第4話

「こ、怖かったよおおお!! 助けてくれてありがとおおお!! うえええええん」


 こ、この子!? 今一番人気のダンジョン配信者のアミりんじゃないか!?


「な、なんでここに? い、いやそんな事はどうでもいい……。お、落ち着いてアミりん!」


 どうにか宥めようと、強く抱きしめて安心させていた時だった。


 ポケットの携帯が鳴った。開いている片方の手でスマホを確認すると、バイト先の所長だった。


「は、はい! もしもし……」


『お前ええええ!!! 一体どういうつもりでこんな配信なんかしたんだ?!!!!』


「は、配信? な、何の事ですか?」


『とぼけるなあああ!! うちのドローンを個人配信で使いやがって。それもこんな注目を集めるような事しやがってええ!! お前なんかクビだあ!!』


 嘘だろ!? 何で急にクビになるんだ!!?


 何とか取り消しと貰おうと交渉しようとした時だった。気づいたらスマホをアミりんに奪われていた。


「ちょっとあなた! 誰だか知りませんけど私の命の恩人に向かってなんて口を利くんですか?! そっち彼を首にするなら……私が彼を雇います!!」


『な!? ちょっと待っていただきたい!? これはうちの事務所の問題であり……。それに今君と揉めたらうちの配信者との来週のコラボが……あ』


「来週のコラボ? あなたあの事務所の人間ね! こんな失礼な事をするんだったらコラボの話は無しにさせて貰います!!」


『ちょ、ちょっと待って!!?』


「ふん!!!」


 な、何が起こってるんだ? そういえばアミりんとうちのナンバーワン配信者とのコラボがあるんだったけ?


 アミりん程の配信者とのコラボは初めてだから、ここのところ事務所内がピリピリしていたのを思い出した。


 そのコラボが無くなったって事? でも何で?


「というわけで――、今日からあなたは私の専属ダンジョン攻略者として雇う事になりました! みんなも応援してね!!」


「み、みんな? ……え!? これもしかして配信されてるの!?」


 俺は急いでスマホを起動してアミりんの配信を探した。

 そしたらコメント欄がすごい勢いで流れていて、とても驚いた。


「な、なんだこれ!?」



 ――おおおおお!! あのアミりんが! 我らが姫が攻略者を雇ったぞおおお!!!


 ――あの攻略者としてS級の名を連ねるアミりん直々の使命だああ!!!



「一体何がどうなって?!」


 困惑の俺にアミりんが腕を絡ませて来た。


「これからは二人三脚でやって行きましょうね。あ、あなたが望むならプライベートの方も……」


 何で? どうして?! 俺はただいつものように雑魚モンスターを狩っていっただけだったのに……。


「ちょっと硬いドラゴン倒しただけなのに……」


「ちょっと硬いだけ!? な、なんて頼もしい発言なの……! やっぱりあなたこそ私の運命の……」


 よく聞き取れないけど。な、なんか視線が熱い!?


 お、俺ってそんな大した事して無いよな?


 なのにどうしてこうなっちゃったんだ!!?




 この事は世紀の最強カップルと呼ばれる二人の馴れ初めとして、長く語り継がれるのであった。




「俺が何をしたっていうんだあ!?」

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いじめられっ子の陰キャの俺が……いつの間にか美少女配信者に好かれてるう!? 何故か分からないが成功した俺の人生 こまの ととと @nanashio

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