第3話

 とても広い空間に出た。そこに居たのは全長十メートルはあるかのようなドラゴンだった。


「すげえな。ドラゴンなんて初めて見たぞ。今まで見たのはデカいトカゲだったしな」



 ――な、なんだと!? こ、こいつ今なんて言った!!?


 ――今まで倒して来たドラゴンをドラゴンだと認識していなかっただとおお!? ど、どんだけヤバい奴なんだあ!


 ――こ、こんな強い配信者が今まで無名だったなんて。い、一体どうして? 検討もつかないぞ!?


 ――ま、待てお前ら! あの見たことも無いとんでもドラゴンの足元に居るのって……!?


 ――あ!? 人気美少女配信者のアミりんじゃねぇか!! そ、そういえばダチがファンで今日配信やるって言ってたぞ!?


 ――と、という事は!? おい、これ見てる奴ら今すぐアミりんの配信を見ろ!!


 ◇◇◇


 アミりんの配信。


「きゃああああ!!? こ、こんなヤバいやつが居るなんて思わなかったよおお!! ど、どうしよう? 私の武器壊れちゃったし……。う、うええええん! 誰か助けてよぉおおおお!!」


 泣き出す美少女配信者アミりん。その様子に視聴者たちも大混乱だった。


 ――逃げてええ!!


 ――逃げられる訳ないだろ!? こ、このままじゃ俺達のアミりんが殺されてしまうよ! 誰か助けてやってくれええ!!


 ◇◇◇


「取り敢えず弱点みたいなのは……。いいや、面倒だ。頭攻撃すればどうにかなるだろう」


 シュタっ! 俺は警棒を掲げながらジャンプした。



 ――な、何いいい!? こいつどんだけジャンプするんだ!?


 ――人飛びで十メートルくらいあるぞこれええ!? あ! ドラゴンの頭に着地したぞ!?



「えい。……流石に硬いな。よし、針を飛び出させて……」


 俺はドラゴンの頭に乗っかり、攻撃したが硬くて効き目が無かった。


 そこで、警棒のボタンを押して先端から針を飛び出させて脳天を付いて電気を流し込んだ。


 グオオオオオ!!?



 ――や、やりやがったぞこいつ!!? い、一撃で誰も倒した事の無いドラゴンを倒しやがった!!?


 ――なんであんなどこにでも売ってる電磁警棒が刺さるんだよ!? こいつのパワーどうなってんだあ!?



 シュタ!


 倒れ落ちるドラゴンに巻き込まれないように、俺はジャンプして地面に着地する。


 ふう、これだけ調査すれば十分だろう。


 どうせボスクラスは倒しても復活する。またいつものように配信から見えないように、今日発見した弱点を突くだけで配信も無事に終わるはずだ。さあ帰ろう。


 と、した時だ。



 ひし! 誰かに抱き着かれた。

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