第280話 秘密?の地下
地下通路?を見つけワクワクしながらマッピング。
もう夜中なのでいつまでも食堂に居る訳にもいかず一旦部屋に戻り就寝します。
・
・
・
はい、おはようございます。
昨日の続きをしたくて朝から宰相閣下に突撃している俺、クルトンです。
「もうちょっと遠慮しろ、まだ朝食の最中だぞ」
はい、すみません。
でもすごく気になる事を発見してしまった物ですから。
一応許可を取ったうえで動こうと参った次第で御座いますです。
「・・・悪い予感しかせんな。
私の心の準備が有る、まずはゆっくり食事をさせろ」
今日の宰相閣下は執務室で少々遅い朝食をとっている。
朝一から仕事だったみたい、超忙しそう。
「お前が最初の魔獣を討伐したその時から私の仕事は増えるばかりだよ。
嫌味や恨み言を言っている訳ではない、むしろ時代の転換期に立ち会える事を来訪者に感謝している位だ」
食事をとりながら俺の相手もそつなく熟す宰相閣下マジ有能。
「でだ、そろそろ要件を話してもらおうか。
どういった話だ?」
はい、昨日食堂の保冷蔵の改修作業を行ったのですけど・・・。
「ああ、聞いている、正直助かった。時間も予算も工面できない訳ではないが手続きに時間が掛かってな。
何しろ似た様な案件が重なっているものだから」
食事が終わり果実酒でしょうか、グビリグビリと喉を鳴らしながら一気に流し込んでいる。
ええ、それでハウジングを展開したら地下通路?を発見しまして。
一応『機密事項』だとまずいんで確認してから調査しようと・・・。
「ブッ!!!ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!」
おう!危ない。
吹き出しはしなかったがかなり咽ていらっしゃる、大丈夫か?
「ゲホッ、ゲホッ!・・・皿を下げてくれ、あと私が呼ぶまで部屋に入ってこない様に」
お付きの人にそう言って突然人払いをする。
やっぱりあの地下通路は機密事項なのか?
執務室の扉が閉まると宰相閣下が再び口を開く
「超、最重要機密事項だ。
しかしそんなことも分かってしまうのか?以前はお前の索敵にも引っかからなかった位の深さだったはずだが・・・」
まあ、見つけたのはハウジングの展開中なんですけど・・・温泉見つけたくらいですしね。
「・・・そうだったな、迂闊だった。
すまんがこの件は私の一存では話せない事だ。
明日同じ時間にもう一度来てくれ、その時に話をしよう。
期待する返事は出来んかもしれないがそれは勘弁してくれよ」
はい、分かりました。
駄目なら諦めます、むやみに場を乱したい訳でもありませんしね。
じゃあ、明日出直してきます。
・
・
・
今日はこの後は特に予定を入れていなかった。
昨日の保冷蔵の改修作業が深夜に及ぶことを見越して少なくとも午前中は寝ているつもりだったから。
でもあの件で目が冴えてしまったので、騎士団の訓練場に寄りつつムーシカと王都近郊を散歩してこようと思う。
哨戒業務も兼ねて。
いつも脇に居るポムと一緒にランニングしながら訓練場に向かう。
到着してすぐに中に入ると相変わらず兵士、騎士さん達が真剣に訓練していらっしゃった。
軽く皆に挨拶して厩舎に寄りムーシカのもとまで。
これまた厩務員さんに挨拶をしてムーシカを出してもらうと、馬具を装着させて郊外に歩き始める。
認識阻害は使用しているが、今は俺がムーシカの背に乗っているか判別がつかない程度で抑えて門を出ていく。
たまにでもムーシカやポムの姿を認識してもらわないと警備巡回中の兵士さん達に通報されるらしいからね。
慣れてもらう為にもこういった細かい事は続けていかないと。
門を超え、行動への枷が無くなるとそれが分かるのかムーシカは一気に速度を上げる。
今回は南の方へ、そう海が有る方へ走って行く。
当然今日のうちに海まで行ける訳ではないが、ここからは遠くに見える・・・あの途中にある山々を出来るだけ間近に感じられるところまで進みたい。
スレイプニルの中でも大きいガタイのムーシカは自分が走りたい速度で疾走する為に、周りに迷惑を掛けない様に街道を少し外れた草原を走っている。
元々整地などされていない森や草原を自在に走っていたスレイプニルだ、8本の足で不安定な地面をしっかり蹴り上げそんな悪路などものともせずどんどん加速して行く。
ポムもまだ余裕がある様で、ムーシカに併走しながら時折ジグザグに進路を変えて機嫌が良さそう。
まあ、こっちは何も背に載せていない無負荷状態だから単純に思い切り走れてうれしいんだろう。
もう少し自由に走らせてから昼食用の獲物を狩るとしよう。
そうだ、哨戒業務もするつもりだった、索敵を展開しないといけない。
さっきの話じゃないがついでに獲物も探してしまおう、久しぶりに脂がのった野豚が食いたい。
・
・
・
・・・マジで何なの?
はるか上空ではあるんだけど明らかに俺の頭上を翼竜が旋回しながら飛んでいる。
ポム、ムーシカが警戒しないくらい上空だから何もないとは思うんだけど、こんな露骨な行動・・・明らかに俺を意識しているよな。
俺の視力が良いとはいえ今まで認識できない位高く飛んでいた翼竜がわざわざ高度を下げている、しかも5頭。
この前見た成体の方は野生動物の中でも結構な魔力量を持っていたものだから、俺たちを獲物扱いしてくるかもしれないと、結構警戒している。
”トン”
風を切る音と一緒に少々重い、しかし済んだような音がしてそちらを向くと・・・何もない。
んん?何だろう・・・石ならある。
何の変哲もない石。
ただし川の下流で見られる玉砂利の様なつるッとした感じで俺の手のひら大の黒い石。
なんだよぅ、石落としてきたのかよぅ、群れで仕返しにでも来たのかよぅ。
お土産も渡したし、幼竜が死にそうになってたの助けたの俺なんだけどなぁ。
警戒しながら暫く眺めていると一頭、また一頭と山の方へ飛んで行って今日のところは何事も無く終わった。
もしかしたらこんな事続くのかなぁ。
竜に狙われんのはちょっと勘弁してほしい、何かあったら手加減できないかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます