第6話 これから
6これから
食後おばちゃんと買い出しにいく。
小さな街だから雑貨屋になんでもまとまっている。くーちゃんの服、下着、くつ、おんぶ紐、など。ついでに俺のローブと服も買っといた。ボロボロだったもんな。
おばちゃんは偉大なり。ちゃっちゃか選んでくれて助かった。
ギルドに戻り昼めし、くーちゃんが人型になったから酒場で食べることも解禁された。その後はギルマスと密談タイム。
お腹が膨れて、くーちゃんはスヤスヤ。俺の膝に頭をのせてスヤスヤ。
ギルマスと一緒にくーちゃんの事をみんなにどう説明するかを考える。
その前に確認を取られる。
Q王家に世話になる気はあるか?
A嫌だ。籠の鳥じゃん。
Q貴族に世話になる気はあるか?
A嫌だ。貴族は尊大なやつばっかりだし礼儀作法や権謀術数がイ・ヤ。
Q教会に世話になる気はあるか?
A嫌だ。祭り上げられたり、息苦しい未来しか見えない。以下同上。
Qじゃあどうすんだ?!ゴラッ!
A俺が育てて旅をする。しばらくここに置いてください。ペコリペコリ(2回)
Qなんじゃそりゃ。
Aインディゴ式挨拶?
そうと決まれば、くーちゃんを何時何処で拾ったんだと言うカバーストーリーが必要になってくる。
ただ森で拾ったでは無理がありすぎる。こんな
やんごとない人の子をさらって捨てた。すわ権力争いの種か。
魔獣が咥えて来た。ほぼ事実だし聖獣って勘づかれそう。
うーん。頭を抱える2人。
いろいろ面倒くさくなり、うちの街のおっさんハンター達には話してしまおうと言うことになった。幸い酔っぱらってベラベラ喋るような者はいないそうだ。
晩飯時みんな揃ったところでギルマスが説明する。酒はひかえてもらっているのでみんな大事な話だと理解しているよう。俺らは待機、柱の陰から家政婦をしている。
おっさんたちの内訳は
凸凹コンビ。背の低い赤鼻盾持ちのスプンと背の高い槍使いフォークル。
この街に来た初日に見かけた笑顔のおっさんず。
4人組おっさん。チーム岩鉄。いまではくず鉄だとか錆鉄と言われている。
大槌使いのドワーフのホイドド
大剣使いのゴリマッチョ、ミリー
火魔法使い痩せロン毛のカルポナ
斥候のヒゲキズのズワイニー
が、CランクパーティーでDランクはCランクから自らランクダウンした年寄りパーティー、風光の下。通称尻の下
双剣使い白髪を束ねたチョーサと
風魔法使いザリナモ夫婦と
槍使い腰の曲がりだしたゴーサと
光(回復)魔法使いぽっちゃりパッフ夫婦の尻敷かれパーティー
ちなみにチョーサとゴーサは兄弟
みんないい人ばかり。
ギルマスの説明が終わり呼ばれる。
くーちゃんを抱っこして挨拶をする。
「この子は、くまみ。くーちゃんです。よろしくお願いします」
「くーちゃん」
良くできました。
ひとしきりみんなと顔合わせと食事を済ませ部屋へ帰る。子どもは寝る時間ですし。ギルマスはみんなと少し飲むみたい。
領主への挨拶はもう少し落ち着いたらだって。
明日から2人分稼がないといけないな。土魔法の練習で魔獣とレッサーパンダの人形をくーちゃんのために作って寝りに就いた。
朝食を食べ、くーちゃんを背負い教会へ、くーちゃんの手にはレッサーパンダ土人形。教会に併設された孤児院の子が遊び相手にちょうどいいんではないかと、公園デビューならぬ教会デビューに向かう。
「おはようございます」
「おはおーごーしゅ」
あ、神父さんに素性ばらしていいか聞いておくのを忘れてた。適当に説明しつつ時々くーちゃんを連れて遊びに来ていいか許可をもらう。
子どもたちともご対面。先日ジャイ〇ンにいじめられていた男の子2人の他にもう2人の女の子、計4人の子がいた。4人って小さい街に対して多いのか少ないのかどっちなんだろう。
1番上のお姉さん、アジン8才
次が男の子、ドゥバ6才
その次も男の子、トゥリー4才
4番目は女の子、ダーちゃん3才
みんな、くーちゃん2才(推定)と友達になれそう。
くーちゃんがレッサーパンダ土人形を自慢してる、みんな欲しそうにしてるけど、孤児だから遠慮してるのかな。乱暴に奪う子もいない。くーちゃんに自慢はダメ、持ってない子が可哀そうでしょと注意しつつ。お兄さん張り切って人形を作っちゃいました。
リクエストを聞きつつバンバン作る。魔力を込めて硬く作る、魔力操作のいい訓練だ。ホーンラビット、ボア、馬、猫、犬、鳥、インディゴベア、ついでにギルマスマンとゴルググマンも作っといた。ドリーマンはバレたら洒落にならないのでやめときマスタ。
ギルマスマンとゴルググマンにはカッコイイポーズをさせ男の子には大人気。女の子にはかわいくディフォルメしたホーンラビットやポニー、貯金箱みたいなボアを作ってあげた。
最後は集中力が切れたけど、みんな大喜びしてくれよかったよかった。
お昼を食べていけと言われごちそうになる。………ギルドのメシより質素だな………
孤児院を辞しお昼寝中のくーちゃんを背負いゆっくり歩く、もうだいたい街の地理はインプットできたな。ああ神父様にこの世界の神様のこと聞くのを忘れてた。
ギルドに戻るとおばちゃんに怒られた。なんでかって、行く先を告げてけ!だってさ。忘れてた。
昼寝から目覚めたくーちゃんがレッサー人形がないことに気づく。あー忘れた。俺が気にしておかないといけなかったな。
今日は忘れてたことが多い一日だったな。今日の楽しかった時間は忘れませんように。
あ、神様にお祈りして来るのも忘れてた。
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