第5話 占い師
【わしに、ちょっと、ついてきてくれ】
【いいですけど、何処へ?】
【深層心理のことをわしよりも上手く説明出来る人に合わせるんじゃよ】
【それは、助かります。おじいさんの説明では…】
【なんじゃ、わしの説明では解らんと!!お前さんがせっかちなんじゃ!!優しいのに、そのせっかち、何とも勿体ないの〜損しとるな】
解るけどさ〜生まれつきだからな…
おじいさんに連れられて、公園を出て歩き始める。
【ここじゃ、さて、空いてるかの〜】
※ガラガラ…※
何かとても暗い室内だな。
【あら、お久しぶりですね。お元気そうで…】
【相変わらず腰は痛いのじゃが…】
【その様子では、今日の目的は腰の治療では無さそうね】
【治療も出来たらお願いしたいがの〜】
この女性、はり師?でも、見た目が、誰だろう?
おじいさんは何も言っていないが、俺を見て、
【さては、あなたは恋をしてますね。それもしてはならない恋を】
【そんなことありません。俺がおじいさんになんて!!ありっこないです】
※パカーン※ 痛っ!!
【わしも御免じゃ、馬鹿たれ!!だからせっかちだと言われるんじゃ!!!お前さんと恋する理由ないじゃろ!!】
おじいさん、すぐその杖で…やめてくれよ。
【見てもらって、話をしっかり聞きなさい。わしは隣の部屋で治療受けるから】
【治療…腰ですか?】
【そうじゃ…腰が痛くてな。でもここで治療受けるとだいぶ楽になるんじゃ。とにかく話を聞いてお前さん、どうするか決めるんじゃな】
おじいさんは隣の部屋に入っていった。
俺は、どうするか、そうだな。この人が深層心理について教えてくれるってことかな?
【お座りになって。その胸につけているものを使って、どうでしたか?】
【はい。ずっと行きたかった場所が解り、そのことはとても良かったんですが、そこで記憶にはない女性と出会い…ちなみにこのクリスタルってのは…】
【説明いりませんよ。解っています。深層心理の世界に行き、その女性はことが気になるんですね。でもその後、会おうとしてもその世界に行けない…それで悩んでいられるのですね】
ほー、全てを見抜かれてる。もしかして占い師?
【そうですね〜二通りの選択肢があります。深層心理の世界は現実ではないと理解して二度と行かない。または深層心理の世界を現実にしてしまう】
?どういうことでしょう?
【あなたの行動は間違えとかかんがえる必要ありません。深層心理の世界≒バーチャルと思っているんでしょう】
【何もかも解っていますね。俺の思っていること、全て解ってますね】
【深層心理の世界に踏み入って、そこで恋をすることは、その人は永遠に戻れないと理解してください。その人は幸せなのかも知れませんが、その代償もしっかり考えてください。そして、その…胸につけているクリスタルは限界もありますから】
【あなたは何でそんなに詳しいんですか?】
【そのクリスタルを先程のおじいさんに渡したのは、この私です】
なんだって!!
【おじいさんはクリスタルを使わなかったと聞きました。若い頃から自由に生きて生涯独身で。でも、若い頃に出会った女性が忘れられずに】
【じゃ、なんで使わなかったんですか?】
【会えたからです。その女性に】
【なるほど〜その必要が無かったってことか】
※パカーン※ 痛っ!! 何だよ!!もう
【わしの話ししてどうする!!聞いたか?詳しく】
【おじいさん、杖取り上げるぞ!!さっきから、痛いんだよ!!その先端の部分で叩くなよ!!】
※パカーン※ 痛っ!! もう、勘弁して〜
【なんじゃ。その口の聞き方は!!】
【痛いって、もう!!聞けたよ。おじいさん使わなくて済んだってね。出会えて良かったね。叩くなよ!もう。痛いんだから】
おじいさんは、ため息…
【そんなことまで話さんでもええじゃろ…】
【何を気になさって…私も嬉しかっただから】
おじいさん、もしかしてその女性って…
この占い師さん?
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