>>ボランティア部
ひとえにボランティアといっても色々な活動があるのだとタカハシは教えてくれた。
活動の性質上、生徒会が関与することも多いためよく知っているのだという。
俺のイメージではボランティアといえば募金箱をもって募り、寄付してくれた人に赤い羽根を差し出すことしか思いつかないが、他にも老人ホームに慰問したり、近所の幼稚園の運動会設営を手伝ったり、地域の竹林を整備したりと色々なことをやるらしい。夏休みには海岸のごみ拾いのついでにバーベキューするのだそうだ。なにそれ楽しそう。
タカハシはボランティア部に知り合いがいるらしく、すぐにスマホで連絡を取って見学の許可を貰ってくれた。
「失礼します!1年B組の相馬でっす!見学させてください!押忍!!」
「「「せ~の、ボランティア部にようこそ♡」」」
ふわふわした和紙で作られた花びらが一斉に降りかかる。
扉を開けた瞬間に俺を出迎えたのは女子、女子、女子、中心にひとりだけ男子。
突然視界がカラフルに彩られ、俺はドアノブを握ったまま面食らってしまった。
みんなにこにこ笑いかけてくれている。中でも男子の笑顔が飛び切り輝いていた。ほんの一瞬だけ世界がスローモーションになって、目の前の景色が深く刻み付けられる。空中をふわふわと漂うひとひらが優雅な動きで鼻の中に吸い込まれ、オレはどでかいくしゃみを出し、世界はまた動き出す。
「ぶえっくし!!!!!はぁ、はぁ、あの、何なんでしょうか・・・・」
「部長、やっぱ引いてますよ、まだ見学に来ただけなのに気が早すぎたんですよ」
「うーん、1年生が来てくれるときいてテンション上げすぎてしまったかもしれないな」
部長と呼ばれた3年生はさらさらの髪をかき上げながら近づいてくる。目元の泣き黒子がいかにも涼しい。うん、めちゃくちゃモテそうだ。来世はこんな顔がいい。
ボランティア部員は部長以外ほとんどが女子の様子だ。こんなイケメンがいたら全員が同じ男を好きになってしまうのではないだろうか。女子は女子同士喧嘩せず仲良くやってほしい。
「相馬ぐっ、きてくれでありがどゲホッ、ゲホツゲホッうれっじいよゲホッ」
「部長さん、花びらが器官にはいっちゃってますよ!?」
「気にじないでッ、よくある事だから」
部員は慣れた様子でグラスに水道水を注ぎ、部長はそれを一気に飲み干す。最後のほうでまた噎せていた。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、やあっ、それでっ、ハアッ、ボランティア部見学希望とのことだったねっ、じゃあっ、何を、ハアッ、ハアッ、お見せしようかなッ」
「いやもう入ります、入部します。だから落ち着いて息整えてください」
「え!?ボランティア部、入ってくれるの!?ヤッターーーーーー!!!」
イケメン部長は飛び跳ねて大喜びし、周りの女子部員とハイタッチを交わしていた。ここまで喜びを示してもらえると嬉しい反面、またせき込んでしまわないか心配になる。
「相馬くん、君を歓迎するよ!僕は部長の赤川といいます、よろしくね!」
しかし遠慮なく愛想を振りまく人だ。こういう人がアイドルになったらいいんじゃないだろうか。
俺は赤川部長が差し出した手を取った。
差し出した手を取った。
差し出した手を取った。
差し出した手を取った。差し出した手を取った。差し出した手を取った。差し出したった。差し出した手差し出した手を取った。を取った。取った差した手を取。出し手を取っ差した
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