第4話 バーチャル
少しずつ話して、怪しまれていないようだ。それにしても、やはり綺麗な女性だ。吸い込まれる…
【私の格好変ですか?】
【いえ、凄く素敵です!!】
【ふふっ、占い師さん、お上手ですね】
もういいや、占い師で通すか…説明出来ないからね、深層心理の世界であなたと話してるなんて…
【暑いですね、冷たい飲み物でもどこかで】
【占い師さん、ナンパですか?】
【そうですよ、嫌ですか?決して怪しいものでは…ないのですが…どうでしょうか?】
【何その話し方?いいですよ。近くに喫茶店ありますので。それにその服持ってるだけでも暑いですね】
確かに、これいらない。捨てるわけにもいかない。
もー、この温度差が堪える。
【さっき、ナンパって言ってごめんなさい。私から声かけてましたね】
【それは、最初に俺が倒れていたから、助けてくれて。感謝してます。ありがとうございました】
女性は、キョトンと、
【???不思議ですね、占い師さんはあの場所で、二度会ってるんですか?私と?】
ややこしくなるな…これは。
【俺からしてみると、二度ですが、人違いかも知れないですので、忘れてください】
【???別にいろんなナンパの仕方あると思うので、言い訳しなくてもいいのに…私も嫌だったらついてこないし…あっ、ここです。喫茶店】
どういう意味?嫌だったらついてこないって、嫌じゃないってことは、期待していいのかな?
※【いらっしゃいませ、二名様でしょうか?】※
【はい】
※【こちらでよろしいでしょうか?】※
海の見える道路側の席を案内された。
【俺はアイスコーヒー、えーと、何にしますか?】
【私も同じので】
※【かしこまりました】※
ふと思った。深層心理って、確かにこの海は子供の頃に家族旅行で来た海だ。でも、この女性の記憶はない。何故こんなに惹かれるんだ?
俺が誘って、何も話さないのは不自然だ。
【子供の頃、この海に旅行で来て、ずっと思い出になっていて、えーと、どう伝えていいか…】
【無理しないでください。あなたの緊張が私にも伝わってきます。私も緊張しちゃうから、自然に、気楽に話してください】
※【アイスコーヒーお待たせいたしました】※
俺は本当にこの女性に会ったことないよな?
深層心理の世界のこと、解らない。もし、戻ったらこの女性とは最初に会うことになるんだろうな。
もっと知りたい、話したい…出来るならば…
これ怪しまれるかな~でも、聞いて知りたいから。
【突然、変なこと聞きます。怪しまないでください。今の季節って、夏ですか?冬ですか?】
【占い師さん…その質問、私のなにかを占ってます?】
【いえ…そうではなくて…説明するにも自分が解ってなくてうまく、説明が出来なくて】
女性はアイスコーヒーを少し飲んでから、
【季節って?ここはだいたいこれくらいの暑さで、たまに台風🌀が来ると通過する方向で温度や湿度が前後します。地域差も多少あります。両親の子供の頃は昔は違ったようですが、私が生まれてからはずっとこんな感じです。真面目に答えてしまいましたが、こんなんでよろしいですか?】
【はい、ありがとうございます】
やはり、作り上げた世界なんだ。この海に子供の頃に来たのは夏、それにここには冬のイメージがない。だから、この俺の格好をエキストラとか思われたんだ。
仮想世界、バーチャルとでも理解するほうがいいのか?
今、目の前の女性、確かに理想像だ。でも、あまりにも素敵過ぎて、困ったな…これは。
【占い師さん、今度は私から質問します】
【はい、何でしょうか?】
【あなたは誰?】
……………………………………………………………
その質問、なんて答えれば…その目で見つめられて、ヤバッ、ドキドキしてきた、心臓の鼓動がハンパ無いぞ。落ち着け落ち着け!!
ん?なんだこれ?
あー触れてしまった!!クリスタル…光に包まれて…
だんだん慣れてきたけど、目を開け続けることは無理だな。
……………………………………………………………
現実だよな、ここは。寒い!!海風が強すぎる。急いで深層心理の世界に、仮想世界に戻らないと…
戻れない?あれ、クリスタルに触れているのに、どうして戻れない?
おじいさんに聞きに行かないと、この答えは見つからない。公園にいるのかな?
その前に喫茶店だ。確かこの方向に歩いて…あった!
※【いらっしゃいませ、空いてる席へどうぞ】※
当然いないよな、あの女性は…そうだよな…
喫茶店は同じ場所に存在してる。何も変わらない。
とりあえずおじいさんに会わないと、急げ!!!
電車に飛び乗り、服を着込んで、うー寒い…
何か公園に来たり、海行ったり忙しいな。
いたいた、良かった〜
【おじいさん、聞きたいことが、いいですか?】
【構わんが、温かい飲み物ほしいんじゃが、この150円でお願い出来ぬか?紅茶なんかあれば嬉しいのだが…】
【いりませんよ、俺も飲みたいし、買ってきますよ。紅茶ですね。少し待っててください】
俺も久々に紅茶にしよう。おじいさん、150円渡そうとしていたな。もしかして全財産かな?尚更受け取る訳にはいかない。
【おじいさん、お待たせしました】
【お前さんは、優しいの〜近頃では珍しいの】
【?普通ですよ。何で?】
【絶対にお金受け取らない、同じ紅茶を買ってくる、聞きたいこともあるだろうにわしの希望を最初に叶えてくれる…】
【それは普通ですって。それ以外に何があるのか解りませんよ】
【渡して正解だったのう。それで、何を聞きたい?せっかちなお前さんのことだ。深層心理の世界で誰かに会ったな】
ギクッ!!何故それを?
【実はある女性と出会って、俺の記憶で会ったことないんです。何故出てきたのでしょうか?】
【会ってるんじゃよ。深層心理ってのは記憶の全てを呼び起こすから、本当に深いところに存在してるんじゃ。ここに来るまでに出会ってるんじゃよ】
【それが素敵過ぎて、出会っていたら忘れるはずもない】
【好きになってはないだろうな?】
【……】
【なってるのか…その女性を】
【好きっていうか、惹かれて、その人のことをずっと考えるようになって…】
【お前さん、にぶいの〜その優しさと反対に恋に関しては鈍感じゃの。好きなっても深層心理の世界でしか会えないんじゃぞ】
【解っています。深層心理の世界って、バーチャルとも言い換えられますよね?】
【深層心理≒バーチャル≒仮想世界ってことになるのか…それでも間違ってないのじゃが…これはワシではなくアドバイスしてくれる人を紹介して対応してもらうしかないんじゃないかの〜】
【おじいさんのアドバイス以外に、これを知ってる人がいるってこと?】
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