第53話 書きたいことは別にある

 時代小説を書いています。6月中に短編を書き上げて、自主企画に参加するつもりでしたが、もともと筆が遅いことに加え、先日あった徹夜仕事で体力、精神力ともに削られてしまい、断念することに。自主企画という目標を見失って最後まで書けるのか、自分自身にハッパをかけていきたいと思います。


 さて、元気を出したくなったとき、わたしが書きたくなるのはチャンバラ小説です。刀を抜きあった侍同士が刀を打ち合わせで立ち回る――時代劇でよくあるアレですね。時代小説を書くとはいっても、人情物はちょっと書ける気がしないし、スカッとするにはアクションものがいいのでチャンバラを書きます。上手にチャンバラが描けるとほんとにスカッとします。


 ただ、チャンバラを描写する語彙はそんなに多くない――というか、こと細かな刀による駆け引きを描写したところで、一般読者は興味をそそられない――ので、チャンバラ(大味なアクション)をメインに据えた小説はそのうち書くことがなくなってきます。


 たとえば、30年ほど前、笹沢左保(『木枯し紋次郎』シリーズ等で有名なエンタメ作家さん。2002年没)の『宮本武蔵』(だったと思いますが)を読んだとき、チャンバラのシーンが滅法おもしろく、楽しんで読んでいたのですが、本の中程から刀対刀の対決シーンがマンネリになってしまい、弓矢対刀で対決するシーンを描写したり、笹沢がチャンバラ描写に苦労していることが伝わってくる――なんてことがありました。


 そのため、ほんとうはチャンバラのシーンを書いてストレス解消したいのですが、そうすると以前どこかで読んだような、既視感の強い小説になってしまいます。おもしろい小説にしようとすれば、チャンバラ以外のドラマ部分を厚く描かないといけません。ただ、これがしんどい。


 キャラクターがチャンバラするに至る過程やそのときの心情を描くわけですが、チャンバラをメインで描きたいわたしにとっては、できるだけコンパクトに書きたい部分なのです。ただ、読む人にとってはこっちの方こそ読みどころなんでしょうねえ。小説って難しい。


 あ、エッセイなんて書いてないで、小説の続きを書かなきゃ……。

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