第2話 ウワサの巣窟

昨日のクラスメイトからの質問は一体なんだったのだろう。


そんなことを考えているうちに2限目の体育の時間がやってきた。


僕の学年は2組と3組が合同で授業を行う。

体育着に着替えようと更衣室へ行くと


「おい日下部〜また噂話かよ〜」

「これはまじだって!まじ!」

部屋の中からそんな声が聞こえてきた。

日下部とその友人の会話だ。


僕が更衣室の扉を開けようとすると耳を疑う会話が聞こえてきた。


「前の新田晴美?みたいな人の話もお前直接その人と面識ないんだろ〜?」


「いや〜そうだけどさ!他校の友達とかがその新田の話しててさ面白そうだったし」


日下部が言葉を並べる事に

僕は本能で理解した。


日下部は話のネタという私利私欲の為に確証があるわけでもない噂を自己満足で広めているんだと。


後ろから他のクラスメイトが来たので僕も

着替えに行った。


やはり噂は怖い。


まるで蜘蛛のようだ。

誰にも悟られず繁殖し簡単には取ることのできない巣を張る。


糸のように簡単に切れる噂もあれば束になってなかなか途切れない噂もある。


そして、その噂を糧に新たな噂の卵が産み落とされる。


できることなら新田を救ってやりたい。

そんな感情が少し僕に芽生えた。


今日は船橋と黒岩と一緒に帰る日だ。

僕は2人をとても信用している。


そんな2人にだからこそ僕は昨日のことを話してみた。


「昨日、人殺したり酒とかタバコやってるか聞かれたんだけどなんか知ってる?」


「なんだそれ笑お前に限ってそれはないな笑」

船橋が言う。


「それ誰が言い始めたの?」

黒岩が続ける。


「それがわかったら苦労しないからな〜」

こうして信頼出来る人に気持ちを打ち明けると心が透き通るように整理されていく。


「そういえば凜音まだ、有花のこと好きなの?」

不意に船橋が尋ねてくる。


「やっぱ有花しか目に止まらないわ笑」

僕は有花という女性に好意を抱いている。


有花とは中学校に入ってから出会った。

彼女は小学校4年生の時に他県から引っ越して来たという。


雪のように白く、触れたら消えてしまいそうな彼女に僕は心を奪われていた。


「そっか〜凜音一途だもんな〜」

黒岩がそう言ってこの会話は終了した。


沈む夕日に悩み事をのせて2人と別れたあとの帰り道を僕は歩いた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

謎解きの声

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

凜音は恋をしていたんですね〜


中学校2年生の恋というのは子供の恋愛に思うかもしれませんが、案外しっかりと考えられているものです。


凜音の恋は叶うのでしょうか!


さてここで少し解説です。

何故、日下部は確信のない噂を広めていたのかそれは日下部の環境にあります。


自分の話題に自信のない日下部は自分自身が聞いて興味を引いた話題をみんなとの会話のネタとして使用するそうです。


この先、新たに変なウワサが流れないといいものですね。


これを読んでいるあなたに質問!

そう!

そこのあなたです!


あなたの望む幸せとはなんですか?

深く考えるのも悪くないのかもしれませんよ〜













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