第296話 伯父さんへの挨拶
いつも拙作をお読みいただき有難う御座います。
俊足亀吉で御座います。
いつも☆での評価、♡での応援有難う御座います。
なお、皆様からの誤字報告、感想の投稿誠に有難う御座います。
頂戴しました感想はすべて拝見させて頂いております。
問い合わせにつきましては誤解を与えない様に出来るだけ返信させて頂いておりますが個別のお礼は私の時間の都合で省略させて頂いております。
この場をお借りし、感想戴いております読者様に改めてお礼申し上げます。
おかげさまで執筆のモチベーションに繋がり、今まで毎日公開を続ける事が出来ております。
さて、R6年9月15日現在にて読者様のブックマーク登録が5000件を超えました。
再度お礼申し上げます。
実際は少し前に到達しておりましたが、暫く変動していて本日でようやく5000件を下回ることは無いと判断し本文にてお知らせした次第です。
PV数も順調に更新して250万回を超えました。
これからも読者様にはご満足頂けるクルトンの物語をお届けする様に努力してまいります。
引き続き優しい大男、クルトンの物語にお付き合い頂けます様、宜しくお願い致します。
なお、今回のお礼につきましては近況ノートにも投稿しております事をお知らせいたします。
では『第296話 伯父さんへの挨拶』をお楽しみください。
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ようやくこの時を迎えました。
謁見の時より緊張している俺、クルトンです。
今日は新しく仕立てた真っ白いシャツと濃紺のベスト、パンツに茶色の革靴を履きビシッとした格好でバンペリシュカ伯爵様のお屋敷にお邪魔しています。
はい、母さんのお兄さん、俺の伯父さんに当たる人への面会の為です。
しばらく前からブラトル・バンペリシュカ伯爵への面会を、伯父さんの第二夫人であり俺の王都滞在中に侍女として働いてくれたヒュミースさんにお願いして、ようやくお互いの都合が合ってコルネン帰還前、ギリギリ間に合った形だ。
応接間に通され出されたお茶を飲みながら「どんな人かな」と想像を膨らませ気を紛らわせている。
本当に緊張する。
因みにポムは屋敷の庭で日向ぼっこしている。
”コンコン、コンコン”
ノックがあり部屋にいる侍女さんが扉を開けると、いつもの侍女の制服と違い少し明るめの紺色のワンピースの様なシルエットのドレスを着たヒューミスさんが入ってくる。
俺はソファーから立ち上がり会釈をすると間を置かずその後ろから壮年(に見える)の男性が入って来た。この人が伯父さん、現当主のブラトル・バンペリシュカ伯爵様だろう。
早速挨拶をしようとしたが続けてもう一人大柄な高齢の男性が入ってくる。
挨拶のタイミングを逸して俺の視線が定まらず瞳を泳がせていると、それを察したのかヒューミスさんが声を掛ける。
「ようこそおいで下さいました、クルトン・インビジブルウルフ騎士爵殿。
早速紹介いたしましょう、こちらが・・・」
どうやら御夫人に紹介させるのは礼儀に反する事ではない様だ、ではお任せしよう。
「・・・現当主のブラトル・バンペリシュカ、隣におりますのが元当主のテサーク・バンペリシュカで御座います」
「初めましてだな、伯爵のブラトル・バンペリシュカだ。
知っての通りラーシャの実兄だよ。」
「初めまして、儂はテサーク・バンペリシュカ。
もう隠居してはいるがデデリとは何度か戦場を共にした事が有る、剣の腕はまだまだ現役だ」
2人とも柔らかく笑いながら挨拶してくれた。
この部屋にいる人たちには血のつながりは一切ない。
変な感じだがなんだろうな、言葉で言い表せない妙な安心感が有る。
ブラトル伯父さんの顔は母さんと特に似ている感じはしないが雰囲気はそっくりだ。
この短い会話でも感じる、間の取り方というか言葉の発し方というか。
「レビン、ラーシャの息子のクルトンです、お会いできて光栄です」
ようやく事前に準備していた自己紹介ができた。
少しホッとした。
「ははは!『初めまして』とは言ったが儂らは公開訓練のあの時からちょくちょく王城で見かけてはおったよ。
挨拶済ませる前にどんどん功績を積み上げるもんだから、今まで申請した此方からの面会も中々承認がされなかったんでな、どうしようか相談していたところだ」
もう一度「ははは!」と豪快に笑うテサーク様。
え、そうだったの?ってか申請が必要だったの?
ヒューミスさんに顔を向けると「腕輪の件でお忙しかったでしょう?重要機密も扱っておりましたから御取次する人選も大分厳しく審査していた様でしたから・・・」と説明してくれた。
そんな事になっていたとは。
申し訳ございません、もっと早く俺の方から面会を求めるべきでしたね。
ホントすみません。
「いやいや、構わんよ。
英雄が背負っている責任を果たしている最中に此方の都合を押し付ける訳にはいかない」
静かに、けど明るくブラトル伯父さんが言ってくれる。
そんな気を遣わなくてもいいですよぅ。
親戚なんですから。
「おお!!聞いたかブラトル。魔獣殺しの英雄がバンペリシュカ伯爵家の親族になってくれるそうだ、めでたいではないか!」
テサーク様がさも愉快そうにブラトル伯父さんの背中をバシバシ叩き、伯父さんが咽てる。
まるで本当に血が繋がっている家族の様だな。
故郷に戻ったら母さんに伝えよう、伯父さんは元気にしていると、とても幸せそうだと。
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それからは出稼ぎ中に一度帰省した時の開拓村での家族の様子に始まり、開拓の現状、俺のコルネン、王都での仕事の話など、ヒュミースさんが知らない事を中心に話していく。
「ラーシャが結婚を機に夫婦で開拓村へ行くと聞いた時、私は反対したんだよ。
とても辛い日常に自ら飛び込むわけだからね。
でも、それを知ったのはラーシャの手紙から、当然その後に出した私の返事の手紙が届く頃には開拓村への移住も粗方済んでしまっていて開墾作業も本格的に始まった頃だった」
「ラーシャは開拓村での辛い時期を乗り越え、子供達にも恵まれ・・・君の話を聞いて、私の心配が杞憂だった事が分かって正直ホッとしている。良かった、本当に・・・」
騎士という魔獣から国民を守る重責を担ったが為に自分の妹への気持ちを押し殺して使命を果たしてきたんだろう。
そして、今まで押し殺していたその気持ちが後悔へ変わる事無く済んだことにホッとしたんだろう。
この世界、こんな気持ちで家族を地方に送り出す人たちはそれなりに居るそうだ。
同じ土地で一定以上の人口を養うには食料、水源、農地、宅地の確保や魔獣の対策、医療や交通インフラの整備など越えなければならないハードルが幾つも有るからだ。
家族離ればなれになって未知の土地での開拓は心細い事だろう。
魔獣の脅威も考えればそれこそ命がけだ。
「インビジブルウルフ卿・・・いや、クルトン。
これからもラーシャを頼む、私はあの子が一番大変な時にわずかな仕送りしかできなかった。
母を早くに亡くし、父も鬼籍に入ったその時からあの子は私のたった一人の血のつながった家族なんだ」
大丈夫、俺にとってもたった一人の母親なのですから。
心配しなくても大丈夫です、来訪者に誓いましょう。
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