第118話 新居建設
森に来て木を切り倒しています。
俺が拾われた『緑魔の森』表層で木材の確保に勤しんでいる俺、クルトンです。
村に来る間に考えたやりたい事筆頭に挙げていた家の新築。
その為の準備をしています。
石材の入手先は以前グリフォン捕獲時に立ち寄ったポンデ石切り場が一番近いらしく、それだと村まで運ぶ時間もお金も現実的ではないので諦めた。
城の様な石造りの家も憧れるがちょっと無理。
代わりに土をガッチガチになるまで魔法と俺の馬力に物を言わせて圧力を掛けて基礎を作り柱は木材、壁は板材に竹、茅を芯材にして粘土を盛り漆喰で仕上げる。
レンガも考えたが焼く時間も必要な量を確保するのも時間が足らない。
そして憧れの二階建て、更にロマンを求め屋根裏部屋もつける。
ザックリの構想はこんな感じ、当然木材はかなり必要になるが魔法で乾燥させることができるのでとにかく切り倒す。
この森も魔素が比較的多いからか木の成長が早く、しかも背の高い木が多い。
2年単位でまとまった本数を伐採し続けないと森自体が村にどんどん近づいてくるらしい。
半年前に切ったそうだが村長に話すと「遠慮せずバシバシ切って」と許可が下りて今この状態。
2日程かけて切った木材を運搬しスキルで乾燥、製材する。
取り合えず図面は作ってあるから部位毎に番号を記入して加工を進めていこう。
金属は値段が張るので出来るだけ釘は使わない様にしたかったが、そうも言ってられないところは結構あるのでまずは俺がいる間に完成させることを目指してひたすら手を動かす。
ある程度目途が付いたら次は基礎作り。
最初に土魔法で地面をカッチカチに圧縮、その後俺が丸太を使い力任せに転圧する。
何度も何度も何度も・・・。
魔法と転圧作業で沈んだ地面に砂利を敷き詰めさらに俺が転圧。
砂利は近くの川からとってきた。
これも何往復もして都度砂利を敷き詰め転圧を繰り返す。
しっかり基礎を作り柱を立てる為の土台になる石を探して削り出し周りに土魔法で作業用の足場を準備、柱を立て壁を作り梁を作って屋根を張る。
瓦の役目を果たす屋根材はあるが結構高価だしこの村に運ぶのも大変なので木材の皮を何重にも重ねる。
瓦より屋根が軽くなるし直射日光当たっても熱を持つ事が少ないから今まで通り夏は快適になるだろう。
メンテナンスはそれなりに手間だけど。
・
・
・
午前中は畑仕事をして午後この作業を行う、そうして1週間・・・今までの家のすぐ横に2階建ての新居が完成した。
俺、と言うかクラフトスキルやべえな。
内装は漆喰を塗った白い壁と木の柱、床は梁に根太?だっけか、そこに床材用に設えた木目の美しい木材を2重に張っているだけだが俺が歩いても軋みもしない。
壁も厚いので防音性も断熱性も今までの家とは比べるまでも無く上質で上等。
そしてこの家は玄関で靴を脱ぐ様にした。
今はフローリングみたいな状態だがしっかり厚みのある絨毯でも準備しよう。
それだけでゴージャス感が増すだろうし、スリッパみたいな履物を準備するつもりだが裸足でも問題ない位にしよう。
これから準備しないといけない物を色々考えていると家族の声が聞こえてくる。
「一人一部屋有るの!本当に!」
「二階が有る!階段上って・・・ここが僕の部屋、へへ(喜)」
「とっても広いし静かねぇ、隙間風もなさそうで冬も暖かそう」
「暖炉に台所、厠は外に出なくていいのか・・・で、ここは温泉?温泉!!」
そう、温泉掘った、一番頑張った所だ。
当然ながら湧き続けるから湿気がたまるので軒下付近に向かい全方位に風を取り入れ、吐き出すように工夫。
使っていない時は大きく作った窓を開ける事も出来る。
「どうやって掘ったんだ?どの位深いんだ・・・」
千メートル以上掘らないとそれなりに暖かい水温の温泉は湧かないらしい。
だからひたすら土魔法で掘った。
掘ると言うか穴になる中心から外側に向け土を圧縮、空間を広げるイメージでひたすら下に向かって魔法を行使した。
カッチカチの土のパイプが徐々に下に向かって伸びていく感じ。
正直どの位深いかはもう分からないくらい掘ったところでとうとう湧きだした。
掘ったら掘ったでどうやって汲み上げようか悩んでいたんだかそこは問題なかったよ。
地下の圧力が逃げ場を見つけたように温水を押し上げたんだろう、文字通り噴き出した。
もうね近いうちに地震でも起こるんじゃないかと心配になったね。
火傷するかと思った。
いや、全然大丈夫だったけど。
でも思ったよりかなり熱くて一度外気に当てて冷ましてから湯船に流している。
これで村の人達気にしないで毎日風呂(温泉)に入れる、やったね。
まだテーブルも椅子も無いからこれから人が住めるように整えないといけない。
棚やら日用雑貨なんかも持ってこないと。
「兄さん!何してんのよ、さっさとベッド持ってきて。私たちは食器持ってくるから。父さんは暖炉に火を起しておいて」
・・・なあ、イフ。気が早いんじゃないかね?
「何を言ってるの、もう家は出来たんでしょう?」
いや、そうだけど今からじゃ始末が付かないんじゃないか?
晩御飯の支度も有るし。
「「そこは母さんがしてくれるから大丈夫」」
あ、はい。
意外と早く新居の準備は整いそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます