第8話 存在

クリスタルを触られてしまった!!ほぼ俺と同時に。


【おい、何勝手に触れてるんだよ…もう!】


経験しているが光に包まれて、この先はもちろん、


【どうなってるの?】


【深層心理の世界だよ!!バーチャルと思って】


【どうして急にバーチャル?】


【このクリスタルに触ったから、俺と一緒に】


【???よく解んない】


 せっかく現実の世界であの女性に会えると思ったのに。


【眩しかった〜、ここ私の民宿…そうだよね?】


 この民宿は俺は子供の頃の記憶がない。それなのに何も変わらないといことは、この娘の記憶とリンクしてるのか。説明はあとにして戻らないと。


【説明するの面倒だから、とにかく俺がクリスタル握るから、その手をさっきと同じように握って】


【えー、お兄さんの手を握るの〜照れる…】


【この世界に残ってもいいならどうぞ。俺は君のお姉さんに会いに現実の世界に戻るから】


【やっぱね、お姉ちゃん狙いだった。そのことは置いといてと…ここ、いつもの私の民宿じゃん?お兄さんイミフだよ】


 あー、俺だって確かに深層心理って理解するにはね。この娘はもっと時間かかりそうだ。


【とにかく言うとおりにして!!】


【案外私、強く出られると弱いんだよね〜】


知らん!!そんな、君の性格なんて。


【じゃ、戻るよ】


俺の手を掴んでくるね。じゃ、俺はクリスタルを。


ん、ん?何も起きない…


何も起きない…あの光が来るはずだけど。


【お兄さん、これ何のおまじない?】


【おまじないでは…あれ?どうして?】


まさか、限界に達した?使用しすぎたのか。



と、なると…えー!!!!!



戻れない?ってこと…マジでーーーーー!!!!!



【お兄さん、恥ずかしいから、手を離していい?】


【そうか、ごめん。ちょっと、冷静に、冷静に…】


とりあえず、何処かに行ってみよう。


【あっ!!!、お母さん。あのね、お姉ちゃんのことだけど、この人が会いたいってさ】


何勝手に話してんだよ!!それどころじゃないのに。


【あの〜ご宿泊のお客様ですか?お二人様ですね】


【お母さん、何大ボケかましてんの!!お姉ちゃんっていつ帰ってくるって聞いてるんだけど、お母さん?何これドッキリ?】


【お客様、お姉さんって?確かに私の子供で女の子というよりも、成人している女性の子供はいますけど、妹はいませんよ?】


【もうドッキリはいいから!!つまんないよ。お母さんらしくないよ】


駄目だ、とりあえず止めよう!!


【すみません、妹が変なこと…失礼しました】


【いえ、いいんですよ。あなたの妹さんでしたか?凄く可愛い妹さんですね。兄妹で旅行なんて仲がよろしいんですね。ご夕食の準備が整いましたらお部屋の電話にしますね】


【ありがとうございます。部屋に行こうか?妹よ】


妹よ、って変な言い方だったな。


【私はお兄さんの妹じゃないでしょ!!あのね、お母さん、冗談は…ちょっと何で引っ張るの?】


とりあえず引き離そう。ややこしくなる。


【詳しく説明するから、ちょっと来いって!!】



……………………………………………………………



【あのさ、ちゃんと説明するから、ちょっと外に】


【うん…】


 とりあえずあの海へ。とんでもないことになったな。これはどうするべきか…もっとおじいさんにいろいろ聞くべきだった。使い方やリスクなど。


【あのね、俺達は今、バーチャルの中にいる。俺の記憶と君の記憶の中に。でもね、相手が同じように対応する記憶かといえばそうではない。俺の両親も俺のこと存在しないことになってた。それはさ、既に俺は経験済み。なので、君のお母さんも同じ】


【解らないよ…なんで民宿に?何も変わってないのに。この海も何も変わってない】


【それはね、俺の記憶と君の記憶にの共通部分があるから。この海って現在も変わってないから】


 静かに、この娘、ふーと、ため息をついてる。パニクって当たり前だよ。俺もそうだった。


【じゃあさ、じゃあさ、ヒック…私のこと知ってるお母さんと…ヒック…もう会えないの…そんなの…やだよ…】 ※うわーん※


泣き出しちゃったよ…どうしよう。


 真夏のような暑さなのに、この娘はブリザードの中に一人なんだろうな。


 何とかならないか?このバーチャルから抜け出す方法は?


 戻る方法はないのか?俺が戻りたいって、この海よりも強く思える場所を思い出してみよう。







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