第7話 冷静に

【俺、今からここの民宿行ってくる】


【お前、そんな急に…】


【そうよ、どうしたの?思い出の海が解ったならいいじゃない?】


【どうしても行きたいんだよ!】


【何か別の理由あるでしょ?】


ギクッ!!


【相手の娘さんのことか?】


ギクッ!!


【えー、それは、何と言うか…そうそう!!助けてくれたんだよ。そのお礼も兼ねてさ…】


【海で助けたのお父さんだよ?あんた何言ってるの?】


【そうそう、後にも先にも俺がヒーローに…】


親父の話はいいから。ややこしくなる。


【数日留守にするから。何かあったら携帯に連絡して。じゃ!!】



……………………………………………………………



 おじいさんにも伝えておこう。おじいさんも結局出会えたって言っていたからね。公園にダッシュ💨



【おじいさん、俺今から行ってくる】


【何処へじゃ?】


【あの海へ…あの娘のところへ】


【そうか…お前さんの判断で】


【そう。この世界でね、深層心理でなく】


【気をつけてな。その娘の人生のことも…おいっ!!…相変わらずせっかちじゃの〜】



会いに行けるんだ、リスク無く…会いに…



電車🚃の中でワクワクドキドキ…


俺の弱点というのか、必要なのは…冷静差だ!!


もし彼氏がいたら?恋人がいたら?


 俺とほぼ同じ年齢だろう。溺れていてところを助けたって親父が言ってたな。それから親父に懐いて、ほんとヒーローだな。もっと褒めるべきだった。気の利かない俺のそういうところもせっかちって言われるわけだ。


 もし結婚していたら?深層心理の世界では、そんなことは無かった。結婚していたら誘ってついてこないから。あっ、深層心理の世界って?理想像?


これ、もっと詳しく聞けば良かった~


 これもせっかちって、なるね〜もう、自分にムカつく!


俺は何のために会いに行く?恋?


何でこんなに惹きつけられる?


 あの娘との接点は、子供の頃に出会って、その頃はたいした記憶無かったけど、深層心理の世界では凄く強く惹かれた。


 もし、この世界で出会って、性格なんか全然違ったら?それでも惹かれるのか?


俺はあの娘の何に惹かれたんだ?


解らない…会いに行って答えが出るのか?


勢いに身を任せてしまって、後悔しないのか?


 不安に震えてきた…会ったことが後悔なら、会ってはならないのか?



立ち止まるべきか?



会えるなら会うべきか?



もうすぐ着くぞ!!ここでこそ、冷静に…冷静に…


悩んではいたが、この海についてしまったよ。


もう決めたんだ!!会う、絶対に会う!!


【すみません、この近くにこのような民宿があるはずなんですが、解りますか?】


【あら、私の民宿じゃない、ここ!!予約されたお客様?】


え、あの女性のお母さん、お母様!!


【あ、あ、その、予約で、なくて、えーと】


駄目だ!!緊張して、何かめちゃくちゃだ。


ここで冷静に冷静に、落ち着いて、


【すみません、予約してないです。部屋は空いていますか?】


【空いてるわよ、うちはめったに満室なんてないからね】



……………………………………………………………



【はい。こちらですよ。どうぞごゆっくり】


ここが、求めていた場所になるのかな。


とても落ち着けないか。探しているのは…


【あー疲れた~、何かある?】


【こら、お客さん来てるのに、何度も裏の玄関から入ってと言ってるでしょ!!】


【あ、すみません…いらっしゃいませ〜】


ドキドキ…ドキドキ…心臓が飛び出しそうだ。


この女性だ。でも、性格は?違わないか?


【ほら、お客様、部屋まで案内して!!】


【え〜お腹空いてるのに〜】


【つべこべ言わないの!!いい歳して】



マジか〜いきなり二人きりですか〜



【ねー、うちの民宿どこがいいの?】


【えっ、海の側だし、えーと…】


【ふふっ、無理しなくていいよ~何もないもんね。たまに来るんだよね。ここ。占い師さんとか、作家とか…もしかして、占い師さん?】


【違う、占い師じゃないよ】


なんだ?この娘、タメ口だ。お客さんなんだけど。


深層心理ではこんなんじゃ、やっぱ俺の理想像…


【はーい、ここです。夕飯は後で連絡しますね】


【あっ、ちょっと…海で溺れていて俺の親父が、そのこと覚えていますか?子供の頃だったと思うんですけど】


【あっ、それ、姉ですね。双子の私の姉】


双子だったのか!!なんか違和感感じたわけだ。


【あー、解った!!お姉ちゃん目当てね。解る解る。でも残念でーす。お姉ちゃん暫く帰ってこないよ】


【お姉さん目当てってわけでは無くて、えっと深層心理の…駄目だ、うまく説明出来ないな】


【あっ。これ、見せて!!綺麗〜】


【駄目〜触っちゃ駄目!!】













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