第6話 写真
はー、深層心理の…どうするか…
あと何回行けるのか。もし、これがラストなら。それで後悔しないのか。とりあえず両親に会おう。
戻れなかった場合のこと確認しておかないと。
別れ際のおじいさんの言葉、思い出す。
※わしは使う勇気が無かった。迷って迷って、悩んでそれで使わなかったんじゃ。でもこの世界で出会えた。お互いに人生の大半を別々に過ごしていたが最後は出会えたんじゃ。それで後悔は無かった。その判断が正しいのか、間違いなのかはわし自身でも答えは見つからない。お前さんは後悔するんじゃないぞ※
後悔ってのは、後で解ることだ。
あの女性に会いたい、どうしても会いたい。
とりあえず実家に、両親は俺のことどう思ってるか確認しないとな。
【……ただいま、何か食べ物あるかな?】
【何よ、急に。ちょっと待って。来るなら言ってくれれば何か作ったのに】
【おー、久しぶりだな。何か顔色悪くないか?】
お袋、親父…俺のこと一番理解してくれてるのは、あなた達、二人だよ。
【あのさ、もし俺がいなくなったらどうする?お袋は大丈夫?親父は?】
二人は見合わせて、
【何言っての?大丈夫って言う訳無いでしょ!!気が狂うわよ!!とても普通になんてなれないでしょ】
【そうだな。親ってのはそういうもんだぞ。冗談でも言うもんじゃ…どうした?】
…そうだよな…
【何か悩みがあるの?言ってみて】
【俺も父親として何か出来るなら手伝うぞ】
このクリスタル使うのは、もう無いな。両親を悲しませては駄目だ。
【ありがとう。俺はこの両親で良かったよ】
【へんな子…】
諦めようと、解っているけど、でもあの女性に会いたいな…何か方法無いのかな。
【あのさ、俺、前に話していた思い出の海の場所解ってさ、行けたっていったでしょ。写真とか残ってないかな?家族での旅行の…】
【海の写真?お父さん、何枚も撮っていなかった?】
【ああ、趣味のカメラで…えーと、このアルバムかな?これは俺が自慢のカメラで…おい、話聞け!!】
俺はアルバムを手に取り、最初から順に…
【懐かしいな、これはお前が生まれてすぐの…】
【この時は幼稚園に行くのが嫌で嫌で大変な…】
もう、うるさいな!!知りたいのはあの海で、あった!!
【これ!!この海、俺が何才くらいの…】
お袋、親父が、二人で見合わせて、
【小学校5年生くらい?】
【3年生くらいじゃないか?】
その頃、もし記憶の片隅にあるなら、そこから割り出すことが出来るかな?
【お父さん、思い出すわね。この海であの女の子のこと】
【ああ、助けたよな。溺れていて】
【お父さんヒーロー扱いだったもんね】
【後にも先にも、俺がヒーローになった瞬間な】
うるさいな!!過去の栄光の話ししてるんじゃないんだよ。
【ほら、その女の子、ここに写ってる。もうお父さんに懐いちゃって。あちらのご両親の切なそうな表情は今でも覚えてる。父親はどっちなんだってね】
【ほら、お父さんの栄光の写真だぞ。見てみろ!!こんな娘いたら嬉しかったな。さぞ、可愛くなってるだろうな】
もう、写真は俺が見てるの!!どれ、この女の子…
これ…
まさか…
こんなことって…
【どうした?お父さんの栄光の…】
【親父!!誰だ?この女の子!!】
【俺の栄光の…】
【そうじゃない!!この子だよ!!!】
【誰って言われても…なぁ、お母さん…】
【どうしたの?急に】
この女の子…面影がある。間違いない。
【頼む!!思い出してくれ。親父!!この女の子のこと、例えば連絡先とか、この時のこと何でもいい!!お願いだ!】
【お母さん、連絡先聞いたよな?あちらのご両親が感謝してくれて。何か送ってきてくれたよな?】
【5月人形でしょ。立派なの送ってきてくれたじゃない。娘を助けてくれたお礼って。ほら、うちは男の子だから】
5月人形か。そこに、何か情報がないか?
何でも少しでもいい。少しでも情報があれば…
間違いないんだ!!この女の子は、面影が、雰囲気が、あの女性だ!!
手がかりはこの写真と、5月人形か。
5月人形を出してみるか?
【お袋、5月人形どこにしまってある?】
【その年で5月人形は無いでしょ?】
【いいから、俺が出すから教えて!!】
とにかく知りたいんだ。僅かな情報でも。
5月人形、これか!!どこかに…あっ、手紙…でも、張り付いていて、剥がすと破れそうだ。
裏には…かすれてるが、住所がかろうじて読める。
【お袋、この手紙の住所、記憶にある?】
【あっ、そうそう。あの海ねー、思い出した。お父さんも記憶にある?】
【おー、ここだ!!あの子の両親が経営している民宿に…あれから泊まりに行ったな~】
【親父!!その民宿の場所教えて!!頼む!!】
繋がった!!民宿とその娘と海。
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