第13話 相対
翌日、学校が終わり校門から出ると、すぐ横で双葉がスマホを触りながら待っていた。
「お、来た来た。それじゃあ、行こうか」
スマホをポケットに突っ込むと、そのまま歩き出す。
因みに私は今朝校門で待っていることを伝えられ、何処に何をしに行くのか全く知らない。
仕方なく、双葉についていく。
双葉の足取りは迷いなく、次々と角を曲がり、やがて全く知らない場所で足を止めた。
「ねぇ、ここ、何処・・・?」
「言ってなかったっけ?ちょっと時空と時空の狭間に行くって」
うん、聞いてない。
「あれ?じゃあ、誰に言ったんだろ?」
そのまま一人で悩み始める。
そういうの怖いから止めてほしい。
「まぁ、いいか。それより、そろそろ見えるはずだよ」
「見える?何が?」
聞くと、双葉は無言で私の背後へ顎をやった。
振り向くと、そこには・・・
「・・・?」
誰もいないし、何もない。
「よく目を凝らしてごらん。見えてくるはず」
オロオロする私に、双葉。
言われた通り、その場を注視すると・・・
―――ガサッ
すぐ隣で木が揺れる音がした。
目を向けるとそこには、いつの間にか知らないおばさんの顔が。
「!ひょえッ!」
驚き、思わず変な声を出して尻餅をついてしまう。
しかしおばさんは気にした様子もない。
「フフフ。大丈夫?面白い声が出たね」
「もう、言わなくていいから・・・!」
顔を赤らめながら。
でも・・・
「あの人、なんで私に気づかないんだろう?」
「簡単だよ。僕たちがこの時空に存在してないから。だから見えないんだよ」
意味が判らない。
「えっと、つまり・・・今、僕たちは元居た時空と別の時空にいるんだ。厳密に言うと違うけど、まぁ、それは置いといて・・・」
双葉もよく判らないようで、時折言葉を切る。
「簡単に言うと、姿だけタイムスリップしたって感じかな」
「フーン・・・」
後で母に聞いておこう。
「それより、見て。あれだよ」
視線の先には、真っ白のワンピースの、大きな帽子をかぶった女性と、ランドセルを背負った少年が。
「ぽぽぽぽぽ・・・」
女性は何か言うと、少年に手を伸ばした。
そして触れた途端、少年の姿が消えた。
「え?何が起こったの?」
女性は踵を返すと、何処かに行こうとする。
「追いかけるよ、美玖!あれが『八尺様』だ!」
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