第3話 もう一度あの海へ
俺は人生と海は一心同体って言っても過言ではない。別にサーファーでもないし、何か海に関する仕事についてるかと言われても、別にない。
ただ、子供の頃から旅行≒海だった。社会人になっても休みは海に行くことが多く、そのため貯金もほぼない。使い果たしてる…
【もう一度、行ってこようかな?】
念の為、同じルートで、同じ電車で、あの海に。寒い!こんなに寒くなるのは、本当に久々だ。
……夏と冬ではこんなにも違うんだな……
やはり、冬の海は寒い。晴れているが、海風が凄い。人もほとんどいない。間違いなくこの海は思い出の場所だ。夏に来れば違う表情になるんだろう。
【助けてくれた女性にお礼言わないと。あの民宿は…何処だったかな?見当たらない………】
通りすがりの人に、聞いてみよう。
ほどんど人はいないね。真冬の海は。
通りすがりのおじさんが、よし、聞いてみるか。
【知りませんよ、この辺に民宿って、ホテルじゃないですか?昔はあったかも知れませんが】
【そうですか、ありがとうございました】
無いのか〜弱ったな…海岸線を端から歩いて、陸地のほうを見ながら探してみるか。
……無い、本当に何処にもない。海のすぐ近くだったけどな。古民家風の、あの女性の両親が経営してるって言ってたよな。
寒い…これ以上は無理だ。そう言えばクリスタルって水晶だったよな?これ、綺麗だな〜クリスタルも冷たくなって…あっ、あれ?
またか、俺の意に沿わないでいきなり…眩し!!
これ、握ると反応するのか?それともおじいさんの言ってた深層心理ってのか?
……………………………………………………………
暑い…暑い!!!暑い…もう、なんて暑さだ。これ真夏のような暑さだよ。ということは?
【そこの君、大丈夫?熱中症になってるかも】
ライフセーバーの人に、確かにこの格好は、
【大丈夫です。上着脱ぐので】
【気をつけてね。エキストラか何か解らないけど、水分取ってね】
【はい、ありがとうございます】
👕になっても暑いぞ!お店も凄い混んでる。そりゃ飲み物欲しくなるよな。
やばい、クラクラしてきた…ほんとに熱中症か?水分急いで取らないと、急いで日陰に…真冬から真夏だもんな、身体ついていかないよ、これじゃ。
少しずつ解ってきた。これが俺の深層心理にある思い出の夏の海。何もかも思っていた通りの…思っていた通りって、そんなに子供の頃の記憶って正確だってこと?それもと…
記憶から俺が作り上げた世界ってことか。この暑さ、風景。何一つ変わってない。
おじいさんに教えてもらったこと、何か重要なことあったとは思うけど、何だったかな〜思い出せないな。
俺の性格は、
①せっかちでとにかく、先走る。
②熱しやすく冷めやすい。
③情深い。なので可哀想な動物とか何とかして助けようとしたりする。
なので、この状態をよーく考えてみよう。
俺は民宿を探してる。民宿は、俺をここで助けてくれた女性の両親が経営している。
と、言うことは、俺が倒れていた場所だ!!!そこにヒントがあるかも。
この海の海岸線の端の方。桟橋の近く、右方向に桟橋が合って、左方向には海岸線…
ここだ!!この場所…とりあえず休もう。暑すぎる。
【大丈夫ですか?】
あの時の…正解だった!!会いたかったんです。
【大丈夫です。ここ前はありがとうございました】
女性はキョトンとして、
【どこかでお会いしましたか?】
【この前、あなたの民宿で休ませてもらって…覚えていませんか?】
【すみません、初めてお会いしたと思います…】
なるほどね〜深層心理の世界って記憶が比例しない…っていうか、俺、変なふうに誤解されてないか?
【怪しいものではありません。勘違いでした。すみません】
【民宿って、当たってますよ。私の両親が経営してます。もしかして、占い師さん?エキストラさんかと思ってました】
【そういうふうに見えますか?】
【この暑さで、その格好だと…エキストラさんにしか見えなくて、まさか占い師さんだったとは…】
占い師になってる…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます