惡(ワル)の華
疋田ブン
お前(めえ)らに
乞食に虱や蚤がわくように、
たくらみと、欲と、金への執着と、そして妬みが、
オレの身体に染み込んでいるんだ。お前らもそうだろ?
舌に言い訳を重ねて、その場しのぎで生きているだけだろ?
会心しろなんて、ありがてぇ言葉は、屁のつっぱりにもなんねぇ。
せいぜい、気が済むまで告白懺悔のくだまいたら、
腐った身体を、ウソの涙でさっぱり洗い流して、
浮かれ気分で汚れた街に、繰り出すのが、まあオチさ。
おっ、耳の裏まで墨を入れた※1魔王トリスメジストがマッチョな身体を晒して登場かぁ!
心強い金ヅルのお出ましで、オレはここ何日も気が高ぶって寝ていねぇ。
考えてみりゃ、オレらの金銭詐欺も、
この魔王様のイカサマの前じゃあ、ガキのお遊びだぁ!
所詮、オレらは『悪(ワル)』から逃れられねぇぜ。
だからよぉ、ヤバいもんの言い逃れに必死こいて、
臭せぇ闇も怖がらねぇでよぉ、空威張りで、
毎日毎日一歩ずつ、地獄に堕ちとシケ込もうぜ。
金欠のスケベが、膏薬臭せぇ立ちんぼうのクソババァの、
しぼんだ乳を、干からびたオレンジから汁を啜るように、
チュウチュウ吸ったあと、、
半腐りのオマンコをかき回すようなもんだ。
そもそも『悪(ワル)』ってやつは、蛆虫が群がってひしめき合っているのを想像すりゃあいいや。
『悪(ワル)』は、オレらの脳ミソを食い荒らし、一休みするごとに、
変な呼吸の音を出しやがる。そしてよぉ、オレらの肺の中にまで忍び込んで、
死に追いやろうとするんだ。
レイプ、ヤク、殺傷、放火。おお、上等じゃあねぇかよぉ、
これらが、オレの生きざまに箔をつけていねぇとしたら、
情けねぇよなぁ。
キンタマぶら下げる資格がねぇってもんだ。
金色のオオカミ、ヒョウ、山犬、
サル、サソリ、ハゲタカ、ヘビ。そろいもそろった動物園。
中でも人間様の本性は、一番の見世物。
鳴いて、唸って、吠えて、這いまわる。
いやいや、もっと凄えバケモノがいる。
ひっそり生きて、大声もはり上げりゃしねぇが、
こいつはタダ者じゃあねぇ。あっちこっちをぶち壊しながら、
壊しながらも、つまんねぇと欠伸をこいて、世界を飲み込むバケモノだ。
そいつが何だか分かるか……? 無気力だよ。何ーんもする気が起きないこと。
欠伸の涙目で、タバコをふかしながら、死刑台の夢を見るバケモノだ。
お前(めぇ)ら、よく頭に叩き込んでおけよ、この厳重注意のバケモノの事を。
なあぁ、お利巧ちゃん……、オレのダチ……。兄弟。
※1 古代エジプトの半神半人の錬金術師
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