジョンでからまれそうだなっ!!


 膝の上で眠るネコ耳っ子カーリのほっぺをつつきつつ、嗜虐しぎゃく性高めになってしまった僕は不敵な笑みを浮かべるのだった……



『嫌がっているのでめてあげて下さい、幼女にイタズラして楽しいのですか?』



 あ、いえ、ハイ……


 カーリは女の子だったのか……








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