第88話 コンピューターゲームと小説
あまり本を読む時間が取れないのですが、それでも宮部みゆきさんの『三島屋変調百物語八之続 よって件のごとし』を読みました。
三島屋変調百物語シリーズは、2000年代から宮部さんが書き続けている時代小説で、シリーズものを結構尻切れで終えてしまう宮部さんのなかでは、格別に長く続いている連載だと思います。
百物語という副題から分かるように、時代小説の中でも怪談(ホラー)に分類される短編集です。不思議で恐ろしい話な好きな方はぜひ読んでみてほしい。
個人的なことを書くと。Web作家としてのわたしは、怠け者で小説を書くための鍛錬などほとんどしないのですが、この三島屋変調百物語を書く宮部みゆきの文体だけは意識して真似るようにしました。心地よいな〜と感じると言葉流れがここにあると感じたので。
さて、『よって件のごとし』には三つの短編(中編?)が収められています。どれもこれもゾッとするような話ばかりですが、表題作になる「よって件のごとし」についてつっこんでおきたいので、エッセイで取り上げます。
このエピソードは、ホラーの定番であるゾンビものです。江戸時代そっくりのパラレルワールドに、地の底から湧いて出る腐れ鬼という化け物に噛みつかれると、噛まれた人が「ひとでなし」という生ける屍になってしまい人間を襲うという村があって、そこからこちら側へひとでなしが迷い混んでしまう。主人公たちは、こちら側からあちら側へ潜入し、ひとでなしに囲まれた村人たちを救出する――という「それってゾンビものによくあるやつでは?」な設定の物語。
時代小説なのにSFホラーという、宮部みゆきさんならではの、なんでもありな小説ですね。宮部さんはゲーム好き作家としても有名なので、元ネタは大ヒットしたゾンビゲーム『BIOHAZARD』でしょう、きっと(怖がりなので遊んだことないけど)。作中、ゲームを彷彿とさせる描写がいくつもあります。宮部さん、このゲームにハマったんだろうかと想像すると、ほのぼのした気持ちで小説を読むことができました。
みなさんは、コンピューターゲームが実生活に影響することってあります?
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