第56話 シンデレラにはなりたくない

 クルマで片道1時間半かけて通勤しているわたしは、その時間にポッドキャストを聴いています。今回はそのポッドキャストから拾ったネタです。


 漫画家の藤子・F・不二雄の作品を解説する「すこしふしぎナイト」というポッドキャスト番組があり、このところ『チンプイ』を取り上げています。『チンプイ』って知ってますか?


 明るく元気いっぱいな小学六年生・春日エリは、ある日突然、遠く離れたマール星の殿下のお妃候補にされてしまう! お世話役としてやってきたチンプイは、エリちゃんの味方になり、不思議な能力「科法」で助けることも。つぎつぎと訪れるマール星人や、お目付役ワンダユウらの巻き起こす珍騒動を毎回なんとか乗り越えながら、エリは自分なりに将来への夢を思い描いていく…。

(藤子・F・不二雄大全集HPからコピペしました)


 エリちゃんという女の子が、ある日突然、マール星の王子(宇宙人!)のお妃候補にされてしまうってお話でした。マンガは読んだことないのですが、アニメはときどき見ていました。大学生の頃です。でも、熱心に見ていたわけではありません。大学生が見るアニメじゃないよね。


 ただ、アニメのエンディングテーマはとてもよく覚えていて――以下にまるまる引用しますが、



ネズミがパイロットになっても

カボチャがロケットになっても

ダンスパーティーに行くつもりないの

ちっともハートにピッタリこない

ガラスの靴じゃ進めないわ

わたしのだけのFree-way My-way

シンデレラなんかになりたくない

自分で歩いてゆくわ

シンデレラなんかになりたくない

裸足で歩いていたいから



 エリちゃんが、マール星の王子さまにみそめられた自分の境遇を「シンデレラ」に重ねた上で、「シンデレラにはなりたくない」と歌っているのですが、これがいい。


 ちょっと話はズレますが、同じ藤子アニメでも「ドラえもん」のヒロインであるしずかちゃんと、エリちゃんは違うんですね。「与えられた運命は受け止めます」という芯の強さを持ったしずかちゃんに対して、エリちゃんは「自分の運命は自分で切り開いて行きたいの」っていう積極的な女の子だと分かります。しずかちゃんは「昭和」、エリちゃんは「平成」のそれぞれ女性像を背負っている……かな。


 わたしは男性ですが、何者にも規定されたくない、自分のことは自分で決めたいという思いにはとても共感します。それが現実にはなかなか難しいと感じるから。周囲の状況や誰かの意思に人生を預けた方が楽チンなこともあると知ってからは、なおさらに。この歌は自ら選んで辛い境遇にある人たちへの応援歌に思えるんですよね。




 わたしもエリちゃんを見習って運命を切り開かなくっちゃ。

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