2 アホウ鳥

暇つぶしに、船乗りさんは、

アホウ鳥を、生け捕りして、弄ぶ。

アホウ鳥は、船尾について来くる。そして、

難なく、捕まえられる。だからアホウ鳥。

 

アホウだが、※1なにしろデカい。一見すると、

空の王者のようだ。ところがどっこい、

生け捕りしたこの鳥を、甲板に縛り付けると、

大きな翼を両脇に引き摺って、情けねぇかっこうになる


おどおど、怖気づいて、

あの空を翔けまわる、王者の風格は、もうどこにもねぇ。 

船乗りさんは、錨のタトゥーの腕伸ばし、煙草の火で嘴を突っつく。

それに、ビッコ曳く格好真似て、大ウケしているやつもいる。


どうだ、アホウ鳥は、詩人に似ていないか?

シケの大海さえ、悠々、翔ける王者のアホウ鳥が、

地べたに追いやられると、 

する事なす事、ぶきっちょになる。詩人なんか、カタワさ。


※1 アホウ鳥は翼をひろげると3メートルある。

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