イレギュラー

急いでその声の元へ走る。俺は死んだ冒険者の武器を集めて喜んでいるが別に冒険者に死んで欲しい訳ではない。助けを求めている冒険者は出来る限り助けるつもりだ。

 

 その声の所へと辿り着く。そこには必死に戦っている女が二人がいた。二人ともよく似ている、双子なのだろう。

 

 その二人が戦っているモンスターは『オーガ』だ。本来ここにいない筈のモンスターである。オーガと戦っている二人は怪我をしていて押され気味なので助ける事にした。

 

 武器を入れている鞄からライフルを取り出して構える。

 

「横に避けろ!」

 

 女二人がその声を聞き横に避けたのを確認してライフルでオーガの頭を撃ち抜く。オーガはそのまま即死して消えた。残念ながら何もドロップしなかった。

 

 ライフルを仕舞って匿名でギルドに救助の連絡をすると女二人が声をかけて来た。

 

「おじさんのおかげで私達は助かったぜ。ありがとう。」

「貴方様が来ていなければ私達は死んでいました。」

 

「それはどうも。それにしてもお前ら運が無かったな。こんな所で『イレギュラー』に遭遇するとか。」

 

「イレギュラー?」

「イレギュラーって、あの噂の?」

 

 イレギュラーに遭遇した事がない言う事はこの二人は冒険者になったばかりだな。それに一人はイレギュラーについて知らなさそうだな。簡単に説明しておくか。

 

「本来そこに出ないモンスターが出て来る事だ。さっきまでお前らが戦っていたオーガがそれだ。

 本来ここにはオーガなんて出てこない。出て来るとしてもここよりも下の階だ。」

 

 そんな事を話していると救助隊の声が聞こえて来る。流石ギルド仕事が早い。

 

「救助が来たしお話はここまでだ。次からは気をつけろよ。」

 

 後のことはギルドに任せて俺は奥へと進んでいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る