第124話 「大丈夫さ、何が有っても」
今日はコルネンに戻る日です。
滞在中は家族の元気な姿を確認出来て安心した俺、クルトンです。
一通りやろうと思っていた事は済んだ。
お土産も渡したし、家も新築した。
温泉も引いたし、畑は俺も手伝ったからかなり仕事に余裕ができたはず。
これ以上は1年後、出稼ぎ終了して戻ってからにしよう。
「じゃあな。爺さん、兄さんたちにもよろしく言っておいてくれ」
うん、分かった。
「たまには手紙をよこしなさい、カイエンさんからの話だけじゃ心配だもの」
そうだね、今度から何かあったらちゃんと手紙で知らせるよ。
「スレイプニルお願いね」
「今度はコルネンに連れて行って」
「私も行ってみたい、人がいっぱいいるんでしょう?」
来年の収穫が終わったら家族で一緒に行こうか、馬車もあるからね。
「あなたは優しいから、何かあったら放っておけないんでしょうけど無理はしないでね」
「大丈夫さ、何が有っても」
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先導しているポムたちが何度も後ろを走る馬車へ振り返る。
来るときよりもかなりゆっくり馬車が進んでいるからだろう。
それでも後ろに見える故郷はすぐに小さくなって、そして見えなくなった。
「・・・もう少し頑張ろう」
村ではできない、コルネンでしかやれない事も多い。
これからの長い人生の基礎をしっかり築くために頑張ろう。
俺なら大丈夫、体だけならだれよりも丈夫なんだから、無理を無理と感じないくらいには。
帰ったら次の仕事はやっぱり王笏の製作かな。
デザインを陛下に送る為に選定作業もする事になるだろうし詳細詰める為にまた王城に行く必要も出てくるだろう。
デデリさんの馬車も打ち合わせが必要だし・・・忙しいな、1年で片付くかな。
今日の夕方にはコルネンに到着するだろう、明日から1年間もっと精力的に仕事をこなしていこう。
騎乗動物の捕獲作業も時間取らないといけないからなあ。
忙しい事は悪い事じゃない、しっかりした対価も貰えるなら尚更。
それに見合う仕事を誠実にこなして、来年また胸を張って村へ帰るんだ。
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