第9話 「願い」の力
しばらくご無沙汰しています。
みなさん「短編賞創作フェス」はどうですか、書けてますか。ひとつ目のお題は2000字ほど書いたところで撃沈しました。いま、ふたつ目のお題に取りかかっていますが、まだ100字程度です。あと2日ありますが、すでに黄信号が点灯中。
「フェス」に参加するためには、こんなエッセイを書いていないで、短編を書かないといないのですが、これはエッセイネタだろうというのをゲットしてきたので、ここに書いておきます。そのネタとは。。。
ディズニーアニメ『ウィッシュ』を観てきた。
ディズニー創立100周年記念――と銘打たれた『ウィッシュ』。息子が観たいというので、まったく期待せずに観たのですが、意外と良かった。
『ウィッシュ』は、どんな“願い”も叶うと言われている “ロサス王国”を舞台にした物語。人の願いを叶えることのできる力を持った魔法使いが作り上げた国ロサスは、願いを叶えてもらおうと人々が集まってできた国。人々は王である魔法使いに“願い”を差し、いつかその“願い”を叶えてもらおうとしています。
ところが、肝心の王は人々を支配する目的で彼らの“願い”を集め、利用しているだけ。それどころか、自分が人々を支配する上で不都合な“願い”は、ふたたびその人の元に戻らないよう城の中に閉じ込めているのでした。
物語は、このロサス王国の秘密に気づいたアーシャという女の子が、魔法使いである王から人々の“願い”を取り戻そうとするが、それを王に気づかれ、捕えられそうになる――という風に展開するのですが。。。
わたしがすごく興味を引かれたのは、願いを叶えてもらいたい人々が、その願いを魔法使いに差し出して、叶えてもらおうとする――それを本来の所有者である人々から取り上げて、魔法使いが己の欲望を満たすため独占的に管理しているというロサス王国の仕組みです。
現代の資本主義って、ロサス王国のような仕組みになっていますよね? 人々の欲望を集めて、管理し、独占的に利益を上げる。
なんならカクヨムがそうなんですよ。「物語を作りたい」「小説家になりたい」「本を出版したい」って考えているわたしたちから、「小説」という“願い”を差し出させて管理しているんです。
わたしたちが、カクヨムに「小説」を差し出すのは、KADOKAWAグループが運営するカクヨムならいつかわたしの「小説」を本当の小説にして出版してくれるかもしれない、アニメ化されるかもしれないと思っているから。
もちろん、“願い”が叶う人はいます。作品が書籍化され、アニメ化される小説はあります。でもそれは、KADOKAWAに都合の良い作品。KADOKAWAを儲けさせてくれる(かもしれない)作品に限っての話であり、藤光をはじめ、大多数の人たちの「小説」はカクヨムの中で忘れ去られていくだけです。。。
カクヨムに差し出した“わたしの願い”は、一向に叶えられる気配がなくて、『ウィッシュ』観てて少し泣きましたよ。おれと一緒だって(笑
『ウィッシュ』の製作陣は、「ロサス王国」や「王である魔法使い」という形で「人生のままならなさ」や「資本主義という悪意」を表現している――と思っているのですが、どうでしょう。『ウィッシュ』を観た方がいたならうかがいたいです。その上で、こうした「わたしたちに向けられた悪意」を乗り越えてゆくための力は、わたしたちのもつ“願い”の中にこそあるんですよ、というのが『ウィッシュ』からのメッセージだと思いました。
ものすごくおもしろい映画というわけではありませんが、ディズニー創立100周年記念作品というだけあって、100年後の未来でも共感をもって観ることのできる、普遍的な価値観――わたしたちの願いをなくしたり、取り上げたりする国や為政者は必要ない――を表現したアニメだったな、ディズニーやるな〜と思いました。
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